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                                アメリカの世界戦略上の米軍の位置づけと日本政府の誤った対応

 T 在日米軍――主要な駐留部隊と米軍基地

 現在の米軍は、5つの地域別統合軍と4つの機能別統合軍からなる9つの統合戦闘軍(Unified Combatant Command)によって構成されている2。地域別統合軍には、欧州軍、太平洋軍、中央軍、北方軍、南方軍がある。いわゆる在日米軍のほぼ全ては、インド洋・アフリカ東部近海を含むアジア・太平洋地域を主な担任地域とする太平洋軍に属している。

 太平洋軍は地域別統合軍の中でも最大のもので、その担任地域は世界の半分以上を占め、太平洋軍司令官の指揮下にある兵力は約30万人にのぼり、うち10万人が海外に前方展開している。太平洋軍は主として、太平洋陸軍、太平洋艦隊、太平洋空軍、太平洋海兵隊によって構成されている。太平洋軍の主要部隊は次頁の表1の通りである。

 2001年1月現在の在日米軍の兵力は、陸軍1,757名(本土925名、沖縄832名)、海軍18,217名(陸上5,449名、洋上12,768名)、空軍13,392名(本土6,584名、沖縄6,808名)、海兵隊18,212名(本土2,712名、沖縄15,500名)の計51,578名である。アジア・太平洋地域に展開する米軍約10万人のほぼ半数が日本に駐留していることになる。以下、各軍種ごとに主要な部隊と基地を概観する。

●在日米陸軍
在日米陸軍は他の軍種と比べ約1,800人と極めて少数である。キャンプ座間(神奈川)には在日米陸軍の司令部と共に、戦域レベルの兵站支援を任務とする第9戦域陸軍司令部(9th TAACOM)がある。同司令部は、太平洋軍への兵站支援に加え、朝鮮有事勃発時の増援部隊への兵站支援を任務としており、相模補給廠(神奈川)や秋月弾薬廠(広島)等の物資貯蔵施設も管理している。在日米陸軍で唯一の戦闘部隊は、沖縄のトリイ・ステーションに駐留する約400人のグリーン・ベレー(第1特殊部隊群第1大隊)である。

●在日米海軍
 在日米海軍の主力は、USSブルー・リッジを旗艦とする第7艦隊である。空母キティ・ホークやイージス巡洋艦2隻を含む艦艇10隻が横須賀海軍基地(神奈川)に、ワスプ級強襲揚陸艦USSエセックスをはじめとする艦艇7隻が佐世保海軍基地(長崎)に配備されている8。横須賀の艦艇は、キティ・ホークを中心に第5空母群(キティ・ホーク攻撃群)を編成する。現在の米軍には12の空母攻撃群が存在するが、海外に拠点を置いているのはキティ・ホーク攻撃群のみである。佐世保の水陸両用艦部隊は、在沖海兵隊部隊の紛争地への輸送を主任務としている。
 キティ・ホークの艦載機(約70機、主力はF/A-18E/Fスーパー・ホーネット)は第5空母航空団と呼ばれ、厚木海軍航空基地(神奈川)を使用している。また、空母艦載機ではない海軍の航空機としては、嘉手納空軍基地(沖縄)と三沢空軍基地(青森)に約10機ずつ配備されているP3-C哨戒機がある。

●在日米空軍
 日本に配備されている米空軍部隊は、第5空軍と呼ばれる。第5空軍司令官は、在日米空軍司令官と在日米軍司令官も兼任する(ただし在日米軍司令官に戦時の作戦指揮権はなく、各軍は太平洋軍司令部から直接作戦指揮を受ける)。司令部は横田空軍基地(東京)にあり、横田基地の第374空輸航空団、三沢基地の第35戦闘航空団、嘉手納基地の第18航空団を指揮下に置く。航空機約140機を運用する第5空軍は、太平洋空軍中でも最大の部隊である。

 横田の第374空輸航空団の主力はC-130輸送機約10機で、横田は空輸のハブ基地として利用されている。同航空団は極東に配備されている唯一の空輸航空団で、太平洋地域に展開する全ての米軍への空輸を担当している。三沢基地は自衛隊との共同使用施設で、米軍は36機のF-16ファイティング・ファルコンを配備し、また海軍や空軍の各種諜報部隊も置かれている。対地攻撃能力も持つ三沢のF-16は、特に敵の対空ミサイル基地や対空砲レーダー基地を制圧するための任務(SEAD)を負っている。嘉手納基地には300mのオーバーランを持つ約3,700mの滑走路が2本あり、基地内には米軍人およびその家族向けの居住・娯楽施設も完備されている。

 嘉手納基地を使用する第18航空団は混成航空団と呼ばれ、F-15イーグル戦闘機(48機)、KC-135空中給油機(15機)、E-3Bセントリー空中早期警戒管制機(AWACS / 2機)を始め、救難機や特殊作戦機等の多様な航空機を擁している。航空機約80機を有する第18航空団は海外に展開する中では最大の混成航空団であり、要員も約6,500人(家族・文民・日本人従業員等も含めると基地全体の人口は21,000人)にのぼる。

●在日米海兵隊
 在日米海兵隊の大半(約85%)は沖縄に駐留しており、その主力は第3海兵遠征軍(III MEF)である。米海兵隊の戦闘部隊は主として3つのMEFによって構成されているが、海外に前方展開されているのはIII MEFのみである。海兵隊の戦闘部隊は、歩兵・砲兵などの地上戦闘部隊、攻撃機・輸送機などの航空戦闘部隊、補給・医療などの役務支援部隊、そして司令部部隊の4つの要素により構成される。III MEFの主力をなすのは、歩兵・砲兵部隊である第3海兵師団(約6,500人)と航空部隊である第1海兵航空団(約3,000人)である。更に、III MEFの中には「海兵遠征軍のミニチュア版」として、即応性を備えた空地任務部隊である第31海兵遠征部隊(31MEU、約2,200人)が存在する。

 III MEFの司令部は沖縄のキャンプ・コートニーにあり、部隊はキャンプ・ハンセンやキャンプ・シュワブ等を使用している。III MEF司令官は在沖海兵隊の司令官であり、また沖縄の米軍全体を代表する四軍調整官も兼務する。また、第1海兵航空団はヘリやKC-130空中給油機(合計約70機)を運用する第36海兵航空群が普天間海兵隊航空基地(沖縄)を、F/A-18ホーネット(24機)やAV-8Bハリアー(20機)を運用する第12海兵航空群が岩国海兵隊航空基地(山口)を使用している。


U 米軍の「変革」と基地再編

 G.W.ブッシュ政権の成立以来、米軍の「変革」(transformation)という言葉が頻繁に用いられるようになった。軍の変革とは、狭義にはIT(情報技術)を中心とする先端技術を軍事に取り入れることを意味している。しかし、現在のブッシュ政権の特徴は、より広範な意味で軍隊の変革を達成しようとしていることにある。同政権は「新技術を導入するだけでなく、ドクトリンや兵力構成の大きな修正を通じて兵力の用い方を変化させること」を目標としている。

 R.ラムズフェルド国防長官も、軍変革に関する国防総省の指針の中で、「我々は、現在の能力だけでなく、思考様式、訓練方法、そして戦い方までをも変革しなければならない」と述べている。同長官は、変革された軍隊のあるべき姿として、しばしばアフガニスタン攻撃において実施された精密誘導爆撃や近接航空支援における新旧技術の融合..騎馬にまたがった陸上の特殊部隊が攻撃目標を特定し、その情報が近代的な通信ネットワークを通じて司令部や航空機に瞬時に伝達され、精密誘導兵器が目標を即座に破壊するという攻撃方法..を賞賛している。ブッシュ政権は、9.11テロの直後に発表された「4年ごとの国防見直し(QDR)」において、軍変革の方針を改めて表明した。

 その根本にあるのは、米国の脅威認識の変化..冷戦期における主権国家間の大規模通常戦争から、「ならず者国家」や国際テロ組織等の非国家主体による予期し得ない非対称的な攻撃への変化..であり、それに対する軍の回答が「変革」なのである。米国は軍の変革を「情報化時代とグローバリゼーションという[現代の]安全保障環境における至上命題」と見なしており、たとえ政権が変わったとしてもこの流れが大幅に変わることはないだろう。

 次のような言葉が米軍の目標とする姿をよく描き出している。「我々は、即時に展開可能で、完全に統合された軍隊..遠隔地に迅速に到達し、海・空軍兵力と協力して迅速に敵を攻撃し、壊滅的な結果を与えることのできる軍隊..を必要としている」。「将来の軍隊はそのサイズよりも、その機動力と俊敏性によって規定される。
 そのような軍隊は容易に展開し作戦を継続することが可能で、ステルス性・精密兵器・情報技術により重きをおくものとなる」。「新しい防衛戦略の要は、素早く対応し、相手を抑止または迅速に打破するための初期条件を作り出す能力にある。我々は、時間をかけて圧倒的な兵力をゆっくりと展開するという計画をもはや採用してはいない。……今日、我々はますます……多様な条件の下でより迅速に展開できる軍隊に依存するようになっている」。

 変革された軍隊の主な特徴をあげるとすれば、低劣度紛争や非対称紛争(特に市街地やジャングル等における対テロ・ゲリラ戦)への対処、より遠隔地からの即時投入が可能な軽量化された機動力に富む兵力、先端技術と従来技術の融合による柔軟な兵力の運用、より緊密な陸海空海兵隊の統合運用等である。
 この方針に従えば、精密誘導兵器やステルス兵器等の開発・調達、機動力の向上(特に長距離輸送力の強化と陸上部隊の軽量化)、C4ISR(指揮・統制・通信・コンピューター・情報・監視・偵察)への先端技術の導入(特に部隊間・軍種間における情報の即時共有)から、特殊部隊の活用、統合運用のための新たな戦略・戦術の策定とそれに基づく教育・訓練といった実に様々の分野が変革の対象となる。
 更にこれらに加え、ブッシュ政権は、国防総省の人事管理システムの改革や装備調達の合理化までをも変革の範疇に含めている。したがって、いまや国防総省における改革の全てが変革の一環であるといっても過言ではない。

 米軍の海外基地再編も、この変革の流れの中で論じられてきた。ただし、米国では基地再編に関しては「変革」ではなく「グローバルな態勢の見直し」(Global Posture Review)といった言葉を用いる事が多い。実際にも、基地再編は変革そのものというよりも、その帰結と考える方が理解しやすいだろう。基地再編の根本にあるのも、いかに新しい脅威に対応するかという問題意識である。
 それをD.ファイス国防次官は、次のように表現している。冷戦期においては「我々はどこで戦うことになるかを知っていたので、そこに兵力を配置した」が、現在の不確実な脅威に対応するためには「戦うために兵力を[駐留地から]動かさなければならない」。
 即ち、前方展開した米軍に与えられる任務は、冷戦期と異なり、前方展開した地点から更に紛争地へと移動して戦うことへと変化しているのである。

 この任務を遂行するためには、軍を変革し機動力を増さなければならない。冷戦期における在独・在韓米軍のように、重厚長大な部隊を前線に張り付けておく事はもはや時代遅れだと見なされるようになっている。米国は、軍の変革によって機動力を高めることができれば、紛争発生後に遠隔地や海上から部隊を投入する事で十分に事態に対処できるだろうと考えている。

 したがって、変革された米軍に必要なのは、大規模な陸軍を常駐させるような前線基地ではなく、紛争地への部隊展開の足がかりとなる「ハブ基地」なのである。それと同時に、米国は大規模な部隊の長期駐留がもたらす政治的なコストにも一定の配慮を払っている。ファイス国防次官は、基地の縮小により「大規模な部隊の駐留がもたらすある種の摩擦を減らすことができれば……受け入れ国との関係も大きく改善されるだろう」と議会で証言している。

 態勢見直しで重要なのは、それが単に基地の再編のみに関わる問題ではなく、在外米軍のあり方や米国と米軍受け入れ国の関係にまで関わる大きな動きだということである。ファイス国防次官は、「態勢(posture)とは、基地や施設のみを意味しているのではなく」、展開している部隊がそこで行う活動(訓練や作戦行動)、同盟国との協力関係、米軍の受け入れに関する法的な取り決め、兵力を即時に展開させる能力をも含む広い概念だと強調している。
 更に、態勢見直しにおける五つのテーマとして、@同盟国の役割の強化(同盟国の兵力・戦略の近代化を含む)、A不確実性に対処するための柔軟性の増強、B地域ごとの戦略からグローバル・レベルの戦略への転換(ある地域の兵力を他の地域への紛争にも投入する等)、C即時展開能力の増強、D数ではなく能力の重視(かつてより少ない兵力で、より大きな能力を展開させる)をあげている。

 態勢見直しも、軍変革と同様に2001年QDRで打ち出された。QDRは、「西欧と北東アジアに集中した米国の海外プレゼンスの態勢は新しい戦略環境の中では不適切」だとし、「世界の死活的に重要な地域において米軍により柔軟性をもたらす基地システムを構築し、西欧と北東アジア以外に基地・駐屯地を新たに作ることを重視する」と表明する。
 「西欧と東アジアにおける重要な基地を維持する」ともされているが、それはこれらの基地が「世界の他の地域において将来に緊急事態が発生した場合に、戦力投射のためのハブ基地という役割をも果す」からである。


                            以上 国立国会図書館・外交防衛課資料 調査と情報第455号
                              「米軍の変革と在日米軍の再編-福田毅氏」より抜粋

主張

日米安保・普天間基地・抑止力について

 国会図書館の資料は丁寧でわかりやすいものになっている。みなさんも一度は目をとおしたら良いと思います。
 資料では米軍経費の節約とテロなどはあるが、旧ソ連対米国といった軍事的衝突の時代ではなくなったこと。そこで拠点(ハブ)をつくり、ハイテク兵器も利用しながら瞬時に撃滅できれば良いというものである。その中でのアメリカが考える日米安保の役割も小さくなっていると思われる。これに対して日本政府は日米安保の位置づけや安全保障についての考えが旧態然として若干混乱が生じていると思われる。

T普天間基地 
 さて日本国内では沖縄の普天間基地問題をめぐり論争が始まっている。そして民主党鳩山政権は沖縄海兵隊の抑止力を認め、日米合意を守り普天間基地移設問題は辺野古と決めた。

 また韓国艦の沈没の例をあげ、沖縄の海兵隊は抑止力であり、沖縄に必要だとも発言。

 しかし仮に朝鮮半島の危機の為に、本当に海兵隊が必要で抑止力だとするならば、それは日本の沖縄ではなく、朝鮮半島(韓国?)にこそ必要である。また日米安保とは関係のないことである。上記資料はそのことを示している。
 韓国も特に在韓米軍撤退に関して何も言及していない。韓国にとっては米軍を抑止力と考えているだろうが、何故米軍撤退反対を言わず、関係のない日本が日米安保上沖縄の海兵隊が必要だと言うのか。これは何を意味しているのか?


 次にに普天間基地縮小は沖縄県民の為に縮小するのではなく、上記資料のごとく米軍の再編の為のものであり、米国の世界制覇戦略の見直しの為である。

 抑止力の問題では在韓米軍は今回の韓国艦沈没の防ぐために役立ったのか?関係のないことである。米軍は艦艇が一隻程度沈没しようがしまいが、その為に存在しない。沖縄の海兵隊も韓国艦沈没防止の抑止力になっていなかったのである。民主党鳩山政権はかなり寝ぼけたことを考えているようだ。
 また今まで韓国に展開する米軍は何をしていたかということになる。韓国に展開していても韓国艦の沈没は防げなかったのである。或いは防ぐ気がなかったのである。韓国艦の沈没をめぐりいろんな説が流布されており簡単ではないが。

 そもそも日米安保条約下では、どのような場合に誰が米軍又は米国に出動を要請し、どういう米軍の展開になるのか。国民は知らされていない。

 今回の韓国艦の沈没をめぐり北沢防衛大臣が「日米韓が連携して対応する」というのは、「自衛隊が米軍や韓国軍とどういう連携をし、具体的に何を」約束したのだろうか。自衛隊員でなくても気になるところである。

U中国の設定している第一列島線
 その道のグループからは中国脅威論が高まっている。武器の近代化・ハイテク・艦船増強・ミサイル迎撃システムなどなど。これらの近代化はすべての国々が技術革新を軍事力にも導入しているものである。日本だけが敗戦後の状態を維持しているのではない。
 その中国が現実的に主敵とするのはアメリカである。日本はこの際模様眺めが一番の得策である。アメリカの番犬みたいに吠え続ける(弱い犬ほどよく吠える)のは余りにもみっともない。中国軍が第一列島線を越えたからといって日本の脅威にはならない。何故ならば公海上だからである。領海を通過する場合は潜水艦は浮上しなければならないという。中国が国際法を破ったわけでもあるまい。
 それよりも日本軍隊ならば公海上を防衛するとか太平洋の真ん中まで隊列を組み航行・訓練したり、ペルシャ湾やソマリア海にて海賊を恫喝したりわがもの顔に航行するのも大同小異である。

 従って中国脅威論も正当ではない。今も米軍と言う抑止力が存在しながらも、中国の公海上の航行は自由で、航行させない訳にはいかないのである。ではどれだけの米軍があれば、中国の艦艇は港を出航させないようにできるか。不可能なことであろう。もっと言えば中国とアメリカは、経済的パートナーとしての関係を発展させようとしているのだ。

V日米合意について
 日米安保条約が少しずつ変身を遂げている。たとえば、日米両政府は平成18年5月1日、日米安全保障協議委員会の合意では冒頭次のように書かれている。

 =日米安全保障関係を中核とする日米同盟は、日本の安全及びアジア太平洋地域における平和と安定にとって不可欠の基礎であり、地域における米国の安全保障 政策の要である。=

 つまり日米安保や他の関連する同盟に関する条約は、日本の安全だけでなく、アジアの安全にとって米国の安全保障 政策の要となる。言いかえれば日米同盟はアジア地域の安全を守る為に重要だと言っている。
 
 =本日の会合において、閣僚は、新たに発生している脅威が、世界中の国々の安全に影響を及ぼす共通の課題を生み出しているとの見解を共有し、幅広い問題に 関する二国間のますます緊密な協力に留意した。閣僚は、日米同盟が、地域及び世界の平和と安全を高める上で極めて重要な役割を引き続き果たすよう、協力を 拡大したいと考えていることを確認した。閣僚は、イラク及びアフガニスタンを再建し、これらの国々において民主主義を強化するとともに、より広い中東にお ける改革の努力を支援するための、日米の努力の重要性に留意した。閣僚は、イランに対しすべての濃縮関連活動を停止し、IAEAの査察に全面的に協力する よう説得する努力において、緊密に協力することを確約するとともに、国連安全保障理事会の行動が協調してとられる必要性につき合意した。=

 この一文は「アメリカ流の世界の安定」に日本が寄与することまで合意している。アメリカの世界戦略の一端を担うことの宣言である。

 民主党政権は「日米安保条約とその抑止力」を持ち出し普天間基地の辺野古移転はやむなしとしているが、アメリカは世界戦略上の再編成なのであって、「日米安保条約とその抑止力」はあまり興味がないようである。
 従って民主党政権が正確に表現するのであれば、「アメリカの世界戦略上沖縄に基地が必要」なのだと言わねばならない。

 自民党政権は国民を騙し続けてきたが、民主党政権も同じように国民を欺くものである。何故、政権・政府が国民を騙したり欺いたりしなければならないのか。日本を実効支配しているのが財界だからである。このことは法人税減税と消費税の増税を提案していることから、隠された事実であろう。
 日本国民はアメリカに長い間支配される中で、奴隷根性が育ってしまった。アメリカの「お気に入り」になりたいばかりに。
 だが日本国民はアメリカの世界戦略に断じて加担してはならない。加担するのは利益がある財界だけで良い。

W米軍再編の趣旨とは
 米軍再編の趣旨から言えば、概ね米軍基地はどこでも良いことになる。朝鮮半島から遠くても良いのである。イラクから遠くても良いのである。現に沖縄の海兵隊はイラク戦争にも参加している。
 従って沖縄の普天間や辺野古に基地がなければならない理由は全くないのである。しかし何故日本が選ばれたのか。それは日本政府が隷従してくれるからであり、国民を欺いても協力してくれるからであり、資金をたっぷりと提供してくれるからであり、韓国人に比較しイエスマンだからであろう。
 

在日米軍再編の最終合意を撤回し、米軍は日本全土から撤退せよ  平成18年5月の共同発表及びロードマップ

 民主党鳩山政権は発足以降、民主党の選挙公約でもある辺野古移設を撤回し、国外又は県外に移設すると言っていたが、平成22年5月に下記リンクのような協定を結び普天間基地移転問題を振り出しに戻した。普天間基地は辺野古への移転を許してはいけない。必要ならば米国はグアムかどこかの無人島に建設すれば良い。軍事基地を求める町や国がある。

日米共同声明 平成22年5月