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     今、新VDT作業基準の具体化が求められている!!

 今『電脳県庁』化の流れの中で、職場では、ノート・パソコンの一人一台体制が作られています。事務作業では、文書作成、計算、書類整理、連絡、打合せとほとんど全ての作業が、1台のパソコンで行えるようになり、座位で、パソコンを相手に1日を過ごしてしまうことも珍しくありません。

作業環境はどうなっているか?
 パソコンを使用する際の姿勢は、頭の位置と手の位置が極端に制限されることになることから、適切な管理が行われない場合には、健康障害に結びつきかねません。とりわけ、ノート型パソコンの作業にあっては、画面が下方に位置するため、使用者の頭部は前傾し、体幹は前屈する傾向にあり、特に頚部直筋群の負荷が大きくなる可能性があります。
 調査結果では、VDT作業者の方が非VDT作業者よりも『目の疲労』や『首や肩のこり』に関する愁訴率が高く、その割合は、作業時間の増大とともに大きくなる傾向にあります。

 少し古いですが、労働省(当時)が1998年に全国の事務管理部門の事業所で仕事でコンピューターを使用する労働者を中心に行った「技術革新と労働に関する実態調査」の結果は、77.6%が何らかの身体的疲労・自覚症状を感じ、36.3%が精神的な疲労やストレスを感じています。部位別にみると
自覚症状 愁訴率
『目の疲れや痛み』 約90%
『首、肩のこりや痛み』 約70%
『腰の疲れや痛み』、 約20%
『頭痛』 約20%

厚生労働省が新VDT作業基準を発表
 ノート型パソコンやインターネットや携帯情報端末器機の急激な普及等といった社会の変化と最近におけるVDT作業従事者の増大の中にあって、2002年4月に厚生労働省は『VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン』を出しました。これは、1985年の『VDT作業のための労働衛生上の指針』(旧指針)を大きく改定したものです。

@ ノートパソコンを高さが固定された一般事務机の上で使用する場合、作業に当って、机上を整理し、椅子の高さ、表示画面角度のそれぞれを各自の体格、好みに合わせ、もっとも楽な姿勢で作業ができる環境を作る必要があります。パソコン作業に必要な作業空間は1uを目標にするのが望ましいともいわれています。

A VDT作業は50cmほどの近くを見る作業です。高齢者は、加齢に伴う焦点調整能
力が低下しているため、老視の高齢者は適切に矯正する必要があります。
20歳代 30歳代 50歳代
焦点合わせが可能な範囲を示す調節力 100% 86.5% 7.3%
焦点を合わせる速度である調節緊張速度 100% 66% 6.5%

B 見やすい文字の大きさや作業の照度に注意を払うだけではなく、一連続作業時間や1日の作業時間にも配慮が必要です。

職場環境、作業形態等の大幅整備を
  庁内LANの整備が進み,「一人一台」体制の拡充がますます図られていること、『電脳県庁』の構築が目指されている事から、ますますOA労働に従事する時間が長くなっています。
これに対応する職場環境、作業形態等の整備が遅れていることもあり、VDT作業により心身の疲労を訴える職員も多くなっています。2002年4月に厚生労働省は「新VDT作業指針」を示しましたが、本県での対応が遅れています。旧基準の見なおしとともに作業環境の大幅改善が求められています。 
(地方公務員安全健康フォーラム2004年1月号 『変革の時代の健康管理』参照)