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改正自治法関連職場交流会から

1 参加者 

2 はじめに
○ 『行革』の流れ
  法律的には「管理委託制度」が廃止され、2006年9月までに条例を整備し指定業者を選定することが、“強制”されることになったことから、2006年度に『地方独立行政法人』や『指定管理者制度』が動き始める。したがって、2004年12月議会で『指定管理者制度』について条例化し、2005年度に規則制定と公募という流れになると思われる。

○『地方独立行政法人』や『指定管理者制度』をめぐる昨今の動き
地方自治法244条改正による『指定管理者制度』は、地方公共団体が設置した公の施設の管理権限を当該指定を受けた者に委託するもの。
指定管理者は処分に該当する使用許可を行うことができるとされ、自治体は、設置者としての責任を果たす立場から指定管理者を監督することとなる。このため、私法上の契約によって外部委託するいわゆる業務委託や、条例を根拠として締結される具体的な委託契約に基づき管理が委託される従来の管理委託制度とは異なり、次のようなことが可能となる。
@利用者からの料金を自らの収入として収受すること。(従来の管理委託制度でも可能)
A条例により定められた枠組みの中で、地方公共団体の承認を得て自ら料金を設定すること。
B個々の使用許可を行うこと。

  従来の管理委託制度は、施設運営に必要な財団を設置し管理運営を行わせるものであったが、指定管理者制度は、施設を公的機関が建設設置するという点では同じであるが、運営するノウハウがあれば民間事業者(株式会社など)にも解放されるというものである。そのため、今後は県出資法人(資本金50%以上)が所管する施設の管理を「指定管理者」に委託することが出来るように条件整備がすすむと考えてよい。
富山県においては、県民福祉公園や文化振興財団、社会福祉総合センターなどが所管する67施設が該当することになる。

3 意見交換
@ 『地方独立行政法人』の対象に美術館は入らないか?国の美術館は『独立行政法人』となっているが、地独法にあっては、平成15年7月17日付け総務省通知で「その他公共的な施設で政令で定めるもの」を対象とする中で、「国際展示場等大規模なものに限定し、美術館、博物館館は除外」されている。したがって『指定管理者制度』の導入が想定されると思う。

A 美術館の管理を『管理委託』から直営にもどせないか?ということが基本にあるべきだが、状況からいって難しいと思う。『富山県新世紀懇談会』で斎田経営企画部長が答弁している。
◇2004.2.13.『富山県新世紀懇談会』での斎田経営企画部長答弁・民間委託について、多くの意見をいただいた。行政は公平にサービスを提供するのが基本であるが、ガイドラインで示している様に、県、市町村、民間で役割を分担する必要がある。・また、県が実施すべきものでも、県が直接実施するのか、民間に委託して実施するのかという判断もある。・どのような形で連携し、どのようにするのが、県民にとって一番メリットがあり、安価で質の高いサービスを受けられるか検討していきたい。・県民会館等の公の施設については、平成18年度から指定管理者制度が導入されることとなっている。この制度では、現在、県から施設管理を受託している財団とビルメンテナンス会社等の民間企業とが競争することとなり、双方から提案を提出いただき、コストを削減し、多くの利用が得られるような提案を採用することとなる。
 
B 長崎県の美術館は、指定管理者制度で進んでいるが、一部、東京の民間大手の応募が伝えられたことから、条例、公募要件のハードルを高くして、特定の財団でないと要件を満たすことができないようにしていると聞いている。しかし、このようなことを法の趣旨が許すのか?総務省から当該長崎県に是正指導等がないかということが気に掛かる。

C 指定管理者制度の根拠法である地方自治法は一般法であり、博物館法や図書館法は特別法である。考え方とすれば、特別法が優先するのではないか?
「住民の生活の身近な美術館や図書館」という位置付けからいえば、本来、公営で運営すべきではないか?

D 1998年当時、近代美術館の管理が、文化振興財団に委託されることで学芸員が文化振興財団に出向させられる際に、教育委員会当局と交渉し、「今後とも県職員としての身分は確保する。問題があればその都度話し合ってまいりたい。」という口頭確認がなされている。
  今回、これに加えて指定管理者制度が導入されることになれば、文化振興財団に出向(2002年4月からは「派遣」)になっていることに大きな変更が加わる。
  文化振興財団が指定管理者になれば、今と大きな変更はないかもしれないが、違った団体が(当然要件を満たすことが条件となる)指定管理者になれば、今の学芸員数が不要となったとき、不要とされた学芸員は、派遣を解かれて県に戻ることになるのか?もしそうなると、美術館等の職場が他にないことから、職種転換に遭遇することになる。職種転換は大きな問題だ。
また、民間の企業などが管理者となった場合は、退職派遣もあり得るのか?

E  国会での地方自治法第244条改正の審議において、博物館等の施設の扱いや、学芸員等特殊な身分の職員の取扱いについて、質疑されたかもしれないので、自治労中央に連絡して情報をもらうなど調査が必要である。

F そもそも、美術館や図書館に『コスト意識』や『コスト論』というモノサシが果たして適用されるのか疑問である。経営が成り立つということは、展覧会等の開催で入場者が多いということだが、「入場者が多くない展覧会は美術的芸術的価値がない」ことにはならないのではないか。そもそも芸術をどう評価するかという問題が根底にある。

5 今後の進めかた
 @地方自治法第244条改正の際の審議経過を把握する。
 A特別法と一般法の関係を整理する。
 B全国動向の把握に努める。
 以上を踏まえて、4月に第2回目の交流会を持ち、安心して働き続けられる条件を確保するために、教育委員会や人事当局に文書で申し入れることなどを検討したい。


派遣職場の問題点  派遣期間をどう考えるか?
『派遣期間』や『本人同意』の考え方について
 近代美術館の管理について、教育委員会の出先機関から文化振興財団に移管されたのは、1998年(平成10年)10月、そして派遣法が施行されたのは2002年(平成14年)4月である。
派遣法で定める派遣期間3年(例外5年)の基点は、当然1998年(平成10年)10月であり、この時点が基点となるべきはずである。したがって、特例の「最長5年」と解したとしても2003年(平成15年)10月をもって派遣期限が切れることになり、その時点で何らかの整理(原則的には,派遣を取りやめること、もしくは超法規的に再度の『本人同意』をとりつけるなど)が必要のはずであるが、分会の話でも、教育委員会当局がなんらかの何ら必要な手続を取ったとは思われない。

教育委員会当局の主張は、「2002年4月の時点で『本人同意』を取っているので、特例5年間の基点は2002年4月である。また「1998年10月〜2002年3月の3年6ヶ月は派遣法の制定されていない期間であるからは考慮しない」というものである。
 2002年4月に近代美術館派遣職員に交付された辞令に記載されている派遣期間は,『2002年(平成14年)4月から2005年(平成17年)3月』となっているが、そもそもこの期間の整理が問題である。


問題の所在
 一方で、知事部局の人事課の整理は,派遣法施行以前の出向期間は,派遣法にいう3年(特例5年)の期間に含めている。
 県に採用された職員がその意に反して、『(財)文化振興財団に派遣されられた』ことでもあり、身分に対しては人一倍敏感であり、もっと適切な配慮がなされるべきである。まずは、教育委員会当局のしかるべき立場にある人が職場に説明、釈明(謝罪)等と必要な手続の了解が必要だったと思料される。ともあれ、
1 2002年4月時点で行われた『同意書』の際に、どのような説明がなされたのか?本当に2002年から3年(若しくは5年)として為されたのか否か?
2 仮に為されたとしても、本来は、1998年10月から5年をカウントすべき性格のものではないのか?
3 だとすれば、昨年の10月に何らかのアクションが必要ではなかったのか?
ということについて整理する必要がある。

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