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「平和に生きる」ために

 憲法とは何でしょうか。憲法は歴史的に支配者に対する制約として、そして国民が団結できる基準としてその役割があります。イギリスは憲法という名のものはありませんが、しかしその都度その都度支配者たる国王に対し、要求や暴動・反乱などを通して、国民が国王を規制する権利として勝ち取ったものです。日本では残念ながら精々百姓一揆程度で殆ど効果はありませんでした。またその積み上げもありませんでした。それが日本人に民主主義が定着していない大きな原因と言えるでしょう。しかし今からでも遅くはありません。憲法問題を研究していきましょう。

 憲法前文は、「全世界の国民が・・平和のうちに生きる権利を有する」と平和的生存権を宣言しています。私たちは、平和な日本とアジアをつくり、人権が守られる日本にするために、地域と自治体から声をあげます。

 [平和と人権破壊の「有事法制」] 政府は、米国の戦争に協力して参戦し、また日本独自に武力を行使する体制を急速に強めています。 

 これまで「周辺事態法」(米軍を後方支援)、「テロ対策特措法」(自衛隊が参戦)、「自衛隊法改定」(自衛隊が町で武器使用、防衛秘密漏洩に罰則)、「PKO法改定」(自衛隊が武力行使)など、不戦・非武装を定め、交戦権や集団的自衛権を認めない憲法第9条に違反する法律が成立しました。

 そして「有事法制」は、日本社会を戦争体制に変える「戦争体制法」です。防衛庁も、日本を武力攻撃する国は見当たらないと言っています。しかし「有事法制」ができたら、米軍が朝鮮半島や台湾海峡で武力攻撃をした場合、日本全体が「臨戦態勢」に切り替えられ、自治体も業者も、労働者も住民も戦争に動員されます。

 住民は、米軍や自衛隊が基地や陣地を作るため、土地や家屋を取り上げられ、立ち退きを強制されます。自治体の公園や学校のグラウンド、体育館などの施設も米軍や自衛隊が占領します。

 医師や看護婦は野戦病院に駆り出され、病院のベッドは傷病兵優先で患者は追い出され、土木建築の業者や技師や作業員は、軍事施設を急造するため集められ、陸海空の輸送関係の業者や労働者は、軍隊や武器・弾薬、軍事物資を基地や前線に運ばせられます。自治体職員は地域の動員リストの作成、米軍や自衛隊に水の提供やごみ処理などもさせられるでしょう。労働者や住民が死んだら、火葬場や墓地でなく穴を掘って「処理」。

 自衛隊指揮官が「(戦争)業務従事命令」「土地・施設収用命令」「物資保管命令」などを乱発し、従わないと懲役などの「罰則」。
 私たちの「平和的生存権」はじめ、「個人の自由」「強制労働の禁止」「居住・移動の自由」「財産権」「労働者の権利」「通信の秘密」「言論・表現の自由」「思想・信条・信教の自由」など、憲法が保障している基本的人権は根こそぎ侵害されます。

 そしていま、憲法そのものを改悪して、日本を本格的な「戦争ができる国」、人権を無視して政府に従わせる「強力な国家」にしようとする動きが強まっています。

憲法改悪反対
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 日本帝国主義が戦争に負け、占領軍は新憲法を日本に押し付けたとか。東南アジア諸国を占領して被害をもたらし、ついには負けたのだから抵抗はできないだろう。だからと言って押し付け憲法だからという発想は間違っています。問題は中身です。現憲法は第一章第一条に天皇制を規定しています。本来主権の存する国民について書かれねばなりません。また天皇制は国民の総意にもとずくとしていることも問題です。国民の総意ではありません。このような問題があるにしろ現憲法は戦争防止のため大きな役割を果たしています。

 改憲派は現憲法の何が邪魔になると考えているのでしょうか。
 戦争が続いているイラクに自衛隊を派遣できる日本。ここまで進んだ「なしくずし改憲」。改憲派は何が不満なのか??

 経済成長に応じた海外進出・国際貢献など新たな新植民地主義、そして広大な海外にある資産をどう守るかに腐心しているものと思います。建前上は国際貢献ということばで表現されているのですが。 日本の憲法で問題がないのではありません。
 天皇制の取り扱いなど国民主権上からも問題です。
 しかし今改憲派は憲法9条をはじめとして全面的に改悪を試みているのです。 自衛隊とその活動に日の目をみさせてやりたいのです。堂々と戦争ができるようにしたいのです。

 議論するだけならいいじゃないかというのはその流れに添うもので問題があります。議論の方向が戦争へという方向なのです。有事立法をみてもそのとおりです。 不戦の誓いを立てた日本がなぜ戦争の準備をするのでしょうか。
 有事立法では国民主権が大きく制限され、軍隊の奴隷のような状態に国民がおかれ、各自治体も軍隊に協力義務が生ずるのです。 国民を守るはずの軍隊が守っているのは何でしょうか。国民を犠牲にして資本を守っているのではないでしょうか。性悪説と性善説というのがあります。性悪説では日本人は生まれながらにして戦争を好む人種となります。そして原爆を落とされ大量の国民が犠牲になれば、平和主義者に転向するのですか。

 私は性善説の立場に立ちます。戦争は嫌だけど、それによって利益を得るものがいるということが大きな問題です。そしてそういう企業と何らかの形でつながりを持つ。そこで平和主義が吹っ飛んでしまいます。 過去の歴史を紐解いて調べる必要があります。
昔から警察や軍隊は国民は犯罪者だという見方を教育され治安にあたってきたという側面も見落としてはいけません。
 なにしろ日本帝国軍人がそのまま国会議員に出て議論をリードしてきましたから。また文部省の教育指導要領の改訂にも問題があるでしょう。 新しい教科書を作る会の教科書を選択する愛媛県などの教育委員会も出ています。体制として右傾化に進んでいるのですが、こうした中で平和勢力の動きは今一です。

 小泉は山崎幹事長に、憲法改悪の自民党案づくりを指示したとのこと。(8/30)
 2年後に国民投票をめざしているようです。現憲法は天皇制など誤りもありますが、憲法前文や9条など世界に誇る内容をもっています。今自民党を中心に改悪が俎上に乗っている時、これに抗し子供や孫を戦地に送らないために憲法改悪反対の声をあげましょう。

 自民党の憲法調査会では、「国民は国家を防衛する責務を負う」を憲法に盛込むとか。
 自衛隊の義務というのならわかるが、力のない国民の義務といっても何もできない。国家が国土や国民を外敵から守るもの。その為に国家が存在する。本末転倒である。

 私たちはその為に高い税金を払い続けているのである。守るべき対象は国民である。時たま米軍をテロから守るために自衛隊が出動という話も出てくる。うそのようなほんとの話である。
 政府の物の考え方が狂っている。逆さまになっているのである。

 今、自衛隊が日本国民の主権の存在しないイラク、主権がイラク人にある地域に出撃し、自衛隊の指示に従わねば射撃してもいいと発表した。
 イラク人に主権があるのだから自衛隊は殺されても良い。しかしイラク人を殺してはならないのである。他国の主権を一方的に踏みにじるのは絶対駄目です。
 イラクは米英軍の軍隊に攻撃が続いている戦争地域であり、ここに派遣するのは戦争に加担することであり憲法違反である。 自衛艦が中国に寄港するのとは全然違います。(11/15)

 以下に日本国憲法、皇室典範、大日本帝国憲法、(旧)皇室典範を資料として掲載しました。私自身の感想は、大きく言って民主主義かそうでないかの違いが大きいと感じています。アメリカの押し付けであってもいいものはいいのです。面倒ですが再度読み返してみませんか。

           
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(参考)
日 本 国 憲 法

昭和21年11月 3日公布
昭和22年 5月 3日施行

朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこび、枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第七十三条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。

     御 名 御 璽

       昭和21年11月 3日

内閣総理大臣兼外務大臣    吉 田   茂
国 務 大 臣      男爵幣 原 喜重郎
司 法 大 臣        木 村 篤太郎
内 務 大 臣        大 村 清 一
文 部 大 臣        田 中 耕太郎
農 林 大 臣        和 田 博 雄
国 務 大 臣        斎 藤 隆 夫
逓 信 大 臣        一 松 定 吉
商 工 大 臣        星 島 二 郎
厚 生 大 臣        河 合 良 成
国 務 大 臣        植 原 悦二郎
運 輸 大 臣        平 塚 常次郎
大 蔵 大 臣        石 橋 湛 山
国 務 大 臣        金 森 徳次郎
国 務 大 臣        膳   桂之助

   日本国憲法

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

第一章 天皇  この章は削除すべきである。

 〔天皇の地位と主権在民〕  主権の存する日本の国民の総意に基づいたのか?帝国憲法下で、国民を戦争への道に追い込んだ最高責任者である。犯罪者である。
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

 〔皇位の世襲〕
第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

 〔内閣の助言と承認及び責任〕 無意味である。
第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

 〔天皇の権能と権能行使の委任〕 国政に関する権能がないのは当然のこと。
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
A 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

 〔摂政〕
第五条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。

 〔天皇の任命行為〕   国民主権の国ではこの第七条は必要ないことである。むしろ国民の権利を脅かしている。無意味なことである。合理的ではない。
第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
A 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

 〔天皇の国事行為〕  国民主権の国ではこの第七条は必要ないことである。むしろ国民の権利を脅かしている。天皇にとっても意味のないことだ。
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
  一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
  二 国会を召集すること。
  三 衆議院を解散すること。
  四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
  五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
  六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
  七 栄典を授与すること。
  八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
  九 外国の大使及び公使を接受すること。
  十 儀式を行ふこと。
       
 〔財産授受の制限〕
第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

   第二章 戦争の放棄

 〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
A 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

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   第三章 国民の権利及び義務

 〔国民たる要件〕
第十条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

 〔基本的人権〕
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

 〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 〔個人の尊重と公共の福祉〕
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
A 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。 当然である。
B 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。当然である。

 〔公務員の選定罷免権、公務員の本質、普通選挙の保障及び投票秘密の保障〕
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
A すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
B 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
C すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

 〔請願権〕
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

 〔公務員の不法行為による損害の賠償〕
第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

 〔奴隷的拘束及び苦役の禁止〕
第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

 〔思想及び良心の自由〕
第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

 〔信教の自由〕
第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
A 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
B 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

 〔集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護〕
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
A 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
A 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

 〔学問の自由〕
第二十三条 学問の自由は、これを保障する。

 〔家族関係における個人の尊厳と両性の平等〕
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
A 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
A 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 〔教育を受ける権利と受けさせる義務〕
第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
A すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

 〔勤労の権利と義務、勤労条件の基準及び児童酷使の禁止〕
第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
A 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
B 児童は、これを酷使してはならない。

 〔勤労者の団結権及び団体行動権〕
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
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 〔財産権〕
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
A 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
B 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

 〔納税の義務〕
第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

 〔生命及び自由の保障と科刑の制約〕
第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

 〔裁判を受ける権利〕
第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

 〔逮捕の制約〕
第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

 〔抑留及び拘禁の制約〕
第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

 〔侵入、捜索及び押収の制約〕
第三十五条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
A 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

 〔拷問及び残虐な刑罰の禁止〕
第三十六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

 〔刑事被告人の権利〕
第三十七条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
A 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
B 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

 〔自白強要の禁止と自白の証拠能力の限界〕
第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
A 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
B 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。現代も守られず、多くの冤罪多発に繋がっている。

 〔遡及処罰、二重処罰等の禁止〕
第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

 〔刑事補償〕
第四十条 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
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   第四章 国会

 〔国会の地位〕
第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

 〔二院制〕
第四十二条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

 〔両議院の組織〕
第四十三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
A 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

 〔議員及び選挙人の資格〕
第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

 〔衆議院議員の任期〕
第四十五条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。

 〔参議院議員の任期〕
第四十六条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。

 〔議員の選挙〕
第四十七条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

 〔両議院議員相互兼職の禁止〕
第四十八条 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。

 〔議員の歳費〕
第四十九条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。

 〔議員の不逮捕特権〕
第五十条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

 〔議員の発言表決の無答責〕
第五十一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

 〔常会〕
第五十二条 国会の常会は、毎年一回これを召集する。

 〔臨時会〕
第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

 〔総選挙、特別会及び緊急集会〕
第五十四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
A 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
B 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

 〔資格争訟〕
第五十五条 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

 〔議事の定足数と過半数議決〕
第五十六条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
A 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

 〔会議の公開と会議録〕
第五十七条 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
A 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
B 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。

 〔役員の選任及び議院の自律権〕
第五十八条 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
A 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

 〔法律の成立〕
第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
A 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
B 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
C 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

 〔衆議院の予算先議権及び予算の議決〕
第六十条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
A 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

 〔条約締結の承認〕
第六十一条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。

 〔議院の国政調査権〕
第六十二条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

 〔国務大臣の出席〕
第六十三条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。

 〔弾劾裁判所〕
第六十四条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
A 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
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   第五章 内閣

 〔行政権の帰属〕
第六十五条 行政権は、内閣に属する。

 〔内閣の組織と責任〕
第六十六条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
A 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
B 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

 〔内閣総理大臣の指名〕
第六十七条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
A 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

 〔国務大臣の任免〕
第六十八条 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
A 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

 〔不信任決議と解散又は総辞職〕
第六十九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

 〔内閣総理大臣の欠缺又は総選挙施行による総辞職〕
第七十条 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。

 〔総辞職後の職務続行〕
第七十一条 前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。

 〔内閣総理大臣の職務権限〕
第七十二条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

 〔内閣の職務権限〕
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
  一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
  二 外交関係を処理すること。
  三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
  四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
  五 予算を作成して国会に提出すること。
  六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
  七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

 〔法律及び政令への署名と連署〕
第七十四条 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

 〔国務大臣訴追の制約〕
第七十五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

   第六章 司法

 〔司法権の機関と裁判官の職務上の独立〕
第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
A 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
B すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

 〔最高裁判所の規則制定権〕
第七十七条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
A 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
B 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

 〔裁判官の身分の保障〕
第七十八条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

 〔最高裁判所の構成及び裁判官任命の国民審査〕
第七十九条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
A 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
B 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
C 審査に関する事項は、法律でこれを定める。
D 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
E 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

 〔下級裁判所の裁判官〕
第八十条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
A 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

 〔最高裁判所の法令審査権〕
第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

 〔対審及び判決の公開〕
第八十二条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
A 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。
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   第七章 財政

 〔財政処理の要件〕
第八十三条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。

 〔課税の要件〕
第八十四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

 〔国費支出及び債務負担の要件〕
第八十五条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

 〔予算の作成〕
第八十六条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

 〔予備費〕
第八十七条 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
A すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。

 〔皇室財産及び皇室費用〕
第八十八条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

 〔公の財産の用途制限〕
第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

 〔会計検査〕
第九十条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
A 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

 〔財政状況の報告〕
第九十一条 内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。

   第八章 地方自治

 〔地方自治の本旨の確保〕
第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

 〔地方公共団体の機関〕
第九十三条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
A 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

 〔地方公共団体の権能〕
第九十四条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

 〔一の地方公共団体のみに適用される特別法〕
第九十五条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。


 安倍政権がまず手をつけようとしている憲法第96条。現在の国会は衆議院も参議院も小選挙区制を基本としており、両院とも地域代表の感がある。だから参議院無用論が出てくる。少なくとも参議院は「良識の府」として、国民世論が反映される選挙方法でなければならない。憲法について言えば、憲法は歴史的には国家権力を規制し、国民を守るためのものであった。だが他方では国民が憲法の下に結集する最高の法でもある。エジプトで新憲法についての投票が行われたが、投票率はなんと30数パーセントに留まった。これではエジプトの憲法とは言えない。だからそれ以外の人達は納得せず、今後も騒乱が続くことになる。こういう重要な憲法を2/3以上の国会議員(国民世論を反映していない=非民主主義の現状))の賛成で改憲を発議できるというのは大問題である。また国民投票については有効投票の過半数の賛同で成立するとしているが、有権者の過半数の賛同なくしては国民は団結できない。結局エジプトの二の舞になるであろう。安倍は戦争をするために、改憲をし国内を騒乱状態に持ち込みたいのか。良識ある国民の皆さんの判断が重要である。改憲推進者のみが投票し、多くの反対者はボイコットでは許されない。

   第九章 改正

 〔憲法改正の発議、国民投票及び公布〕
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。投票率が低ければ有権者の過半数にはならない。これは騒乱の原因となり、他方少数独裁が発生するであろう。
A 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
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   第十章 最高法規

 〔基本的人権の由来特質〕
第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

 〔憲法の最高性と条約及び国際法規の遵守〕
第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
A 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

 〔憲法尊重擁護の義務〕
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

   第十一章 補則

 〔施行期日と施行前の準備行為〕
第百条 この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
A この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。

 〔参議院成立前の国会〕
第百一条 この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。

 〔参議院議員の任期の経過的特例〕
第百二条 この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。

 〔公務員の地位に関する経過規定〕
第百三条 この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。
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皇室典範(昭和22年法律第3号)

   第一章 皇位継承

第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。

第二条 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。
 一 皇長子
 二 皇長孫
 三 その他の皇長子の子孫
 四 皇次子及びその子孫
 五 その他の皇子孫
 六 皇兄弟及びその子孫
 七 皇伯叔父及びその子孫
2 前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系統の皇族に、これを伝える。
3 前二項の場合においては、長系を先にし、同等内では、長を先にする。

第三条 皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる。

第四条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。

   第二章 皇族

第五条 皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王を皇族とする。

第六条 嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は、男を親王、女を内親王とし、三世以下の嫡男系嫡出の子孫は、男を王、女を女王とする。

第七条 王が皇位を継承したときは、その兄弟姉妹たる王及び女王は、特にこれを親王及び内親王とする。

第八条 皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という。

第九条 天皇及び皇族は、養子をすることはできない。

第十条 立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。

第十一条 年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
2 親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。

第十二条 皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。

第十三条 皇族の身分を離れる親王又は王の妃並びに直系卑属及びその妃は、他の皇族と婚姻した女子及びその直系卑属を除き、同時に皇族の身分を離れる。但し、直系卑属及びその妃については、皇室会議の議により、皇族の身分を離れないものとすることができる。

第十四条 皇族以外の女子で親王妃又は王妃となつた者が、その夫を失つたときは、その意思により、皇族の身分を離れることができる。
2 前項の者が、その夫を失つたときは、同項による場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
3 第一項の者は、離婚したときは、皇族の身分を離れる。
4 第一項及び前項の規定は、前条の他の皇族と婚姻した女子にこれを準用する。

第十五条 皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない。

   第三章 摂政

第十六条 天皇が成年に達しないときは、摂政を置く。
2 天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないときは、皇室会議の議により、摂政を置く。

第十七条 摂政は、左の順序により、成年に達した皇族が、これに就任する。
 一 皇太子又は皇太孫
 二 親王及び王
 三 皇后
 四 皇太后
 五 太皇太后
 六 内親王及び女王
2 前項第二号の場合においては、皇位継承の順序に従い、同項第六号の場合においては、皇位継承の順序に準ずる。

第十八条 摂政又は摂政となる順序にあたる者に、精神若しくは身体の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、摂政又は摂政となる順序を変えることができる。

第十九条 摂政となる順位にあたる者が、成年に達しないため、又は前条の故障があるために、他の皇族が、摂政となつたときは、先順位にあたつていた皇族が、成年に達し、又は故障がなくなつたときでも、皇太子又は皇太孫に対する場合を除いては、摂政の任を譲ることがない。

第二十条 第十六条第二項の故障がなくなつたときは、皇室会議の議により、摂政を廃する。

第二十一条 摂政は、その在任中、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

   第四章 成年、敬称、即位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓

第二十二条 天皇、皇太子及び皇太孫の成年は、十八年とする。

第二十三条 天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は、陛下とする。
2 前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする。

第二十四条 皇位の継承があつたときは、即位の礼を行う。

第二十五条 天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。

第二十六条 天皇及び皇族の身分に関する事項は、これを皇統譜に登録する。

第二十七条 天皇、皇后、太皇太后及び皇太后を葬る所を陵、その他の皇族を葬る所を墓とし、陵及び墓に関する事項は、これを陵籍及び墓籍に登録する。

   第五章 皇室会議

第二十八条 皇室会議は、議員十人でこれを組織する。
2 議員は、皇族二人、衆議院及び参議院の議長及び副議長、内閣総理大臣、宮内庁の長並びに最高裁判所の長たる裁判官及びその他の裁判官一人を以て、これに充てる。
3 議員となる皇族及び最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官は、各々成年に達した皇族又は最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官の互選による。

第二十九条 内閣総理大臣たる議員は、皇室会議の議長となる。

第三十条 皇室会議に、予備議員十人を置く。
2 皇族及び最高裁判所の裁判官たる議員の予備議員については、第二十八条第三項の規定を準用する。
3 衆議院及び参議院の議長及び副議長たる議員の予備議員は、各々衆議院及び参議院の議員の互選による。
4 前二項の予備議員の員数は、各々その議員の員数と同数とし、その職務を行う順序は、互選の際、これを定める。
5 内閣総理大臣たる議員の予備議員は、内閣法の規定により臨時に内閣総理大臣の職務を行う者として指定された国務大臣を以て、これに充てる。
6 宮内府の長たる議員の予備議員は、内閣総理大臣の指定する宮内庁の官吏を以て、これに充てる。
7 議員に事故のあるとき、又は議員が欠けたときは、その予備議員が、その職務を行う。

第三十一条 第二十八条及び前条において、衆議院の議長、副議長又は議員とあるのは、衆議院が解散されたときは、後任者の定まるまでは、各々解散の際衆議院の議長、副議長又は議員であつた者とする。

第三十二条 皇族及び最高裁判所の長たる裁判官以外の裁判官たる議員及び予備議員の任期は、四年とする。

第三十三条 皇室会議は、議長が、これを招集する。
2 皇室会議は、第三条、第十六条第二項、第十八条及び第二十条の場合には、四人以上の議員の要求があるときは、これを招集することを要する。

第三十四条 皇室会議は、六人以上の議員の出席がなければ、議事を開き議決することができない。

第三十五条 皇室会議の議事は、第三条、第十六条第二項、第十八条及び第二十条の場合には、出席した議員の三分の二以上の多数でこれを決し、その他の場合には、過半数でこれを決する。
2 前項後段の場合において、可否同数のときは、議長の決するところによる。

第三十六条 議員は、自分の利害に特別の関係のある議事には、参与することができない。

第三十七条 皇室会議は、この法律及び他の法律に基く権限のみを行う。

  附 則

1 この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。
2 現在の皇族は、この法律による皇族とし、第六条の規定の適用については、これを嫡男系嫡出の者とする。
3 現在の陵及び墓は、これを第二十七条の陵及び墓とする。

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(参考)
大日本帝國憲法

告文

皇朕レ謹ミ畏ミ
皇祖
皇宗ノ神靈ニ誥ケ白サク皇朕レ天壌無窮ノ宏謨ニ循ヒ惟神ノ寳祚ヲ承繼シ舊圖ヲ保持シテ敢テ失墜スルコト無シ顧ミルニ世局ノ進運ニ膺リ人文ノ發達ニ隨ヒ宜ク
皇祖
皇宗ノ遺訓ヲ明徴ニシ典憲ヲ成立シ條章ヲ昭示シ内ハ以テ子孫ノ率由スル所ト爲シ外ハ以テ臣民翼贊ノ道ヲ廣メ永遠ニ遵行セシメ益〃國家ノ丕基ヲ鞏固ニシ八州民生ノ慶福ヲ増進スヘシ茲ニ皇室典範及憲法ヲ制定ス惟フニ此レ皆
皇祖
皇宗ノ後裔ニ貽シタマヘル統治ノ洪範ヲ紹述スルニ外ナラス而シテ朕カ躬ニ逮テ時ト倶ニ擧行スルコトヲ得ルハ洵ニ
皇祖
皇宗及我カ
皇考ノ威靈ニ倚藉スルニ由ラサルハ無シ皇朕レ仰テ
皇祖
皇宗ノ神祐ヲ祷リ併セテ朕カ現在及將來ニ臣民ニ率先シ此ノ憲章ヲ履行シテ愆ラサラムコトヲ誓フ庶幾クハ神靈此レヲ鑒ミタマヘ


憲法発布勅語

朕國家ノ隆昌ト臣民ノ慶福トヲ以テ中心ノ欣榮トシ朕カ祖宗ニ承クルノ大權ニ依リ現在及將來ノ臣民ニ對シ此ノ不磨ノ大典ヲ宣布ス惟フニ我カ祖我カ宗我カ臣民祖先ノ協力輔翼ニ倚リ我カ帝國ヲ肇造シ以テ無窮ニ垂レタリ此レ我カ神聖ナル祖宗ノ威徳ト竝ニ臣民ノ忠實勇武ニシテ國ヲ愛シ公ニ殉ヒ以テ此ノ光輝アル國史ノ成跡ヲ貽シタルナリ朕我カ臣民ハ即チ祖宗ノ忠良ナル臣民ノ子孫ナルヲ回想シ其ノ朕カ意ヲ奉體シ朕カ亊ヲ奨順シ相與ニ和
衷協同シ益〃我カ帝國ノ光榮ヲ中外ニ宣揚シ祖宗ノ遺業ヲ永久ニ鞏固ナラシムルノ希望ヲ同クシ此ノ負擔ヲ分ツニ堪フルコトヲ疑ハサルナリ

朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ萬世一系ノ帝位ヲ践ミ朕カ親愛スル所ノ臣民ハ即チ朕カ祖宗ノ惠撫慈養シタマヒシ所ノ臣民ナルヲ念ヒ其ノ康福ヲ増進シ其ノ懿徳良能ヲ発達セシメムコトヲ願ヒ又其ノ翼贊ニ依リ與ニ倶ニ國家ノ進運ヲ扶持セムコトヲ望ミ乃チ明治十四年十月十二日ノ詔命ヲ履践シ茲ニ大憲ヲ制定シ朕カ率由スル所ヲ示シ朕カ後嗣及臣民及臣民ノ子孫タル者ヲシテ永遠ニ循行スル所ヲ知ラシム

國家統治ノ大權ハ朕カ之ヲ祖宗ニ承ケテ之ヲ子孫ニ傳フル所ナリ朕及朕カ子孫ハ將來此ノ憲法ノ條章ニ循ヒ之ヲ行フコトヲ愆ラサルヘシ

朕ハ我カ臣民ノ權利及財産ノ安全ヲ貴重シ及之ヲ保護シ此ノ憲法及法律ノ範圍内ニ於テ其ノ享有ヲ完全ナラシムヘキコトヲ宣言ス

帝國議會ハ明治二十三年ヲ以テ之ヲ召集シ議會開會ノ時ヲ以テ此ノ憲法ヲシテ有効ナラシムルノ期トスヘシ

將來若此ノ憲法ノ或ル條章ヲ改定スルノ必要ナル時宜ヲ見ルニ至ラハ朕及朕カ繼統ノ子孫ハ発議ノ權ヲ執リ之ヲ議會ニ付シ議會ハ此ノ憲法ニ定メタル要件ニ依リ之ヲ議決スルノ外朕カ子孫及臣民ハ敢テ之カ紛更ヲ試ミルコトヲ得サルヘシ

朕カ在廷ノ大臣ハ朕カ爲ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ責ニ任スヘク朕カ現在及將來ノ臣民ハ此ノ憲法ニ對シ永遠ニ從順ノ義務ヲ負フヘシ

御名御璽

  明治二十二年二月十一日

      内閣総理大臣  伯爵 黒田 清隆
      枢密院議長   伯爵 伊藤 博文
      外務大臣    伯爵 大隈 重信
      海軍大臣    伯爵 西郷 從道
      農商務大臣   伯爵 井上  馨
      司法大臣    伯爵 山田 顕義
      大蔵大臣
      兼内務大臣   伯爵 松方 正義
      陸軍大臣    伯爵 大山  巌
      文部大臣    子爵 森  有礼
      逓信大臣    子爵 榎本 武揚

  明治二十二年二月十一日
大日本帝国憲法

第1章 天  皇

第1条
 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス

第2条
 皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス

第3条
 天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス

第4条
 天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ

第5条
 天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行

第6条
 天皇ハ法律ヲ裁可シ其ノ公布及執行ヲ命ス

第7条
 天皇ハ帝国議会ヲ召集シ其ノ開会閉会停会及衆議院ノ解散ヲ命ス

第8条
 天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ依リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ発ス
 此ノ勅令ハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出スヘシ若議会ニ於テ承諾セサルトキハ政府ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フコトヲ公布スヘシ

第9条
 天皇ハ法律ヲ執行スル為ニ又ハ公共ノ案寧秩序ヲ保持シ及臣民ニ幸福ヲ増進スル為ニ必要ナル命令ヲ発シ又ハ発セシム但シ命令ヲ以テ法律ヲ変更スルコトヲ得ス

第10条
 天皇ハ行政各部ノ官制及文武官ノ俸給ヲ定メ及文武官ヲ任免ス但シ此ノ憲法又ハ他ノ法律ニ特例ヲ掲ケタルモノハ各々其ノ条項ニ依ル

第11条
 天皇ハ陸海空軍ヲ統帥ス

第12条
 天皇ハ陸海空軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム

第13条
 天皇ハ戦イヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス

第14条
 天皇ハ戒厳ヲ宣告ス
 戒厳ノ要件及効力ハ法律ヲ以之ヲ定ム

第15条
 天皇ハ爵位勲章及其ノ他ノ栄典ヲ授与スル

第16条
 天皇ハ大赦特赦減刑及復権ヲ命ス

第17条
 摂政ヲ置クハ皇室典範ノ定ムル所ニ依ル
 摂政ハ天皇ノ名ニ於テ大権ヲ行フ
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第2章 臣民権利義務

第18条
 日本臣民タル要件ハ法律ノ定ムル所ニ依ル

第19条
 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ノ資格ニ応シ均シク文武官ニ任セラレ及其ノ他ノ公務ニ就クコトヲ得

第20条
 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ義務ヲ有ス

第21条
 日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ納税ノ義務ヲ有ス

第22条
 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ移住及移転ノ自由ヲ有ス

第23条
 日本臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕監禁審問処罰ヲ受クルコトナシ

第24条
 日本臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ権ヲ奪ハルルコトナシ

第25条
 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク他其ノ許諾ナクシテ住所ニ侵入セラレ捜索サルルコトナシ

第26条
 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク他信書ノ秘密ヲ侵サルルコトナシ

第27条
 日本臣民ハ其ノ所有権ヲ侵サルルコトナシ
 公益ノ為必要ナル処分ハ法律ノ定ムル所ニ依ル

第28条
 日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有ス

第29条
 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ有ス

第30条
 日本臣民ハ相当ノ敬礼ヲ守リ別ニ定ムル所ノ規程ニ従ヒ請願ヲ為スコトヲ得

第31条
 本章ニ掲ケタル条規ハ戦時又ハ国家事変ノ場合ニ於テ天皇体権ノ施行ヲ妨クルコトナシ

第32条
 本章ニ掲ゲタル条規ハ陸海空軍ノ法令又ハ規律ニ牴触セサルモノニ限リ軍人ニ準行ス
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第3章 帝国議会

第33条
 帝国議会ハ貴族院衆議院ノ両院ヲ以テ成立ス

第34条
 貴族院ハ貴族院令ノ定ムル所ニ依リ皇族華族及勅任セラレタル議員ヲ以テ組織ス

第35条
 衆議院ハ選挙法ノ定ムル所ニ依リ公選セラレタル議員ヲ以テ組織ス

第36条
 何人モ同時ニ両議院ノ議員タルコトヲ得ス

第37条
 凡テ法律ハ帝国議会ノ協賛ヲ経ルヲ要ス

第38条
 両議院ハ政府ノ提出スル法律安ヲ議決シ及各々法律安ヲ提出スルコトヲ得

第39条
 両議院ノ一ニ於テ否決シタル法律案ハ同会期中ニ於テ再ヒ提出スルコトヲ得ス

第40条
 両議院ハ法律又ハ其ノ他ノ事件ニ付各々其ノ意見ヲ政府ニ建議スルコトヲ得但シ其ノ採納ヲ得サルモノハ同会期中ニ於テ再ヒ建議スルコトヲ得ス

第41条
 帝国議会ハ毎年之ヲ召集ス

第42条
 帝国議会ハ3箇月ヲ以テ会期トス必要アル場合ニ於テハ勅令ヲ以テ之ヲ延長スルコトアルヘシ

第43条
 臨時緊急ノアル場合ニ於イテ常会ノ外臨時会ヲ召集スヘシ臨時会ノ会期ヲ定ムルハ勅令ニ依ル

第44条
 帝国議会ノ開会閉会会期ノ延長及停会ハ両院同時ニ之ヲ行フヘシ
 衆議院解散ヲ命セラルタルトキハ貴族院ハ同時ニ停会セラルヘシ

第45条
 衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ勅令ヲ以テ新ニ議員ヲ選挙セシメ解散ノ日ヨリ5箇月以内ニ之ヲ召集スヘシ

第46条
 両議院ハ各々其ノ総議員3分ノ1以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開キ議決ヲ為ス事ヲ得ス

第47条
 両議院ノ議事ハ過半数ヲ以テ決ス可否同数ナル時ハ議長ノ決スル所ニ依ル

第48条
 両議院ノ会議ハ公開ス但シ政府ノ要求又ハ其ノ院ノ決議ニ依リ秘密会ト為スコトヲ得

第49条
 両議院ハ各々天皇ニ上奏スルコトヲ得

第50条
 両議院ハ臣民リ呈出スル誓願書ヲ受クルコトヲ得

第51条
 両議院ハ此ノ憲法及議院法ニ掲クルモノノ外内部ノ整理ニ必要ナル諸規則ヲ定ムルコトヲ得

第52条
 両議院ノ議員ハ議院ニ於テ発言シタル意見及表決ニ付院外ニ於テ責ヲ負フコトナシ但シ議員自ラ其ノ言論ヲ演説刊行筆記又ハ其ノ他ノ方法ヲ以テ公布シタルトキハ一般ノ法律ニ依リ処分サレルヘシ

第53条
 両議院ノ議員ハ現行犯罪又ハ内乱外患ニ関ル罪ヲ除ク外会期中其ノ院ノ許諾ナクシテ逮捕サルルコトナシ

第54条
 国務大臣及政府委員ハ何時タリトモ各議院ニ出席シ及発スルコトヲ得

第4章 国務大臣及枢密顧問

第55条
 国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責メニ任ス
 凡テ法律勅令其ノ他国務ニ関ル詔勅ハ国務大臣ノ副署ヲ要ス

第56条
 枢密顧問ハ枢密院官制ノ定ムル所ニ依リ天皇ノ諮詢ニ応ヘ重要ノ国務ヲ審議ス

第5章 司  法

第57条
 司法権ハ天皇ノ名ニ於テ法律ニ依リ裁判所之ヲ行フ
 裁判所ノ構成ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム

第58条
 裁判官ハ法律ニ定メタル資格ヲ具フル者ヲ以テ之ヲ任ス
 裁判官ハ刑法ノ宣告又ハ懲戒ノ処分ニ由ルノ外其ノ職ヲ免セラルルコトナシ
 懲戒ノ条規ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム

第59条
 裁判ノ対審判決ハ之ヲ公開ス但シ安寧秩序又ハ風俗ノ害スルノ虞アルトキハ法律ニ依リ又ハ裁判所ノ決議ヲ以テ対審ノ公開ヲ停ムルコトヲ得

第60条
 特別裁判所ノ管轄ニ属スヘキモノハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム

第61条
 行政官庁ノ違法処分ニ由リ権利ヲ傷害セラレタリトスルノ訴訟ニシテ別ニ法律ヲ以テ定メタル行政裁判所ノ裁判ニ属スヘキモノハ司法裁判所ニ於テ受理スルノ限ニ在ラス
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第6章 会  計

第62条
 新ニ租税ヲ課シ及税率ヲ変更スルハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
 但シ報償ニ属スル行政上ノ手数料及其ノ他ノ収納金ハ前項ノ限ニ在ラス国債ヲ起シ及予算ニ定メタルモノヲ除ク外国庫ノ負担トナルヘキ契約ヲ為スハ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ

第63条
  現行ノ租税ハ更ニ法律ヲ以テ之ヲ改メサル限ハ旧ニ依リ之ヲ徴収ス

第64条
 国家ノ歳出歳入ハ毎年予算ヲ以テ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ
 予算ノ款項ニ超過シ又ハ予算ノ外ニ生シタル支出アルトキハ後日帝国議会ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス

第65条
 予算ハ前ニ衆議院ニ提出スヘシ

第66条
 皇室経費ハ現在ノ定額ニ依リ毎年国庫ヨリ之ヲ支出シ将来増額ヲ要スル場合ヲ除ク外帝国議会ノ協賛ヲ要セス

第67条
 憲法上ノ大権ニ基ツケル既定ノ歳出及法律ノ結果ニ由リ又ハ法律上政府ノ義務ニ属スル歳出ハ政府ノ同意ナクシテ帝国議会之ヲ廃除シ又ハ削減スルコトヲ得ス

第68条
 特別ノ須要ニ因リ政府ハ予メ年限ヲ定メ継続費トシテ帝国議会ノ協賛ヲ求ムルコトヲ得

第69条
 避クヘカラサル予算ノ不足ヲ補フ為ニ又ハ予算ノ外ニ生シタル必要ノ費用ニ充ツル為ニ予備費ヲ設クヘシ

第70条
 公共ノ安全ヲ保持スル為緊急ノ需要アル場合ニ於テ内外ノ情形ニ因リ政府ハ帝国議会ヲ召集スルコト能ハサルトキハ勅令ニ依リ財政上必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
 前項ノ場合ニ於テハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出シ其ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス

第71条
 帝国議会ニ於イテ予算ヲ議定セス又ハ予算成立ニ至ラサルトキハ政府ハ前年度ノ予算ヲ施行スヘシ

第72条
 国家ノ歳出歳入ノ決算ハ会計検査院之ヲ検査確定シ政府ハ其ノ検査報告ト倶ニ之ヲ帝国議会ニ提出スヘシ会計検査院ノ組織及職権ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム

第7章 補  足

第73条
 将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スル必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
 此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ総員3分ノ2以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員3分ノ2以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス

第74条
 皇室典範ノ改正ハ帝国議会ノ議ヲ経ルヲ要セス
 皇室典範ヲ以テ此ノ憲法ノ条規ヲ変更スルコトヲ得ス

第75条
 憲法及皇室典範ハ摂政ヲ置クノ間之ヲ変更スルコトヲ得ス

第76条
 法律規則命令又ハ何等ノ名称ヲ用ヰタルニ拘ラス此ノ憲法ニ矛盾セサル現行ノ法令ハ総テ遵由ノ効力ヲ有ス
 歳出上政府ノ義務ニ係ル現在ノ契約又ハ命令ハ総テ第67条ノ例ニ依ル
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(参考)
皇室典範(明治22年2月11日)

   第一章 皇位継承

第一条 大日本国皇位ハ祖宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ継承ス

第二条 皇位ハ皇長子ニ伝フ

第三条 皇長子在ラサルトキハ皇長孫ニ伝フ皇長子及其ノ子孫皆在ラサルトキハ皇次子及其ノ子孫ニ伝フ以下皆之ニ例ス

第四条 皇子孫ノ皇位ヲ継承スルハ嫡出ヲ先ニス皇庶子孫ノ皇位ヲ継承スルハ皇嫡子孫皆在ラサルトキニ限ル

第五条 皇子孫皆在ラサルトキハ皇兄弟及其ノ子孫ニ伝フ

第六条 皇兄弟及其ノ子孫皆在ラサルトキハ皇伯叔父及其ノ子孫ニ伝フ

第七条 皇伯叔父及其ノ子孫皆在ラサルトキハ其ノ以上ニ於テ最近親ノ皇族ニ伝フ

第八条 皇兄弟以上ハ同等内ニ於テ嫡ヲ先ニシ庶ヲ後ニシ長ヲ先ニシ幼ヲ後ニス

第九条 皇嗣精神若ハ身体ノ不治ノ重患アリ又ハ重大ノ事故アルトキハ皇族会議及枢密顧問ニ諮詢シ前数条ニ依リ継承ノ順序ヲ換フルコトヲ得

   第二章 践祚即位

第十条 天皇崩スルトキハ皇嗣即チ践祚シ祖宗ノ神器ヲ承ク

第十一条 即位ノ礼及大嘗祭ハ京都ニ於テ之ヲ行フ

第十二条 践祚ノ後元号ヲ建テ一世ノ間ニ再ヒ改メサルコト明治元年ノ定制ニ従フ

   第三章 成年立后立太子

第十三条 天皇及皇太子皇太孫ハ満十八年ヲ以テ成年トス

第十四条 前条ノ外ノ皇族ハ満二十年ヲ以テ成年トス

第十五条 儲嗣タル皇子ヲ皇太子トス皇太子在ラサルトキハ儲嗣タル皇孫ヲ皇太孫トス

第十六条 皇后皇太子皇太孫ヲ立ツルトキハ詔書ヲ以テ之ヲ公布ス

   第四章 敬称

第十七条 天皇太皇太后皇太后皇后ノ敬称ハ陛下トス

第十八条 皇太子皇太子妃皇太孫皇太孫妃親王親王妃内親王王王妃女王ノ敬称ハ殿下トス

   第五章 摂政

第十九条 天皇未タ成年ニ達セサルトキハ摂政ヲ置ク
2 天皇久キニ亙ルノ故障ニ由リ大政ヲ親ラスルコト能ハサルトキハ皇族会議及枢密顧問ノ議ヲ経テ摂政ヲ置ク

第二十条 摂政ハ成年ニ達シタル皇太子又ハ皇太孫之ニ任ス

第二十一条 皇太子皇太孫在ラサルカ又ハ未タ成年ニ達セサルトキハ左ノ順序ニ依リ摂政ニ任ス
  第一 親王及王
  第二 皇后
  第三 皇太后
  第四 太皇太后
  第五 内親王及女王

第二十二条 皇族男子ノ摂政ニ任スルハ皇位継承ノ順序ニ従フ其ノ女子ニ於ケルモ亦之ニ準ス

第二十三条 皇族女子ノ摂政ニ任スルハ其ノ配偶アラサル者ニ限ル

第二十四条 最近親ノ皇族未タ成年ニ達セサルカ又ハ其ノ他ノ事故ニ由リ他ノ皇族摂政ニ任シタルトキハ後来最近親ノ皇族成年ニ達シ又ハ其ノ事故既ニ除クト雖皇太子及皇太孫ニ対スルノ外其ノ任ヲ譲ルコトナシ

第二十五条 摂政又ハ摂政タルヘキ者精神若ハ身体ノ重患アリ又ハ重大ノ事故アルトキハ皇族会議及枢密顧問ノ議ヲ経テ其ノ順序ヲ換フルコトヲ得

   第六章 太傅

第二十六条 天皇未タ成年ニ達セサルトキハ太傅ヲ置キ保育ヲ掌ラシム

第二十七条 先帝遺命ヲ以テ太傅ヲ任セサリシトキハ摂政ヨリ皇族会議及枢密顧問ニ諮詢シ之ヲ選任ス

第二十八条 太傅ハ摂政及其ノ子孫之ニ任スルコトヲ得ス

第二十九条 摂政ハ皇族会議及枢密顧問ニ諮詢シタル後ニ非サレハ太傅ヲ退職セシムルコトヲ得ス
                          皇室典範(旧)TOPに戻る
   第七章 皇族

第三十条 皇族ト称フルハ太皇太后皇太后皇后皇太子皇太子妃皇太孫皇太孫妃親王親王妃内親王王王妃女王ヲ謂フ

第三十一条 皇子ヨリ皇玄孫ニ至ルマテハ男ヲ親王女ヲ内親王トシ五世以下ハ男ヲ王女ヲ女王トス

第三十二条 天皇支系ヨリ入テ大統ヲ承クルトキハ皇兄弟姉妹ノ王女王タル者ニ特ニ親王内親王ノ号ヲ宣賜ス

第三十三条 皇族ノ誕生命名婚嫁薨去ハ宮内大臣之ヲ公告ス

第三十四条 皇統譜及前条ニ関ル記録ハ図書寮ニ於テ尚蔵ス

第三十五条 皇族ハ天皇之ヲ監督ス

第三十六条 摂政在任ノ時ハ前条ノ事ヲ摂行ス

第三十七条 皇族男女幼年ニシテ父ナキ者ハ宮内ノ官僚ニ命シ保育ヲ掌ラシム事宜ニ依リ天皇ハ其ノ父母ノ選挙セル後見人ヲ認可シ又ハ之ヲ勅選スヘシ

第三十八条 皇族ノ後見人ハ成年以上ノ皇族ニ限ル

第三十九条 皇族ノ婚嫁ハ同族又ハ勅旨ニ由リ特ニ認許セラレタル華族ニ限ル

第四十条 皇族ノ婚嫁ハ勅許ニ由ル

第四十一条 皇族ノ婚嫁ヲ許可スルノ勅書ハ宮内大臣之ニ副署ス

第四十二条 皇族ハ養子ヲ為スコトヲ得ス

第四十三条 皇族国彊ノ外ニ旅行セムトスルトキハ勅許ヲ請フヘシ

第四十四条 皇族女子ノ臣籍ニ嫁シタル者ハ皇族ノ列ニ在ラス但シ特旨ニ依リ仍内親王女王ノ称ヲ有セシムルコトアルヘシ

   第八章 世伝御料

第四十五条 土地物件ノ世伝御料ト定メタルモノハ分割譲与スルコトヲ得ス

第四十六条 世伝御料ニ編入スル土地物件ハ枢密顧問ニ諮詢シ勅書ヲ以テ之ヲ定メ宮内大臣之ヲ公告ス

   第九章 皇室経費

第四十七条 皇室諸般ノ経費ハ特ニ常額ヲ定メ国庫ヨリ支出セシム

第四十八条 皇室経費ノ予算決算検査及其ノ他ノ規則ハ皇室会計法ノ定ムル所ニ依ル

   第十章 皇室訴訟及懲戒

第四十九条 皇族相互ノ民事ノ訴訟ハ勅旨ニ依リ宮内省ニ於テ裁判員ヲ命シ裁判セシメ勅裁ヲ経テ之ヲ執行ス

第五十条 人民ヨリ皇族ニ対スル民事ノ訴訟ハ東京控訴院ニ於テ之ヲ裁判ス但シ皇族ハ代人ヲ以テ訴訟ニ当ラシメ自ラ訟廷ニ出ルヲ要セス

第五十一条 皇族ハ勅許ヲ得ルニ非サレハ勾引シ又ハ裁判所ニ召喚スルコトヲ得ス

第五十二条 皇族其ノ品位ヲ辱ムルノ所行アリ又ハ皇室ニ対シ忠順ヲ缺クトキハ勅旨ヲ以テ之ヲ懲戒シ其ノ重キ者ハ皇族特権ノ一部又ハ全部ヲ停止シ若ハ剥奪スヘシ

第五十三条 皇族蕩産ノ所行アルトキハ勅旨ヲ以テ治産ノ禁ヲ宣告シ其ノ管財者ヲ任スヘシ

第五十四条 前二条ハ皇族会議ニ諮詢シタル後之ヲ勅裁ス

   第十一章 皇族会議

第五十五条 皇族会議ハ成年以上ノ皇族男子ヲ以テ組織シ内大臣枢密院議長宮内大臣司法大臣大審院長ヲ以テ参列セシム

第五十六条 天皇ハ皇族会議ニ親臨シ又ハ皇族中ノ一員ニ命シテ議長タラシム

   第十二章 補則

第五十七条 現在ノ皇族五世以下親王ノ号ヲ宣賜シタル者ハ旧ニ依ル

第五十八条 皇位継承ノ順序ハ総テ実系ニ依ル現在皇養子皇猶子又ハ他ノ継嗣タルノ故ヲ以テ之ヲ混スルコトナシ

第五十九条 親王内親王王女王ノ品位ハ之ヲ廃ス

第六十条 親王ノ家格及其ノ他此ノ典範ニ牴触スル例規ハ総テ之ヲ廃ス

第六十一条 皇族ノ財産歳費及諸規則ハ別ニ之ヲ定ムヘシ

第六十二条 将来此ノ典範ノ条項ヲ改正シ又ハ増補スヘキノ必要アルニ当テハ皇族会議及枢密顧問ニ諮詢シテ勅定スヘシ


皇室典範増補(明治40年2月11日)

第一条 王ハ勅旨又ハ情願ニ依リ家名ヲ賜ヒ華族ニ列セシムルコトアルヘシ

第二条 王ハ勅許ニ依リ華族ノ家督相続人トナリ又ハ家督相続ノ目的ヲ以テ華族ノ養子トナルコトヲ得

第三条 前二条ニ依リ臣籍ニ入リタル者ノ妻直系卑属及其ノ妻ハ其ノ家ニ入ル但シ他ノ皇族ニ嫁シタル女子及其ノ直系卑属ハ此ノ限ニ在ラス

第四条 特権ヲ剥奪セラレタル皇族ハ勅旨ニ由リ臣籍ニ降スコトアルヘシ
2 前項ニ依リ臣籍ニ降サレタル者ノ妻ハ其ノ家ニ入ル

第五条 第一条第二条第四条ノ場合ニ於テハ皇族会議及枢密顧問ノ諮詢ヲ経ヘシ

第六条 皇族ノ臣籍ニ入リタル者ハ皇族ニ復スルコトヲ得ス

第七条 皇族ノ身位其ノ他ノ権義ニ関スル規程ハ此ノ典範ニ定メタルモノノ外別ニ之ヲ定ム
2 皇族ト人民トニ渉ル事項ニシテ各々適用スヘキ法規ヲ異ニスルトキハ前項ノ規程ニ依ル

第八条 法律命令中皇族ニ適用スヘキモノトシタル規定ハ此ノ典範又ハ之ニ基ツキ発スル規則ニ別段ノ条規ナキトキニ限リ之ヲ適用ス


皇室典範増補(大正7年11月28日)

皇族女子ハ王族又ハ公族ニ嫁スルコトヲ得

皇室典範及皇室典範増補廃止ノ件(昭和22年5月1日)

明治二十二年裁定ノ皇室典範並ニ明治四十年及大正七年裁定ノ皇室典範増補ハ昭和二十二年五月二日限リ之ヲ廃止ス

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