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                 (青字の部分はサイト管理者のコメント)

自民党の考えていることが下記のとおり整理され、より鮮明になってきました。ご一読願います。。


  
(馬鹿馬鹿しいが軽蔑している時ではありません。相手の主張をつかみ、馬鹿さ加減を暴露するしかありません。自民党は論点整理と言っていますが、整理し国民に明確にすると都合が悪いようです。国民をごまかして進めるのは許せません。自民党は国民に嘘を言ってはなりません。要注意です。)

  
自民党内合同チームによる憲法改正案の骨格

憲法改正プロジェクトチーム                        平成16年6月10日
「論点整理(案)」
                                         自由民主党政務調査会
                                         憲法調査会
                                         憲法改正プロジェクトチーム
はじめに

 新時代にふさわしい新たな憲法を求める国民的気運は、かつてない高まりをみせている。わが党は、先の総選挙の政権公約において立党50年を迎える平成17年11月までに新しい憲法草案をつくることを国民に対して約束し、国民は大きな支持をもってこれに応えた。われわれは、党を挙げて、新憲法の草案作成という公約を実行に移すときを迎えている。

 本プロジェクトチームは、昨年12月22日の第1回会合以来、去る6月4日までの間、 合計18回の会合を重ね、日本国憲法103ヶ条の全条文(前文を含む)に関して、各条章ごとに審議・検討を行った。これらの会合のうちの大半は、国民世論を喚起するという見地から報道各社に公開の会合とするとともに、その議事録をインターネットで全国民に公開することとした。去る5月13日からは、各条章ごとの審議・検討において表明された様々な意見を踏まえた論点整理を行った。

 本プロジェクトチームの議論は、結果的に「新憲法が必要である」という方向性を示すものとなった。もちろん、近い将来に行われるであろう現実的な憲法改正は、両議院の3分の2以上の多数の合意が必要であることから、各党間の具体的な憲法改正協議によっては、必ずしも全面改正という形にならない可能性も否定できない。しかし、わが党が志向するあるべき新憲法の全体像を示すことは、公党としての国民に対する責務であると考え、これまでの議論を取りまとめ、この「論点整理(案)」を作成した。

 本プロジェクトチームは、「論点整理(案)」をもとに、今後も自由闊達な意見を各位から求め、慎重な検討を重ねつつ、わが党の叡智を結集した最良の憲法草案に向け、さらに検討を進める。国民各層のご理解とご協力を切にお願い申し上げます。

 (歴代自民党が果たせなかった憲法改悪。小選挙区制導入により、民主主義を否定しながら改憲の準備をしてきた。いったい自民党の叡智とは何だろうか。私利私欲の為に憲法を改悪し、国民を戦争への道に引きずり込むことか。

 国民にどんな利益があるのだろうか。国民の生活が豊かになるのだろうか。そうではない。国民はますますアメリカに隷従し、ついには植民地となりそうである。自民党こそ非国民なのである。戦争を強制されないのが現憲法である。すでに有事関連7法案の成立で事前準備はほぼ整っている。そこには「国民保護法案と称する」国民の自由・民主主義を制限し、戦争のために国民を動員・強制させる法案まで成立しているのだ。国民保護という名があるものだから、核爆弾から国民を守ってくれものと思っていたら、そうではなかった。

 私には不安がある。それは憲法改正は「国民投票の過半数で成立」という現憲法の規定である。この憲法はこれほどまでに投票率が下がることを想定していなかったであろう。憲法を改正するときは「有権者の過半数の賛成」にしないと、国民全体の生活の基盤となる憲法にはならないと思う。

 これが現憲法の欠陥と言えば欠陥だろう。「政治・生活など難しい話」はおまかせしますと棄権する人が増えれば、政府・自民党にとっては都合がいいのである。極端な例だが、60%の投票率の過半数は30%である。全国民有権者のたった30%が賛成すれば憲法改正は可能になる。そこまで国民は腐りきっていないことを信じたい。)


T 総論

一 新憲法制定にあたっての基本的考え方

 本プロジェクトチームの審議・検討を通じて浮かび上がった新憲法制定に当たっての基本的な考え方は、おおよそ次のとおりである。この中には、われわれの議論の共通基盤である、先の総選挙における政権公約の内容も含まれている。
《新憲法が目指すべき国家像について》
〇新憲法が目指すべき国家像とは、国民誰もが自ら誇りにし、国際社会から尊敬される「品格ある国家」である。新憲法では、基本的に国というものはどういうものであるかをしっかり書き、国と国民の関係をはっきりさせるべきである。そうすることによって、国民の中に自然と「愛国心」が芽生えてくるものと考える。

(何を言ってるのか意味不明。現憲法が品格の無い国家をめざしているのだろうか。国際社会から尊敬されていないのは小泉と自民党政治によるもの。自民党は武力を背景とした外交しか能がない。)

〇諸外国の憲法の規定例を参考にして、わが国が目指すべき社会がどういうものであるか(例えば「公正で活力ある経済活動が行われる社会」など)、その大綱について憲法に明示すべきである。

(経済活動ではなく、ここではせめて豊かな国民生活と言って欲しかった。本音を出した露骨な言い方ではありますね。)


《21世紀にふさわしい憲法のあり方に関して》
 新憲法は、21世紀の新しい日本にふさわしいものであるとともに、科学技術の進歩、少子高齢化の進展等新たに直面することとなった課題に対応するものでなければならない。同時に、人間の本質である社会性が個人の尊厳を支える「器」であることを踏まえ、家族や共同体が、「公共」の基本をなすものとして、新憲法において重要な位置を占めなければならない。

(「科学技術の進歩があれば憲法改正」とは子供にもわかる屁理屈。ここも意味不明で、はたして21世紀にふさわしいというものがあるのだろうか。そういう普遍的な原則は存在しない。戦前の家族制度や隣組を重視し助け合い、互いにスパイがいないか非国民がいないか監視しあい、戦争に備えるという意味か?)

《わが国の憲法として守るべき価値に関して》
 新憲法は、国民主権・平和主義・基本的人権の尊重という三原則など現憲法の良いところ、すなわち人類普遍の価値を発展させつつ、現憲法の制定時に占領政策を優先した結果置き去りにされた歴史、伝統、文化に根ざしたわが国固有の価値(すなわち「国柄」)や、日本人が元来有してきた道徳心など健全な常識に基づいたものでなければならない。同時に、日本国、日本人のアイデンティティを憲法の中に見出すことができるものでなければならない。

(言い換えると、明治憲法時代の天皇制に基づく価値観をおしつけようというもの?このように言えば、意味がわかりやすいのだが。)

二 主要分野における重要方針

 一に掲げた基本的な考え方をもとに、安全保障など主要分野においてはさらに突っ込んだ討議がなされた。それらの討議全体を通じて、われわれが共有すると思われる新憲法草案の起草に当たっての重要方針は、おおよそ次のとおりである。
《安全保障の分野に関して》
〇新憲法には、国際情勢の冷徹な分析に基づき、わが国の独立と安全をどのように確保するかという明確なビジョンがなければならない。同時に、新憲法は、わが国が、自由と民主主義という価値を同じくする諸国家と協働して、国際平和に積極的能動的に貢献する国家であることを内外に宣言するようなものでなければならない。

(憲法に謳ってないから、解釈改憲にすすんだのか?護憲の議員が存在し監視しているので改憲に踏み切れず、解釈改憲という手法で国民を欺いただけである。今日までは平和外交という基本姿勢の下に外交政策がとられてきたのであり、日本の発展に貢献した。外交の基本を変更する必要は全く無い。
 価値観が違うのはそれぞれの国の独自性であり、歴史・文化・発展段階・宗教などの違いによるものであり、全方位外交が機軸になければならない。違いを強調するのは間違いで意味もない。従ってこの主張は誤りであり、危険である。人間は社会的動物ということを肝に命じておかねばならない。国際平和に云々・・・は憲法改正の理由にならない。)


〇さらに、このような国際平和への貢献を行う際には、他者の生命・尊厳を尊重し、公正な社会の形成に貢献するという「公共」の基本的考え方を国際関係にも広げ、憲法においてどこまで規定すべきかを議論する必要があると考える。

(この文章も意味不明だ。「大義名分のないアメリカのイラク戦争と日本の隷従」をどのように考えるのだろうか。具体的でないのでコメントしにくい。)

《基本的人権の分野に関して》
 新しい時代に対応する新しい権利をしっかりと書き込むべきである。同時に、権利・自由と表裏一体をなす義務・責任や国の責務についても、共生社会の実現に向けての公と私の役割分担という観点から、新憲法にしっかりと位置づけるべきである。

(新しい時代に対応するには、生きる権利が縮小されねばならないとは何故だろうか。共生社会の実現と書いてあるが何を言いたいのだろうか。公私の分担とは、国や自治体は戦争に専念し、生活は個人の問題と言うのだろうか。)

《統治機構について》
 新憲法には、迅速かつ的確な政策決定及び合理的かつ機動的な政策執行を可能とする統治システムが組み込まれたものでなければならない。また、憲法裁判所制度など憲法の実効性を担保する制度や道州制など国のかたちをなす大きな要素についてこの際明確に位置づけるべきである。

(議論のできない大政翼賛会的なものをめざしているのでしょうか。憲法裁判所は否定しませんが、現在の裁判所は憲法判断や政府に遠慮しています。信任投票も問題があります。白紙で投票すると信任されるのは不思議な制度である。そこを正せば問題ありません。今のような裁判所を名前を変えても機能しないし、意味がありません。また道州制については今後も十分議論しなければなりません。この稿でも憲法改正の必要性はありません。)

三 今後の議論の方向性

 憲法を論ずるに当たり、まず、国家とは何であるかについて、わが党の考え方を明らかにし、国民各層の理解を深めていく必要があると思われる。

 次に、憲法の意義を明らかにするべきである。すなわち、これまでは、ともすれば、憲法とは「国家権力を制限するために国民が突きつけた規範である」ということのみを強調する論調が目立っていたように思われるが、今後、憲法改正を進めるに当たっては、憲法とは、そのような権力制限規範にとどまるものではなく、「国民の利益ひいては国益を守り、増進させるために公私の役割分担を定め、国家と国民とが協力し合いながら共生社会をつくることを定めたルール」としての側面を持つものであることをアピールしていくことが重要である。

 さらに、このような憲法の法的な側面ばかりではなく、憲法という国の基本法が国民の行為規範として機能し、国民の精神(ものの考え方)に与える影響についても考慮に入れながら、議論を続けていく必要があると考える。

(自民党は、憲法とは「国家権力を制限するために国民が突きつけた規範である」と受け止めているようである。憲法は国民の一致できる基準である。国民すべてが守るものであり、その中に国家権力がある。だから守るのは当然である。彼らは国民を敵視し、、国民対自民党の対決構図や視点で考えているようである。とにかく憲法はいらないようである。
 国家=支配階級が被支配階級を支配するための権力または権力機構。憲法は「国家権力を制限するために国民がつきつけた規範」と受け止めるということは、日本の支配階級が憲法が邪魔になっていることを正直に言ったものである。本音が出ていると思われる。今、何故邪魔になってきたのか研究しなければならない。
 国家と国民が協力していくのは重要だが、国民の為になっていないのが、私利私欲に走っているのが、小泉内閣であり、自民党である。)


U 各論

一 前 文

1 共通認識
現行憲法の前文については、これを全面的に書き換えるものとすることで、異論はなかった。

2 前文に盛り込むべき内容
前文に盛り込むべき内容に関する意見は、次のとおりである。
〇現行憲法の基本原則である「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」は、今後ともこれを堅持していくべきである。ただし、「基本的人権の尊重」については行き過ぎた利己主義的風潮を戒める必要がある。また、「平和主義」についても、現行憲法9条の見直しを反映させ「一国平和主義」の誤りを正すとともに、国を挙げて国際平和を推し進める姿勢を強調するなど修正が必要である。

○国民誰もが自ら誇りにし、国際社会から尊敬される「品格ある国家」を目指すことを盛り込むべきである。
○わが国の歴史、伝統、文化等を踏まえた「国柄」を盛り込むべきである。
○環境権や循環型社会の理念(持続可能な社会づくりの観点)などを盛り込むべきである。
○社会を構成する重要な単位である家族に関する文言を盛り込むべきである。
○利己主義を排し、「社会連帯、共助」の観点を盛り込むべきである。
○国を守り、育て、次世代に受け継ぐ、という意味での「継続性」を盛り込むべきである。

3 前文の文章表現
前文の文章表現に関する意見は、次のとおりである。
○翻訳調の現行の前文の表現を改め、前文の文章は、平易で分かりやすいものとし、模範的な日本語の表現を用いるべきである。
○一つの文章が冗長にならないようにすべきである。

4 今後の議論の方向性
 前文に盛り込むべき内容は、憲法の各条章の内容と深く関わるものであり、今後の議論の流れによっては大きく異なることも予想され、現時点でその内容を固める必要はないものと考える。一方、文章表現については、わが国の憲法である以上わが国の言葉で書かれるべきことは当然であるとしても、文体や語彙の選択は、盛り込むべき内容のいかんによって左右されるものであり、内容が固まってから議論の対象とすべきである。
 したがって、前文の議論は、各条文の議論が進んでから最後に再び行うこととした。

(「基本的人権の尊重」については行き過ぎた利己主義的風潮を戒める必要があるとしているが、利己主義的なのはたっぷりとぼろ儲けし使い切れない金を溜め込んだ財界と政治部隊の自民党や官僚である。働く能力を高めた大学を卒業すれば自己の利益のためには何をしてもいいというのが彼らの感覚である。税金で東大を卒業し、悪事を働いているのは彼らである。最近では関電や東電、ブリジストン、新日鉄、JRなどの不祥事こそあらためねばならない。しかし自民党が言ってるのはそうではないらしい。勤労諸国民に対して言っているのである。自由社会の自民党と宣伝してきた彼らの言うべき言葉ではない。個人の人権は人間の尊厳として最大限尊重されるべきである。公権力は慎重でなければならないのは当然である。
「国を挙げて国際平和を推し進める姿勢」を強調するとあるが、大義のないイラク戦争を支援するのは「国を挙げて国際平和を推し進める姿勢」ではなく、言葉とは正反対である。では何を言いたいのだろうか。政府の「国際平和??」「国際協調??」に国民は逆らうなということかもしれない。

「一国平和主義」が問題になっているが、「護憲勢力の平和外交」に対して自民党が一方的に非難しているのであり、日本には「一国平和主義」という理念はない。自民党が勝手に作り出した言葉である。アメリカ一国主義に隷従する小泉外交こそが国民を戦争へ巻き込む危険がある。
これまで護憲勢力が主張しているのは、戦争や原爆の経験から2度と戦争をしてはならないという経験に基づいたもので、平和外交の上に立った国際主義の政策であり、護憲勢力のどの文章にも一国平和主義などとは書かれていない。自民党案では軍隊を派遣すれば平和になるかのようだが、そうではない。アメリカが一方的に始めたイラク・アフガン戦争が失敗だったことを証明している。国際平和国際協調の名の下に支援したアメリカは現在もテロリスト以外の一般市民を攻撃し殺戮を繰り返している。アメリカは新たなテロを誘発させている。外交は主権の存する各国の立場を尊重し、平等・互恵の精神でなければならない。

「わが国の歴史、伝統、文化等を踏まえた「国柄」を盛り込むべきである。」とか「品格ある国家」が強調されている。明治維新に天皇制推進の為の国家神道・廃仏毀釈は国民的文化を破壊したとも言わているが、どう整理するのであろうか。またナショナリズムを国家自らが宣伝扇動し、地域間競争をあおり競って戦死するように、国民の意識を変えようというものである。「戦争に対する抵抗感」をなくし、いつでも戦争ができるようにという準備に思える。

「国を守り、育て、次世代に受け継ぐ、という意味での『継続性』を盛り込むべきである。」とあるが意味不明である。ただ神道では「継続性」が強調されているようである。
前文に盛り込む大きな問題としては、新憲法の継続性を述べ、変えてはならないということがあるかもしれない。)



二 天 皇

1 共通認識
象徴天皇制については、今後ともこれを維持すべきものであることについては、異論がなかった。

2 改正意見
天皇の国事行為その他の公的行為に関する改正意見は、次の通りである。
○天皇の国事行為について定める第7条の規定のうち第4号の「国会議員の総選挙を公示すること」は誤りであり、これは「衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の公示をすること」とすべきである。
○天皇の祭祀等の行為を「公的行為」と位置づける明文の規定を置くべきである。

3 今後の議論の方向性
 連綿と続く長い歴史を有するわが国において、天皇はわが国の文化・伝統と密接不可分な存在となっているが、現憲法の規定は、そうした点を見過ごし、結果的にわが国の「国柄」を十分に規定していないのではないか、また、天皇の地位の本来的な根拠は、そのような「国柄」にあることを明文規定をもって確認すべきかどうか、天皇を元首として明記すべきかなど、様々な観点から、現憲法を見直す必要があると思われる。

 なお、女帝問題については、皇室典範の改正という観点から今後検討すべき論点であるとの意見が多数を占めた。

(日本の支配者は鎌倉幕府以来、「現人神としての天皇」の命によりという錦の御旗を担ぎ国民を支配してきた。国民を支配するのは難しかったからであろう。今も相変わらず特別の支配者天皇を利用して国民支配を目論んでいるように見える。女帝問題は男女差別廃止という観点からは問題はあるが、ここでは天皇家を存続させ利用するために提起されている。天皇制は一種の宗教のようなもので、それこそ21世紀には必要ない。天皇家の祭祀を公的行為という発想は、明治政府の失政として経験がある国家神道への道を開き、そして信教の自由を脅かすものとして大問題である。靖国神社問題と同様、神道議員連盟や安倍事務局長の考えそうなことではある。)

三 安全保障

1  共通認識
次の点については、大多数の同意が得られた。
○自衛のための戦力の保持を明記すること。

2 安全保障に関し盛り込むべき内容
安全保障について盛り込むべき内容は、次のとおりである。
○個別的・集団的自衛権の行使に関する規定を盛り込むべきである。
〇内閣総理大臣の最高指揮権及びシビリアン・コントロールの原則に関する規定を盛り込むべきである。
〇非常事態全般(有事、治安的緊急事態(テロ、大規模暴動など),自然災害)に関する規定を盛り込むべきである。
○「人間の安全保障」(積極的な「平和的生存権」)の概念など、国際平和の構築に関する基本的事項を盛り込むべきである。
○国際協力(国際貢献)に関する規定を盛り込むべきである。
○集団的安全保障、地域的安全保障に関する規定を盛り込むべきである。
○食糧安全保障、エネルギー安全保障などに関する規定を盛り込むべきである。

3 今後の議論の方向性
 21世紀において、わが国は、国力に見合った防衛力を保有し、平和への貢献を行う国家となるべきである。こうした観点から、今後は、個別的及び集団的自衛権の行使のルール、集団的安全保障・地域的安全保障における軍事的制裁措置への参加のルール並びに国際的平和維持協力活動への参加のルールはいかにあるべきかを議論しながら、憲法においてどこまで規定すべきかを考える必要がある。

 なお、非常事態については、国民の生命、身体及び財産を危機から救うことが国家の責務であること、その責務を果たすために非常時においてこそ国家権力の円滑な行使が必要であるということを前提に、憲法に明文の規定を設ける方向で議論する必要があると考える。

四 国民の権利及び義務

1 共通認識
時代の変化に対応して新たな権利・新たな義務を規定するとともに、国民の健全な常識感覚から乖離した規定を見直すべきであるということについて、異論はなかった。

2 新しい権利
いわゆる「新しい権利」に関する意見は、次のとおりである。
○「環境権」とともに『環境保全義務』に関する規定を設けるべきである。
○IT社会の進展に対応した「情報開示請求権」や「プライバシー権」に関する規定を設けるべきである。
○科学技術の進歩に対応した「生命倫理に関する規定」を設けるべきである。
○知的財産権の保護に関する規定を設けるべきである。
○現憲法は被告人(加害者)の人権に偏しており、犯罪被害者の権利に関する規定を設けるべきである。

3 公共の責務(義務)
公共の責務(義務)に関する意見は、次のとおりである。
○社会連帯・共助の観点からの「公共的な責務」に関する規定を設けるべきである。
○家族を扶助する義務を設けるべきである。また、国家の責務として家族を保護する規定を設けるべきである。
○国の防衛及び非常事態における国民の協力義務を設けるべきである。

4 見直すべき規定
上記の2・3とも一部重複するが、現憲法の運用の実態に照らし、権利に関する規定を見直すべきとする意見は、次のとおりである。
○政教分離規定(現憲法20条3項)を、わが国の歴史と伝統を踏まえたものにすべきである。
○「公共の福祉」(現憲法12条、13条、22条、29条)を「公共の利益」あるいは「公益」とすべきである。
○婚姻・家族における両性平等の規定(現憲法24条)は、家族や共同体の価値を重視する観点から見直すべきである。
○社会権規定(現憲法25条)において、社会連帯、共助の観点から社会保障制度を支える義務・責務のような規定を置くべきである。

5 今後の議論の方向性
 この分野における本プロジェクトチーム内の議論の根底にある考え方は、近代憲法が立脚する「個人主義」が戦後のわが国においては正確に理解されず、「利己主義」に変質させられた結果、家族や共同体の破壊につながってしまったのではないか、ということへの懸念である。
 権利が義務を伴い、自由が責任を伴うことは自明の理であり、われわれとしては、家族・共同体における責務を明確にする方向で、新憲法における規定ぶりを考えていくべきではないか。同時に、科学技術の進歩、少子化・高齢化の進展等の新たな状況に対応した、「新しい人権」についても、積極的に取り込んでいく必要があろう。

 なお、美しい国づくりの観点から、景観を含めた環境保全と私権との調整についても今後の検討課題とする必要があると思われる。また、地方参政権(現憲法93条2項)について明確な規定を置くべきとの意見をふまえ、今後さらに検討を続ける必要がある。



五 国会及び内閣

1 共通認識
次の点については、大多数の同意が得られた。
○政治主導の政策決定システムをより徹底させるとともに、そのプロセスを大胆に合理化し、時代の変化に即応してスピーディに政治判断を実行に移せるシステムとすべきである。
○現在の二院制については、両院の権限や選挙制度が似かよったものとなっている現状をそのまま維持すべきではなく、何らかの改編が必要である。

2 改正意見
国会及び内閣の分野で、憲法改正に関する意見は、次の通りである。
○議事の定足数(現憲法56条1項)は、削除すべきである。
○総理大臣以下の国務大臣の国会への出席義務を緩和し、副大臣などの代理出席でよいとするなど憲法の規定を見直すべきである。
○法律案の提案権は、国会議員(国務大臣たる国会議員を含む)に限定する方向で憲法の規定を見直すべきである。
○閣議における内閣総理大臣のリーダーシップ、衆議院の解散権の行使主体及び行使要件、国会の予算修正権など、現憲法では必ずしも明確でない事項について明確な規定を置くべきである。
規定すべきかを考える必要がある。
〇文民条項(現憲法66条2項)は、削除すべきである。

3 今後の議論の方向性
 議会制民主主義を採る以上、政策決定に当たり議会の多数の同意を得なければならないことは当然であるが、現在の政策決定システムの問題(運用も含めて)は、各省庁と内閣・政党との関係、一律の国務大臣の出席義務、会議の定足数など、最終的に議会の同意を得るに至るまでの間にあまりにも多くの時間を要するシステムになっているのではないかという点である。

 要は、どのような政策決定システムであれば国民の権利利益を適時適切に伸張・擁護することができるのかが重要なのであって、今後も、この観点から議論を続ける必要があろう。なお、首相公選制、国会議員の任期や会期制に関する規定(現憲法52条、53条)、副大臣の憲法上の位置づけなどについても、今後検討する必要があると思われる。

(総理大臣の権限の強化と首相公選制その他選挙制度の改悪が検討されている。民主主義や国民主権を脅かす内容がある。)

六 司 法

1 共通認識
次の点については、異論がなかった。
○最高裁判所による違憲立法審査権の行使の現状には、極めて不満がある。
○民主的統制を確保しつつも政治部門が行う政策決定・執行に対する第三者的な立場から憲法判断をする仕組み(憲法裁判所制度、あるいは最高裁判所の改組など)について検討すべきである。
○裁判官の身分保障のあり方について見直すべきである。
○民事・刑事を問わず裁判の迅速化を図るべきである。

2 改正意見
現憲法第6章(司法)に関する改正意見は、次のとりである。
○最高裁判所裁判官の国民審査の制度(現憲法79条)は廃止し、廃止後の適格性審査の制度についてはさらに検討を行うべきである。
○最高裁判所裁判官の任期は10年とし、再任を行わないものとする。
○下級裁判所の裁判官の任期は、3年を下回ってはならず、10年を超えてはならないとすべきである(再任は妨げないものとする)。
〇一定の場合には裁判官の報酬(現憲法79条・80条)を減額することができる旨の明文規定を置くべきである。

3 今後の議論の方向性
 司法のあり方については、一部に、常識に反する裁判をしているとの国民の批判を招いていることを踏まえ、司法制度改革を推進しつつ、今後とも検討を進める必要がある。同時に、司法への国民参加という観点から憲法に何らかの規定を置くべきかどうかについても、今後の検討課題とすべきである。

 また、弁護士会に入会しなければ弁護士になれないという現行弁護士法のあり方についても議論となったが、「結社の自由」との関連でどう考えるか引き続き検討することとしたい。なお、憲法裁判所、行政裁判所、軍事裁判所等については、外国におけるその権能・組織などを調査しながら、引き続き議論を継続することとしたい。

七 財 政

1 共通認識
 財政民主主義を、より実質の伴うものとする方向で見直すべきであるということについては、異論がなかった。

2 改正意見
現憲法第7(財政)に関する改正意見は、次のとおりである。
○現憲法89条を書き直し、私学助成に関する明文規定を置くべきである。
○決算に関する国会の権能に関する明文規定を置くべきである。

3 今後の議論の方向性
上記の2のほか、会計年度を1年とすることを前提とした憲法・財政法の定める財政システムを検証し、健全な財政規律に関する明文規定を置くべきか否か、複数年度予算の可能性などについても、今後、検討する必要があろう。また、後年度負担を伴う財政支出については、次代への財政負担の責任を明確にするため、その発生原因,数額などに関する情報開示の必要性についても議論することとしたい。

八 地方自治

1 共通認識
 地方分権をより一層推進する必要があるという点については、異論がなかった。また、地方分権の基本的な考え方や理念を憲法に書き込む必要があることについても、大多数の同意が得られた。

2 改正意見
現憲法第8章(地方自治)に関する改正意見は、次の通りである。
○ いわゆる「道州制」を含めた新しい地方自治のあり方について、@法律の範囲内での課税自主権の付与等自主財源の確保、A自己決定権と自己責任の原則、B補完性の原則など、その基本的事項を明示すべきである。その際には、住民による自発的な自治、必要最小限の行政サービスの保障などの観点に留意すべきである。

3 今後の議論の方向性
 近年の通信交通のスピード化に伴い、住民の生活圏は広域化する傾向にある。従来の都道府県は以前ならば十分「広域」自治体であったが、今では、大きな市で県に匹敵する区域を有するものも出てくるようになっている。一方で、農山漁村の中には過疎化で消滅の危機にある地域がいくつもあり、その地域に根ざす伝統や文化が絶えてしまうおそれが出てきている。こうした問題に対して、現憲法は何の解決策も用意していないのではないだろうか。

 こういった観点から、今後とも、「道州制」(その前提としての「市町村合併」や中央政府と道州政府による統治権限の適切な分配のあり方等)や、地方財政における受益と負担の関係の適正化などに関する議論を進めていく必要があると考える。また、住民投票の濫用防止規定についても更に検討を進めることとする。また、昭和26年以降「一の地方公共団体のみに適用される特別法」の制定はなく、現行95条は削除する方向で検討する。

九 改 正

現憲法の改正要件については、概ね、次の2点について議論がなされた。
(1) 現憲法の改正要件は、比較憲法的に見てもかなり厳格であり、これが、時代の趨勢にあった憲法改正を妨げる一因になっていると思われる。したがって、例えば、憲法改正の発議の要件である「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」を「各議院の総議員の過半数」とし、あるいは、各議院について総議員の3分の2以上の賛成が得られた場合には、国民投票を要しないものとする等の緩和策を講ずる(そのような憲法改正を行う)べきではないか。
(2) 憲法改正の国民投票について、現憲法は「特別の国民投票」と「国会の定める選挙の際行われる投票(国政選挙と同時に行うこと)」の2種類を規定しているが、このような特別の選択肢を明示する必要はないのではないか。
 以上の諸点については、引き続き、議論を継続する必要があると考える。

(国会だけで「国民が守る憲法」を決めるようにするという。国民主権は名ばかりになる。)

十 最高法規及び補則

現憲法第10章(最高法規)については、国民の憲法尊重擁護義務を含めることとしつつ、その各条文の内容に応じて、「前文」あるいは「国民の権利及び義務」にその趣旨を盛り込むものとし、章としては削除すべきであるとの意見があった。この点については、引き続き、議論を継続する必要があると考える。
また、現憲法第11章(補則)は、すでにその役目を終えた経過措置に関する規定であり、これを削除することに異論はなかった。

(議員や大臣・政府が憲法遵守する規定を削除し、国民一般に置き換えてしまうもの。自民党や議員はとにかく憲法に縛られるのが困るらしい。逆に言えば日本国憲法は彼らを縛り、国民を戦争への道へと進ませなかった。その意義は非常に大きい。)

十一 その他

以上のほか、次のような事項について、憲法に盛り込むべきであるとの意見があった。

1 領土、大陸棚など
わが国の主権が及ぶ地理的範囲を明確に憲法に規定すべきだとする意見があった。

2 国旗及び国歌
諸外国の憲法の規定例を参考にして、国旗及び国歌に関する規定を憲法に置くべきだとする意見があった。

結 語

 わが党のたゆまぬ努力により、憲法改正のための国民投票は、もはや絵空事ではなくなった。憲法改正の手続法が整備され、国民投票が実現されれば、わが国憲政史上初めてのことになる。すなわち、日本国民は初めて主権者として真に憲法を制定する行為を行うことになるのである。

 今回の新憲法草案の策定作業がこのような重大な意義を有することにかんがみ、本プロジェクトチームは、意図的に議論を方向づけたり、性急に結論をまとめるようなことをすることなく、毎回の会議において、参加者から文字どおり自由闊達な意見交換に意を用いた。その結果、憲法のあらゆる分野にわたってまさに多種多様な意見が提出された。

 その多様な意見の中で、発言者が異口同音に強調していたのは、「一国の基本法である憲法が正反対の意味に解釈されることがあってはならない。新憲法は、その解釈に疑義を生じさせるようなものであってはならない。」ということであった。今後の作業を行う上で、肝に銘ずべきこととして、あえてここに明記させていただく次第である。

 本プロジェクトチームの会議で出された一つ一つの貴重な意見については、丹念にこれを書き留めるとともに自民党インターネット・ホームページにより国民に公開したが、このことを通じて、わが党が先の総選挙における政権公約を着々と実行に移している姿を、国民各層に伝えることができたものと考える。

 今後は、この「論点整理(案)」を基礎として、参院通常選挙後、党の地方組織を含めた全党的な議論を深めるとともに、憲法改正に関するわが党の取組についてなお一層の国民の理解を求め、新憲法草案が大多数の国民の共感を得ることができるものとなるよう、引き続き努力を傾注してまいりたい。

(ここまでが自民党憲法改革草案について)

(参考リンク)民主党憲法改革案中間報告 http://www.dpj.or.jp/seisaku/sogo/BOX_SG0058.html
(参考リンク)社民党又市幹事長の記者会見 http://www5.sdp.or.jp/central/kaiken/kaiken1119.html

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 陸上自衛隊幹部が憲法改革案を作成し、自民党の改革案に反映していたことが判明した。共同通信社ではシビリアンコントロールを逸脱するとともに、公務員の憲法尊重擁護義務に反する可能性があると報道。(2004/12/4)


(自民党の憲法改正案の骨格を読んだ感想はどうだったでしょうか。ひどすぎますね。以下に憲法改革案や教科書改悪を進めている神道政治連盟の組織と主張を紹介します。この主張や各論は憲法改革案草案と殆ど似ています。比較してみてください。議連は衆議院の中で160数名の推薦議員がいるのですから党内多数派です。また自民党安倍幹事長が神道議員連盟事務局長を兼ねています。驚きです。詳しくは神道政治連盟のHPを見てください。)


神道政治連盟とは
(以下は議連の主張などをそのまま掲示してあります。サイト管理者の考えと全く違いますので誤解のないよう。)

 神道政治連盟(略称・神政連)は、世界に誇る日本の文化・伝統を後世に正しく伝えることを目的に、昭和44年に結成された団体です。戦後の日本は、経済発展によって物質的には豊かになりましたが、その反面、精神的な価値よりも金銭的な価値が優先される風潮や、思い遣りやいたわりの心を欠く個人主義的な傾向が強まり、今日では多くの問題を抱えるようになりました。

 神政連は、日本らしさ、日本人らしさが忘れられつつある今の時代に、戦後おろそかにされてきた精神的な価値の大切さを訴え、私たちが生まれたこの国に自信と誇りを取り戻すために、さまざまな国民運動に取り組んでいます。

取り組み
・世界に誇る皇室と日本の文化伝統を大切にする社会づくりを目指します。
・日本の歴史と国柄を踏まえた、誇りの持てる新憲法の制定を目指します。
・日本のために尊い命を捧げられた、靖国の英霊に対する国家儀礼の確立を目指します。
・日本の未来に希望の持てる、心豊かな子どもたちを育む教育の実現を目指します。
・世界から尊敬される道義国家、世界に貢献できる国家の確立を目指します。

組織
北海道本部 〒064-0959 札幌市中央区宮ヶ丘474 TEL.011(621)0769
青森県本部 〒038-0024 青森市波館前田1-2-1 TEL.017(781)9461
岩手県本部 〒020-0872 盛岡市八幡町13-2 TEL.019(622)8648
秋田県本部 〒010-1427 秋田市仁井田新田2-15-26 TEL.018(892)7932
宮城県本部 〒980-0014 仙台市青葉区本町1-9-8 TEL.022(222)6663
山形県本部 〒990-0053 山形市薬師町2-8-75 TEL.0236(22)4509
福島県本部 〒963-8034 郡山市島1-10-20 TEL.024(925)0457
茨城県本部 〒310-8753 水戸市三の丸1-6-4 TEL.029(224)4647
栃木県本部 〒320-0015 宇都宮市八幡台14-24 TEL.028(625)2011
群馬県本部 〒370-0818 高崎市赤坂町94 TEL.027(326)2274
埼玉県本部 〒330-0803 さいたま市高鼻町1-407 TEL.048(643)3542
千葉県本部 〒260-0844 千葉市中央区千葉寺町219 TEL.043(261)3293
東京都本部 〒107-0051 港区元赤坂2-2-3 TEL.03(3404)6525
神奈川県本部 〒235-0019 横浜市磯子区磯子台20-1 TEL.045(761)6387
山梨県本部 〒400-0851 甲府市住吉1-13-10 TEL.055(235)6870
長野県本部 〒380-0801 長野市箱清水1-6-1 TEL.026(232)3355
岐阜県本部 〒500-8384 岐阜市薮田南3-8-24 TEL.058(273)3525
静岡県本部 〒420-0821 静岡市柚木250-2 TEL.054(261)9030
愛知県本部 〒456-0031 名古屋市熱田区神宮1-1-1 TEL.052(682)8041
三重県本部 〒514-0005 津市鳥居町210-2 TEL.059(226)8042
新潟県本部 〒955-0042 三条市下坂井14-21 TEL.0256(32)0613
富山県本部 〒930-0088 富山市諏訪川原1-10-21 TEL.076(432)7390
石川県本部 〒920-0811 金沢市小坂町西44 TEL.076(252)7771
福井県本部 〒918-8014 福井市花堂中1-3-28 TEL.0776(34)5846
滋賀県本部 〒520-0035 大津市小関町3-26 TEL.077(524)2753
京都府本部 〒616-0022 京都市西京区嵐山朝月町68-8 TEL.075(863)6677
大阪府本部 〒541-0056 大阪市中央区久太郎町4丁目渡辺6号 TEL.06(6245)5741
兵庫県本部 〒650-0015 神戸市中央区多聞通3-1-1 TEL.078(341)1145
奈良県本部 〒634-8550 橿原市久米町934 TEL.0744(22)4731
和歌山県本部 〒640-8146 和歌山市一番丁3番地 TEL.073(422)4995
鳥取県本部 〒680-0015 鳥取市上町87 TEL.0857(24)7699
島根県本部 〒699-0701 簸川郡大社町大字杵築東283 TEL.0853(53)2149
岡山県本部 〒700-0807 岡山市奥市3-22 TEL.086(270)2122
広島県本部 〒732-0057 広島市東区二葉の里2-1-1-2 TEL.082(261)0563
山口県本部 〒753-0091 山口市天花1-1-3 TEL.083(922)0506
徳島県本部 〒770-0926 徳島市伊賀町1-6-2 TEL.088(652)9618
香川県本部 〒760-0005 高松市宮脇町1-30-3 TEL.087(831)2775
愛媛県本部 〒791-0301 温泉郡川内町大字南方字八幡森1954-2 TEL.089(966)6640
高知県本部 〒780-0065 高知市塩田町19-33 TEL.088(823)4304
福岡県本部 〒812-0055 福岡市東区東浜1-5-88 TEL.092(641)3505
佐賀県本部 〒840-0843 佐賀市川原町8-27 TEL.0952(23)2616
長崎県本部 〒850-0006 長崎市上西山町19-3 TEL.095(827)5689
熊本県本部 〒860-0005 熊本市宮内3-1 TEL.096(322)7474
大分県本部 〒870-0031 大分市勢家町4-6-72 TEL.097(532)2784
宮崎県本部 〒880-0053 宮崎市神宮2-4-2 TEL.0985(25)1775
鹿児島県本部 〒892-0841 鹿児島市照国町19-20 TEL.099(223)0061
沖縄県本部 〒900-0031 那覇市若狭1-25-11 波上宮 TEL.098(868)3697

 神道政治連盟(宮崎義敬会長)は旧臘18日午後、自民党立党50周年や今夏の参院選にむけ、皇室を中心とした我が国の歴史、伝統、文化を尊重する自民党の方針の堅持、靖國神社問題、憲法改正などを盛り込んだ要望書を安倍晋三幹事長に手渡した。

 自民党は平成17年、立党50年を迎えるにあたり、我が国の国家像と党理念の再討議をおこない、7月に予定されている参院選までに中間報告を取り纏めるとしている。要望書では「皇室を中心とした我が国の歴史ならびに伝統と文化を尊重する貴党の方針を今後も堅持」することとともに、「国家存立の 根幹に関わる諸問題」として、@靖國神社問題、A憲法改正、B教育基本法改正、C昭和の日制定などについて「深甚なる考慮を払われ、毅然たる態度をもって真の保守政党としての責任を全うされますよう、こ こに強く要望」している。

国会議員懇談会役員
顧問 森 喜朗(衆・石川)
会長 綿貫民輔(衆・富山)
副会長 亀井久興(衆・島根)古賀 誠(衆・福岡)平沼赳夫(衆・岡山)町村信孝(衆・北海道)青木幹雄(参・島根)上杉光弘(参・宮崎)真鍋賢二(参・香川)
幹事長 伊吹文明(衆・京都)
副幹事長 有村治子 尾辻秀久 桜井 新(参・比例)
事務局長 安倍晋三(衆・山口)

■国会議員懇談会会員(都道府県順・役員除く・50音順)
 

北海道 石崎岳 金田英行 北村直人 武部勤 中川昭一  山下貴史(衆) 伊達忠一 中川義雄(参)
青森 江渡聡徳 大島理森 木村太郎 津島恭一 津島雄二(衆)  山崎力(参)
岩手 鈴木俊一 玉沢徳一郎(衆)
秋田 野呂田芳成 二田孝治(衆) 金田勝年 斉藤滋宣(参)
宮城 中野正志 西村明宏(衆) 愛知治郎 市川一朗(参)
山形 遠藤武彦 遠藤利明(衆) 阿部正俊 岸宏一(参)
福島 坂本剛二 佐藤剛男 根本匠 吉野正芳(衆) 岩城光英 太田豊秋(参)
茨城 赤城徳彦 梶山弘志 永岡洋治 丹羽雄哉 額賀福志郎 葉梨 康弘(衆) 岡田広 狩野安(参)
栃木 植竹繁雄 佐藤勉 西川公也 蓮実進 茂木敏充 渡辺喜美(衆)国井正幸 矢野哲朗(参)
群馬 小渕優子 佐田玄一郎 谷津義男(衆) 中曽根弘文 山本一太(参)
埼玉 大野松茂 小泉龍司 小島敏男 中野清 三ツ林隆志 山口泰明(衆) 佐藤泰三  関口昌一(参)
千葉 桜田義孝 実川幸夫 中村正三郎 浜田靖一 林幹雄 松野博一 水野賢一 森英介 渡辺博道(衆) 倉田寛之 椎名一保(参)
東京 石原伸晃 井上信治 小林興起 下村博文 萩生田光一 平沢勝栄 松島みどり(衆) 保坂三蔵(参)
神奈川 甘利明 小此木八郎 亀井善之 河野太郎  桜井郁三 菅義偉 鈴木恒夫 田中和徳 松本純(衆)  小林温(参)
山梨 保坂武 堀内光雄(衆) 中島眞人(参)
長野 村井仁(衆) 吉田博美 若林正俊(参)
岐阜 金子一義 棚橋泰文 野田聖子 藤井孝男 古屋圭司 武藤嘉文(衆) 大野つや子 松田岩夫(参)
静岡 倉田雅年 斉藤斗志二 塩谷立 望月義夫(衆) 竹山裕 山下善彦(参)
愛知 山本明彦(衆) 鈴木政二(参)
三重 川崎二郎 田村憲久 平田耕一 三ツ矢憲生(衆)
富山 長勢甚遠 宮腰光寛(衆) 野上浩太郎(参)
石川 沓掛哲男(参)
福井 松宮勲(衆) 松村龍二 山崎正昭(参)
滋賀 岩永峯一 宇野治 小西理(衆) 河本英典 山下英利(参)
京都 田中英夫 谷垣禎一(衆) 西田吉宏(参)
大阪 左藤章 竹本直一 中馬弘毅 中山太郎 西田猛 柳本卓治(衆) 谷川秀善(参)
兵庫 大前繁雄 砂田圭佑(衆) 鴻池祥肇(参)
奈良 奥野信亮 田野瀬良太郎 森岡正宏(衆) 荒井正吾 服部三男雄(参)
和歌山 世耕弘成(参)
鳥取 石破茂(衆) 田村耕太郎 常田享詳(参)
島根 竹下亘 細田博之(衆) 景山俊太郎(参)
岡山 逢沢一郎 加藤勝信 村田吉隆(衆) 片山虎之助 加藤紀文(参)
広島 亀井静香 河井克行 岸田文雄 中川秀直 宮澤洋一(衆)  亀井郁夫(参)
山口 河村建夫 高村正彦(衆) 林芳正(参)
徳島 後藤田正純 七条明 山口俊一(衆) 北岡秀二(参)
香川 大野功統 木村義雄 平井卓也 森田一(衆) 山内俊夫(参)
愛媛 小野晋也 塩崎恭久(衆) 関谷勝嗣(参)
高知 中谷元 福井照 山本有二(衆) 田村公平 森下博之(参)
福岡 麻生太郎 自見庄三郎 原田義昭 三原朝彦 渡辺具能(衆)  松山政司 吉村剛太郎(参)
佐賀 今村雅弘 保利耕輔(衆) 岩永浩美 陣内孝雄(参)
長崎 久間章生 谷川弥一(衆) 田浦直 松谷蒼一郎(参)
熊本 金子恭之 松岡利勝(衆) 木村仁 三浦一水(参)
大分 岩屋毅 衛藤晟一 衛藤征士郎(衆) 後藤博子 仲道俊哉(参)
宮崎 中山成彬(衆) 小斉平敏文(参)
鹿児島 小里貞利 松下忠洋 宮路和明 保岡興治 森山裕(衆)
沖縄 仲村正治(衆)

憲法改正論議の動向


  憲法と現実との乖離が言われて久しいが、国民生活が政治と密接な関係にあり、政治が法律に則って行われる以上、国民生活と憲法が深く関わることは言うまでもない。先の総選挙で「護憲」を掲げる政党が大きく後退し、「創憲」を掲げた民主党が躍進した。改憲に前向きな世論調査の結果を踏まえれば、政党や政治家が憲法改正論議を避けることはもはや許される状況にない。

  自民党は結党五十年に当たる平成17年11月を目途に、新憲法草案を示すことにしており、今夏の参議院選挙までに要綱をまとめる方針だ。先の総選挙において、民主党は政権公約で憲法を「『不磨の大典』とすることなく、憲法が国民と国の基本的規範であることを踏まえ、国民的な憲法論議を起こし、国民合意のもとで、『論憲』から『創憲』へと発展させる」とし、党大会では、平成18年までに「新しい憲法を示す」とした。

  しかし、自衛隊のイラク派遣承認に関する国会審議が始まると、この様相は一変した。菅代表(当時)は、代表質問で「色々理屈を付けようとも、戦地に自衛隊を戦争目的で海外に送らないとしてきた憲法の原則を大きく破るものだ」と批判した。そもそも国連の平和維持活動(PKO)や国際社会の行う平和構築活動は、憲法9条が想定する事態と異なる。政府は、イラクへの自衛隊派遣が、人道復興支援のためのもので、戦争目的で派遣するわけではなく、憲法が禁じる戦争でないことを説明してきた。

 また、今回の派遣には、日本の安全保障を考える上で、最も重要となる米国との協調という側面があることはもとより、これまでのカンボジア、ザイール、ペルシャ湾、東ティモールなどで展開してきた様々な活動以上に国際社会の期待が寄せられている。これらを勘案すれば、イラクの安定は世界にとってのみならず、日本の国益にとっても重要な問題であることは明らかだ。選挙向けに改憲への姿勢を示しながら、現実的な対応では、違憲か否かの論争に終始し、護憲のスタンスを変えずに、無理やり憲法問題のみに結びつけて語ることは、真の憲法論議を喚起する姿勢とは相反するものと言えよう。

 今年に入り、公明党は憲法調査会会合で、神崎代表が9条を含む憲法論議を本格化させることを決定したが、集団的自衛権については認めない方針でほぼ一致しており、今秋の党大会を目途に憲法改正に関する見解をまとめるのは難航しそうだ。もとより、自民党や民主党の憲法論議に遅れをとってはならないとの意識や自民党が憲法問題で民主党との連携を滲ませていることも影響していると言えそうだ。ただ参議院選を前に、自民党との関係を拗れさせたくないとの配慮も窺われ、一概に改正に前向きとは言えまい。一方、これまでただ護憲を訴えるだけの社民党も憲法に関する勉強会を設置し、議論を始めた。

 3月17日付読売新聞が全衆議院議員に実施した基本政策に関するアンケート調査によると、憲法改正の賛否を問う質問に対して賛成派は83%に上り、内訳は自民党96%、公明党83%、民主党は77%となっている。しかし、9条の改正の是非では、自民党の94%が賛成なのに対し、公明党では賛成33%、反対38%、民主党は賛成57%、反対35%となっている。
 公明党は改正に慎重であり、民主党の意見集約も簡単ではないだろう。しかも、いざ改憲論となると、内容は多岐に亙る。9条はもとより、環境権やプライバシー権、家族尊重規定の明記、憲法改正条件の緩和など様々だ。

 憲法調査会による議論も愈々大詰めを迎え、来年1月に報告書が提出される予定となっているのに先立ち、自民党は、憲法改正のために必要な手続きを定める国民投票法案と国会法の一部を改正する法律案を今通常国会に提出する意向だ。国民投票法案は、憲法を改正する際の手続きを定める法案である。憲法96条は改憲手続きとして、両院の3分の2以上の賛成で国会が発議し、「特別の国民投票または国会の定める選挙」で国民の過半数の賛成が必要と規定しているが、具体的な改正手続きは定めていない不自然な状況となっている。国会法改正案は憲法改正の原案の国会提出に必要な議員数などを定めるものだ。

 一方、「加憲」の立場をとり9条改正論議に消極的な公明党は早期提出には慎重な姿勢だ。先ごろ自民、公明両党は、与党案作成に向けた協議機関の設置を決めたが、イラク問題や北朝鮮問題などにより、国家が国民の生命と財産を守るという当然の現実を突きつけられ我が国の安全保障が喫緊の課題となっている今、手続き法の整備を先延ばしすることによる憲法9条改正問題の結論を先送りすることは許されない。

 国内的には予てから思想・良心の自由を理由に国旗掲揚や国歌斉唱を拒否して学校現場に混乱をもたらし、あるいは政教分離を理由に首相の國神社参拝を阻止しようとするなど、憲法を盾に国家主権意識を喪失させ、伝統・文化を破壊しようとする動きが後を絶たない。憲法の内容が国民生活を規定する以上、憲法は、その土地で祖先が長い年月をかけて培ってきた伝統や文化に立脚していなければならない。しかし、占領政策により策定された現行憲法は、戦前を悪として戦後の歴史との断絶の意識を植えつけつつ、時代とともに国民生活に深く浸透してきた。
 その結果、憲法制定から58年を経た今日、物質的豊かさの中で、戦後民主主義が生み出した極端な個人主義が蔓延し、日本人の精神的支柱が失われつつある。

 こうした時代の変化が憲法見直しを迫っている中、7月実施予定の参議院選挙において国家の将来像を描きつつ、我が国の伝統・文化を踏まえた憲法観を示せるのか、試金石にもなるはずである。

日本らしい憲法を! ―憲法改正に向けての問題点―

 現行の日本国憲法は、残念ながら日本人として自身と誇りを持てない恥ずかしい憲法です。特に甚だしいのが前文と第一章の天皇条項でしょう。日本国憲法の前文は、次のような翻訳調の長い一文で始まっています。

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の参加が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

 英文では「We the Japanese People,……」(われら日本の人民は)となっており、これはアメリカ合衆国憲法の前文冒頭の「We the People of the United States,……」(われら合衆国の人民は)と全く同じ発想、同じスタイルです。まともな日本人が起草すれば、決してこのような書きぶりになるはずはなく、それは明治の日本人が苦心して自ら作り上げた帝国憲法の前文に当たる明治天皇の「上諭」の文と読み比べて見れば、一目瞭然です。

 しかも前文には、当時のアメリカ人が勝手にそう信じ込んでいたらしい「人類普遍の原理」とか「政治的道徳の法則は、普遍的なものであり」といった言葉がつらなっています。あたかも自然科学の世界と同じように、人間の政治の世界にも各国の歴史や伝統とは無関係に、万国共通の普遍の原理や法則が通用するかのごとくです。

 さらに「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という文言に至っては、まさに現実離れの「空言」と言えるでしょう。
 このように、他国人が起草した、違和感のある非現実的な日本国憲法を維持していることを、日本人は何よりもまず「恥ずべきこと」と考えなければならないでしょうし、これまでただの一条も改正し得なかったことは、戦後政治の怠慢以外の何物でもないでしょう。


偏向する入試問題


  本年1月に実施された大学入試センター試験「世界史」に、日本統治下の朝鮮で「第二次世界大戦中、日本への強制連行が行われた」との選択肢を正解とする設問が出題された。平成5年の「世界史」でも同様に「強制連行」が正解とされている。

  これに対し、新田均皇學館大学助教授らは、大学事務局を通じて質問状を提出、また、「新しい歴史教科書をつくる会」も文科省を訪れ、この設問を採点から除外するよう文書で要望したが、文科省は「教科書にきちんと取り上げられていれば、不適切とは思わない」と回答した。その後、「つくる会」が一部の教科書に「強制連行」の記述がない事実に言及すると「実際に生徒が使っている教科書で見ると、九割近い教科書に『強制連行』の記述がある」と反論した。しかし、実際には高校世界史教科書全29冊のうち12冊、約4割の教科書には「強制連行」に関する記述がなかった。

 さらに自民党有志でつくる「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の総会では、出席議員からの「教科書に載っていれば、事実検証は不要なのか」との質問に対し、鬼島康宏大学入試センター副所長は「教科書に載っていれば試験に出題できる」と述べ、また、文科省の片山純一教科書課長は「『強制連行』については、一般的な学説状況を踏まえている。文科省が事実を認定するとして検定しているわけではない」と責任回避に終始した。

 「強制連行」に関しては、昨年9月23日の国連総会で、川口順子外相が北朝鮮による拉致を糾弾した際、北朝鮮代表が「日本は朝鮮半島占領時代に840万人を強制連行し、筆舌に尽くしがたい被害を与えた。たった数人の拉致被害者の死とは比べものにならない」と反論した。これを受けて同月30日、川口外相は国会において、昭和34年の外務省調査資料の有効性を認め、戦前から終戦時に至る朝鮮人の日本移住が、自由意志に基づくものであった旨の答弁を行った。

 また、同じくセンター試験「現代社会」では、選択的夫婦別姓制度を求める動きがあることを適正な選択肢の1つとして出題した。夫婦別姓制度に関しては、先月開催された自民党法務部会でも「国家解体運動だ」などと反対意見が続出し、例外的な夫婦別姓を求める法案の国会提出が見送られたばかりである。

 入試が出題者の思想教育の場と為されている現状は、到底許容出来るものではなく、今後も一層の注視が求められていることは言うまでもない。

教育基本法改正はなぜ必要なのか!

 昨年三月二十日、中央教育審議会は、教育基本法の全面見直しを求める答申を提出しました。これをうけて基本法改正を巡る論議が活発化していますが、中でも、答申が新たな理念として基本法に盛り込むべきとした「国を愛する心」や「公共心」に焦点を当てた改正反対論が目につきます。

 朝日新聞や毎日新聞の主張などに代表されるものですが、それは、与党内で基本法改正に対する姿勢に微妙なズレがあるからで、改正反対派の戦術的側面を否定することはできません。

 もとより自民党は賛成派で、早期改正を目指していますが、連立与党を組む公明党は、「戦前の国家主義への回帰を連想させる」と改正に慎重姿勢を崩していません。共産党と社民党は改正反対、寄り合い所帯の民主党は憲法と同様、明確な方針を打ち出せずにいるという政治的構図の中で、公明党の主張をなぞるような反対論が真正面から唱えられているというわけです。

 ところで、日教組などの教職員組合は、地方議会での意見書採択や署名活動を通じて基本法改正阻止の運動を全国展開していますが、彼らは公の意識や規範意識の低下について、現行の基本法には自分勝手な利己主義を助長するような規定はなく、むしろ教育基本法の趣旨に則った教育が進められてこなかったからだと主張しています。

 まして、少年犯罪や子供の虐待の増加は大人社会のモラルハザードが要因だとする彼らの主張には、教育者の責任感が微塵も感じられないばかりか、大人社会の構成員であるという自覚さえもうかがえません。彼らのこうした無責任体質を改善するためにも基本法の改正は必要です。

“家族”をもう一度考えよう

夫婦別姓導入問題
 夫婦別姓問題は、別姓推進派が提示している例外的夫婦別姓の家裁許可制案を巡る攻防が予想されています。
 この家裁許可制案は、「職業生活上の事情、祖先の祭祀の主宰その他の理由により婚姻後も各自の婚姻前の氏を称する必要がある場合において家庭裁判所の許可を得て、婚姻の際に各自の婚姻前の氏を称する」ことができるとするものですが、職業生活上で結婚前の姓を使い続けたいのであれば通称使用で十分で、通称使用が出来ない不都合は通称使用が可能になるよう関連諸法を改正しさえすれば解消されます。

 また、祖先の祭祀は姓の継承とは全く別物で、従来も跡継ぎのいなくなった実家の祖先祭祀を姓の変わった息子・娘が行っている例はいくらでもあり、これも民法の改正を要しません。さらに、家庭裁判所の許可も、その判断は裁判官個々の良識に委ねられることになり、争いがあればともかく、夫婦が同意して申請してきた以上、どんな理由であれ許可されることになるのは明白で、何の歯止めにもならないのです。

 平成8年以来、神政連は夫婦別姓制の危険性を強く訴えてきましたが、今後この問題は、国民ひとり一人に、将来の家族像を、また家族とは一体、誰と誰によって構成され、どのような役割を担うべきかを問うことになるはずです。

別姓推進派の蠢動
  −通常国会終盤での例外的夫婦別姓論議−
 先の通常国会終盤、久しく鳴りを潜めてゐた夫婦別姓問題が再び頭をもたげた。まづは六月十七日、自民党法務部会が突如開催され、「民法の一部を改正する法律案」(例外的夫婦別姓法案)についてが議題とされた。

 自民党法務部会では、すでに法務省が提示した夫婦別姓法案を閣法として提出しないことに決したはずだが、「例外的に夫婦の別姓を実現させる会」(笹川尭議員)の強い要望を受けて、およそ一年ぶりに法務部会が開催されることになったといふ。
 新たに法務部会長に就任した谷畑孝衆議院議員は、冒頭の挨拶で「法務部会でこの問題を取り上げたくはなかった」と心境を吐露したが、家庭裁判所の許可を盛り込んだ例外的夫婦別姓法案については未だ議論されてゐないとの理由から、議員立法として用意された夫婦別姓の家裁許可制案の趣旨を説明する場を別姓推進派に与へたといふわけである。

 この法務部会では、これまでと何ら変はらぬ別姓推進派の独善的主張が繰り返されたが、慎重派議員が多数出席してゐたこともあり、最終的には、佐藤剛男法務部会長の時に「自民党としてはこの問題に結論を出せない」といふ結論がすでに出されてゐることを再確認するといふ恰好で終はった。因みに、谷畑法務部会長は事態の収拾に苦慮して、議員立法案を「政調会長預かりにする」としたが、法務部会で結論の出ない問題を上げられても困ると突き返されたのは当然のことである。他方、延長国会最終日の七月十八日には、衆議院の法務委員会で夫婦別姓問題が突如として取り上げられ、参考人四人が意見陳述し、各党議員が参考人に対する質疑を行った。

 参考人は、自民党法務部会でも意見陳述した大森政輔氏(前内閣法制局長官)をはじめ三人が推進派で、慎重派は森隆夫氏(お茶の水女子大名誉教授)ただ一人。質疑に立った委員も一人を除いていづれも推進派ばかりで、他の法案を審議したくない野党の思惑と自民党別姓推進派の思惑が合致した感のある委員会の開催だった。

 この委員会には、「実現させる会」の中心メンバーでもある自民党の野田聖子議員がこの日限りの委員として出席。真っ先に質疑に立ったが、慎重派の森参考人から「夫婦別姓は子供の教育不在、大人のエゴで考へられてをり、子供の教育にどれほどのメリットがあるかについて説明がなされてゐない」と指摘され、思はず「自分の親が幸せに暮らす中で家庭環境が整ふことが子供にとってのメリットだ」と発言し、子供の教育不在の主張であることを自ら認めてしまふ一幕もあった。

 ところで、「実現させる会」が議員立法として提案してゐる例外的夫婦別姓法案(夫婦別姓の家裁許可制案)に対しては、別姓推進論者の中からも厳しい批判が出てゐる。家裁許可制案は、別姓を例外と位置づけた上で、認められる場合を「職業生活上の事情」と「祖先の祭祀の必要」に限定し、家庭裁判所の許可を要件とするものだが、例へば、@職業生活上の事情については、女性が結婚前にある程度の社会的地位をもち、自分の名前で仕事をしてゐる状態を想定してをり、仕事をもつ者とさうでない者を差別する考へがある。A祖先の祭祀の必要については、慣習や遺言によって姓とは関係なく受け継ぐことができるはずで、結婚の段階で祭祀者を決定することは家督相続=家制度の復活にも等しい。といったものが主要なものである。

 この二つは、いづれも別姓推進派が夫婦別姓制導入の理由に掲げてきたものだが、推進派内部からのかうした批判は、夫婦別姓がキャリアウーマンや一人っ子のために主張されてゐるのでなく、一部の大人のエゴで主張されてゐるに過ぎないことを改めて裏付けることにもなった。

混迷する靖國神社をめぐる問題

 小泉首相は本年元日、首相就任以来4度目となる國神社参拝を行った。首相参拝の定着に向け一歩前進したといえるだろう。但し、元日を選んだ理由として、首相は「『初詣で』は日本の伝統だ」と記者団のインタビューに対し答えており、その背景には、中国・韓国や連立与党を組む公明党の反発をかわす狙いがあったことも窺える

 しかしながら、この参拝に対しても中国や韓国はすかさず反発した。中国はいわゆるA級戦犯≠フ合祀を強調し、首相の國神社参拝は伝統や習慣に属する単なる国内問題ではないと強く非難し、また、韓国は「これ以上参拝しないことを強く求める」との表現で参拝中止を求め、國神社に代わる国立追悼施設の建設にも言及した。

 その一方で、中国は1月10日、訪中した自民党額賀、公明党北側両政調会長に対し、自民・公明両党と中国共産党との間で日中間の歴史問題について意見交換する協議会の設置を提案し、自民・公明両党はその提案に同意する意向を示した。日中双方の歴史認識を一致させることは難しいと見られているにもかかわらず、中国がこうした提案をした背景には、国内の不満の捌け口として「歴史カード」をちらつかせつつも、日本との経済関係を更に発展させようと妥協点を探る中国政府の狡猾さが垣間見える。

 また、国内に目を転じてみると、中国や韓国などの反発に同調し、一部政党やマスコミが反國キャンペーンを繰り広げている。1月20日の京都新聞には「共同募金で靖国参拝 亀岡市社協指導受け是正へ」と題した記事が掲載された。この記事は、京都府共同募金会に集められた各種募金が亀岡市社会福祉協議会を通じて亀岡市遺族会へ助成金として配分されていることと、同遺族会がその活動の中で國神社参拝などを行っていることを恣意的に結びつけたもので、あたかも同遺族会が京都府民の募金で國神社参拝を行っているかのように描こうとしたものである。

 そもそも、一旦配分された助成金をどのように使用するかはその団体が決めることであり、実際、同社会福祉協議会は「遺族会にのみ募金を配分しているわけではないし、その活動内容の詳細まで協会としては関知しない」とコメントしている。

 この記事は氷山の一角に過ぎないが、戦没者追悼という首相の國神社参拝の意義には目を瞑り、中国・韓国や国内の左翼勢力の御先棒を担ぐかのような記事を掲載し、憲法に定められた権利の中で活動している一任意団体を誹謗中傷してまでも反國に世論を誘導しようとする一部マスコミの意図を見て取ることができる。

 そのような中、自由民主党は平成16年の党運動方針の中に初めて國神社参拝を盛り込んだ。また、小泉首相は、2月10日の衆院予算委員会で國神社にA級戦犯≠ェ合祀されていることについて「抵抗感を覚えていない」と答弁し、その上で「よその国にああしなさい、こうしなさいと言われて気持ちを変える意思は全くない」と述べ、今後も國神社参拝を続ける考えを示した。
 更に自民党の安倍幹事長は、2月12日の中国の王毅外務次官との会談で、A級戦犯≠フ分祀には応じられないとの考えを表明し、「首相が國神社参拝をやめることはないと思う」、「それを前提にお互い知恵を出し合っていかなければならない」と伝えた。内政問題である戦没者追悼のあり方と経済協力などの問題は、そもそも天秤にかけられるような問題であるはずもなく、中国の干渉を撥ね退けながらも、問題解決に向けて前向きな姿勢を示したことは大いに評価されるところである。

以上が神道議員連盟の主張の一部である。

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