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公務員制度改革大綱のポイント      平成13年12月25日

改革の基本理念
真に国民本位の行政の実現を図ることを基本理念として、国民の立場から公務員制度を抜本的に改革することで、行政の在り方自体の改革を目指す。
労働基本権の制約については、これに代わる相応の措置を確保しつつ、現行の制約を維持。

1 政府全体としての適切な人事・組織マネジメントの実現
時代の要請に応じ、国家的見地からの総合的・戦略的な政策の企画立案や機動的・効率的な行政サービスの提供を実現するためには、行政運営について責任を持つ内閣及び各府省が適切に人事・組織マネジメントを行うことが不可欠であることから、そのための新たな枠組みを構築。
・ 人事管理権者としての各主任大臣等の主体的な責任と権限の明確化
・ 内閣の人事行政の企画立案機能、総合調整機能の強化
・ 人事院による職員の利益の保護、人事行政の中立性・公正性の確保
・ 人事院の救済機能の充実・強化等
財政民主主義及び勤務条件法定主義の下で、勤務条件に関連する事項については人事院が適切に関与

2 新たな公務員制度の概要
1 新人事制度の構築
(1)能力等級制度の導入
職員を職務遂行能力に応じて等級に格付ける能力等級制度を新たに導入し、任用、給与、評価の基準として活用することにより、トータルシステムとしての人事システムを構築。
(2)能力等級を基礎とした新任用制度の確立
   能力等級制度を基礎とした新たな任用制度を整備し、能力本位で適材適所の人事配置を実現。
   免職・降格について、明確な基準・手続を整備し、厳正に対処。
(3)能力・職責・業績を反映した新給与制度の確立
   能力・職責・業績を適切に反映したインセンティブに富んだ給与処遇を実現するため、「基本給」、「職責手当」、「業績手当」からなる新たな給与制度を導入。

(4)能力評価と業績評価からなる新評価制度の導入
   現行の勤務評定制度に替え、「能力評価」と「業績評価」からなる公正で納得性の高い新たな評価制度を導入。
   試行を十分に行い、その結果を踏まえつつ具体的な制度を設計。
(5)組織目標の設定及び行動規準の確立
   組織目標及び国家公務員として求められる行動規準を明確化することにより、組織の目標の達成に向けた職員の主体的な取組を促し、行政サービスの質の向上と業務の効率化を実現。
(6)人材育成を図る仕組みの整備組織目標の設定及び行動規準の確立
人事管理権者が職員の育成に関する方針を定め、行政課題に的確に対応する能力を有する職員の計画的育成に努めるとともに、職員も自ら進んで職務遂行能力の開発・向上に努める仕組みを整備。
(7)本府省幹部候補職員を計画的に育成する仕組みの導入
本府省幹部職員の登用に当たっては、厳正な審査を実施。
採用試験区分にとらわれず、幹部候補職員としてふさわしい意欲と能力を有する者を計画的に育成する仕組みを導入。
(8)上級幹部職員にふさわしい新人事制度の確立
事務次官、局長、審議官等の上級幹部職員については、その性格上、能力等級制度を適用せず、年俸制を導入するなど、一般職として別途の任用・給与制度を設計。
(9)職員の能力開発と自主性への配慮
留学派遣の機会の拡充。留学派遣者が復帰後早期に退職した場合の留学派遣費償還等について法整備。
大学院等に進学する場合など、意欲ある職員が自主的に自己啓発のための活動を行うことができる仕組みの導入を図る。

2 多様な人材の確保等
(1) 採用試験制度の見直し
公務を志す者を幅広い層から確保し、各府省が多くの候補者の中から多様で有為な人材を採用できるよう、T種試験について、試験内容の改善とともに試験合格者を大幅に増加。
新人事制度移行への対応及び司法制度改革も視野に入れつつ、採用試験の抜本改革の在り方を検討。
(2)民間からの人材の確保
行政課題・仕事本位の人事管理の推進、オープンで質の高い行政の実現のため、官民の人的交流を積極的に推進。
過度に厳格な官民区分の考え方に根ざした規制を見直し、民間企業の従業員としての地位の併有を可能とする方向で制度を改正するとともに、人事院の事前承認
   協議手続等の見直し、給与格付けの弾力化等を実現。
(3)公募制の積極的活用
職員が能動的に自らの能力を活かせるポストに応募できるようにするとともに、組織の活性化を図る観点から、部内の任用においても一般的ルールを整備すること等により、公募制を積極的に活用し、職員の意思とも合致した最適な人事配置を促進。
(4)女性の採用・登用の拡大
男女共同参画社会を実現するために、公務部門における女性の採用・登用を拡大。
男女ともに仕事と家庭・地域生活を両立できるよう、勤務環境を改善。

3 適正な再就職ルールの確立
(1)営利企業への再就職に係る承認制度及び行為規制
行政の公正な運営等に責任を有する人事管理権者による再就職承認制度を導入。
内閣は、政令で各府省共通の承認基準を定めるとともに、承認制度の運用について総合調整。
人事管理権者は、承認案件について詳細に公表。
人事院は、承認基準についての意見の申出、承認審査の実施状況についての改善勧告を行う。
営利企業に再就職した者が府省の職員に対し働きかけを行うことを規制する行為規制を導入。(違反行為に対し罰則等を含め制裁措置の導入を図る。)
(2)特殊法人等への再就職に係るルール
国民の厳しい批判を真摯に受け止めた対応。
内閣によるルール設定と監督体制の強化。
役員の退職金の大幅削減・給与の削減。
公務員出身者の役員出向の道を開くほか、法人及びその子会社等役員への退職公務員就任状況の公表。
(3)公益法人への再就職に係るルール
退職公務員の役員就任状況の情報開示、役員報酬・退職金についての指導等、民間法人としての性格を踏まえつつ見直し。
(4)再就職状況全般に係る公表制度
各府省の課長・企画官相当職以上の離職者の再就職状況全般について公表制度を整備。
(5)退職手当制度の見直し
貢献度をより的確に反映する等の観点から、退職手当制度について長期勤続者に過度に有利になっている現状を是正する方向で見直し。

4 組織のパフォーマンスの向上
(1)機動的・弾力的な組織・定員管理
「組織・定員管理に係る基準」により、各府省の判断と責任における本省庁内部部局の課・室等の改編や本省庁を通ずる内部部局の範囲内での定員移動が可能となる枠組みが設定されたことを受け、これを活用することで組織パフォーマンスを向上。
特定分野の機能強化が必要な場合に、当該分野を担当する府省に府省の枠を超えて他府省からも人員の再配置を行い得る仕組み(インナーソーシング制度)を構築。
(2)国家戦略スタッフの創設
内閣総理大臣が自らの判断に基づき、行政内外から内閣の重要政策の企画立案等に従事する職員を国家戦略スタッフとして機動的かつ柔軟に任用、配置できる仕組みを導入。
官房審議官の活用等により、各府省大臣を直接補佐する大臣スタッフを充実。
(3)超過勤務の縮減等
恒常的な長時間の超過勤務の要因と思われる国会関係、法令審査、予算折衝、各省協議などの業務を徹底して見直し。
部下の勤務時間を管理すべき管理職員が超過勤務の縮減を自らの課題としてその解決に取り組むことを促進。

3 改革に向けた今後の取組
国家公務員法改正案について、内閣官房行政改革推進事務局が中心となって検討を進め、平成15年中を目標に国会提出、関係法律案の立案及び下位法令の整備は平成17年度末までに計画的に実施。
その際、各制度を所管する府省等との更なる連携の下、人事院のより一層の協力を求めつつ、制度の詳細設計に向けて職員団体など関係者とも十分意見交換。
円滑な移行のための必要な準備期間を確保の上、全体として平成18年度を目途に新たな制度に移行することを目指し、所要の準備を計画的に実施。
今後、政府において、一般の行政職員以外の職種に係る制度の検討を急ぐとともに、特別職についても、それぞれの職務の特殊性を十分勘案しつつ、一般の行政職員の改革案に準じて必要な検討。
地方公務員制度も、地方自治の本旨に基づき、地方公共団体の実情を十分勘案しながら、国家公務員法改正と同時期に地方公務員法の所要の改正を行うなど、国家公務員制度の改革スケジュールに準じて速やかに所要の改革を実施。


人事院勧告日 2004年8月6日
2004年人事院勧告の報告事項
1 給与構造の基本的見直し 来年勧告に向けて俸給・手当の全面見直しを検討
(1)地域給与民間賃金の低い地域における官民給与格差を考慮して全国共通俸給表の水準を引下げ、民間給与の高い地域に対しては地域手当(仮称)を新設。
(2)職務・職責給  年功的給与上昇を抑制し、職務・職責をより繁栄し得るよう
  @定期昇給を査定昇給に転換A昇給カーブをフラット化B(略)
(3)本府省の職務困難性に対して本府省手当(仮称)の新設
(4)ボーナスにおける成績査定の強化
2 新たな公務員人事管理の実現に向けて
(1)新たな評価制度の導入により、能力本位の任用を推進し、実績を踏まえた給与処遇を実現する。導入にあっては、職員側との対話が重要であり、また、試行を十分に行なうことが必要
(2) 略
(3) 略

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