間違った導入をし、失敗を続けている日本の評価制度・評価主義
名前のとおり業績をあげる為に導入したはずの人事制度としての評価制度。だが社内の人間関係が悪化し、会社の業績は低下していく。なぜだろうか。
日本中を騒がしている低賃金制度=評価主義の特集が「週刊ダイヤモンド」に掲載された。興味ある内容なので概要を紹介した。本概要は多くを省略してあり、詳細は「週刊ダイヤモンド」2004年6/12号を一読していただきたい。
評価制度を設計し企業や官公庁にコンサルタント会社が売り込む。その失敗を改善する為の企画を売り込む別のコンサルタント会社。今や「不満を買います」という会社があるくらいで、不満を解消する工夫などを売り物にする。
額に汗して働くものはいつになったら報いられるのだろうか。
導入し業績が悪化した経営者は、どのように責任を取るのか??
■週刊ダイヤモンド 2004年6/12号 から
これなら頑張れる
明るい成果主義 これなら頑張れる!
成果主義を導入したのだが「うまくいかない」という声が多くの企業や人事担当者から聞こえてくる。
その理由は制度そのものや運用方法が陰湿で暗いからであろう。
「成果主義=報酬制度」ではない。
カネやポストだけで「やる気」を引き出すのは限界がある。成果主義を明るく成功させるには新たなモチベーション(動機付け)向上の方法が必要だ。
Part 1 成果を生み出す環境づくり
社員のやる気を引き出す仕組みと環境を整えて成果主義を明るく変える
リンクアンドモチベーションというコンサルタント会社には「成果主義を導入したら、逆に職員のやる気が下がった」という相談が多く舞い込む。
小笹社長の答えは「物質的豊かさから精神的充足に、組織内出世から組織外の市場価値に、働く人のモチベーション要因は移っている。
今の成果主義はカネとポストといった旧来のモチベーションばかりを刺激している。
これからは仕事をする意味や価値を刺激してやらないと組織は活性化しない。
成功例
20〜30人の職場で毎月、一番頑張った人を自分以外から選ぶ。点数を皆からもらえる。そして3ヵ月後との全社総会で、点数を加味しながら役員会が審査した全社的に特筆すべき成果を挙げた人が「ベストモチベーションクリエーター(BMC)賞」に選ばれる。
この成果主義3ヶ月に一度リセットされる。次から頑張る意欲が湧いてくるというわけである。
リンクアンドモチベーションが実践する、社員のやる気を引き出す、10の施策
1 社内通貨
2 オリジナルカレンダー
3 表彰制度
4 ギネス制度
5 スキルポーカー
6 インセンティブビンゴ
7 企業内大学
8 1カンパニー
9 社内留学制度
10 スタイルカード
Part 2 失敗の本質
続出するデメリット、人事責任者たちも悩む制度が機能しない理由
世の成果主義は概ね「暗い」。人件費の削減を目的に導入され、出発点から社員のやる気を削いでいる例は数多い。
こうした陰湿で暗い制度ではなく、社員のやる気を引き出して、個々人の成果を最大限に上げる方法を作り上げることが重要。
1990年前半には欧米に倣い「仕事で大きな成果を出したものがより多くの報酬を得られる」欧米の評価主義の「利点」をもてはやした。
しかし10年間で85%の企業が導入したが、完璧に運用できている企業は1%に過ぎない。また企業の人事責任者の20%が制度の有効性を疑っている。
成果主義を導入した多くの企業は訴える。「個人プレーに走り、チームプレーがおろそかになった。短期的な利益ばかりに固執するようになった。低めの目標設定が横行し、逆に全体業績は落ちた。個人評価をめぐり、上司と部下、部員同士の人間関係が悪化した。」と。
暗い成果主義なっている原因は、一つは「目的がズレている」こと、成果主義は人件費削減ではない。社員のやる気を引き出し大きな成果を引き出すことにある。
二つには「評価方法」が間違っていることである。そもそも成果を正確に測定することは不可能である。
とにかく経営者は、どうすれば社員のやる気を引き出せるのか、そこだけに全神経をとがらせるべきだ。
「上昇志向をあおるだけでは限界、事業戦略に則した制度設計を」 高橋俊介(慶大大学院 政策・メディア研究科教授)
日本における成果主義は「総人件費を管理したい」、つまり賃下げのカモフラージュとして、企業側の都合で導入された側面がある。
これが成果主義の不幸の始まり。
経営者が「成果主義=給与で差をつけること」という単純な理解では、そんな人事制度は成功するはずはない。実際、給与格差により社員のやる気を引き出す効果は薄い。むしろ給与差の目的は「やる気をなくさせない」ことにあり、人材流失など負の現象を防止するために必要。
上昇志向が低い人を上手に使う方法 成果主義導入に当たって注意すること。
報酬に差をつける前に、職種や職場の選択について、ある程度本人に自主性を与えることが必要になるだろう。
仕事で成果を出すチャンスを年功とは無関係に、個人の意欲と能力に応じて与えていけば、自然な結果として年功序列型の給与体系は捨てざるを得ない。
ポストを報酬がわりに使う方法は長続きしない。
現在は上昇志向の低い人達が6割以上を占め、多数派になっている。これまでのようなアメとムチのようなポストとカネで威圧的に支配的に命令する管理スタイルは通用しない。このような人達が気持ちよく働ける環境作りがどうしても必要だ。
成果主義で失敗しない為の7ヵ条
第一条 人事制度を考える前に事業ビジョンを考える
第二条 給与差は、やる気をなくさせないために必要
第三条 チャンスの付与も、年功序列ではなく平等に
第四条 人材の育成には、会社全体で取り組む体制で
第五条 ポスト付与は、給与より高くつくと心得よ
第六条 スローキャリア志向の人の使い方が重要
第七条 指示・命令より、コーチングで部下を動かす
Part 3 ケーススタディ 制度設計は各社各様、成功事例から読み解く独自の組織活性化手法
(具体的な成功例をいくつも示しているが省略する)
どんな企業にも万能の人事制度などはない。そのデザインは、経営方針や事業戦略に基づき、経営者自らが作り上げるもの。
報酬原資はゼロでも、お互いに褒めあいチームワークを育むA社。
数値目標がないから一人のお客を他の従業員に引き継ぐことができる。
成果主義にモノ申す
梅森浩一 成果主義と終身雇用制は両立可能、だが成果主義と年功制は共存できない。
高橋伸夫 年功制でも社員のやる気をひきだすことはできるはず
大久保幸夫 成果主義を機能させるならカネより褒め言葉の用意を
■「成果主義=報酬制度」ではない。カネやポストだけでやる気を引き出そうという考え方には限界がある。成果主義を明るく成功させるには、新たなモチベーション向上の方法が必要なのだ。
「週刊ダイヤモンド」は書店で一番売れているビジネス週刊誌だそうである。もちろんバックナンバーもある。
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