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評価制度についての思い
  (NTTネオメイトAさんの職場や生活の実態から)
      -進む職場破壊-

3割カットは退職金、企業年金の前倒しの生活

 NTTを退職再雇用されて3年を経過した。この3年間、3割カットの賃金で2人の娘の大学、専門学校の教育費で退職金に手を付けざるを得ない生活が今も続いています。携帯電話の請求書を見るたびに、「貯金できるのにムダな金だ」と思い、つい娘に「携帯の使い過ぎだ」と怒ってしまいます。

 50歳を超える年代は大学生や高校生を抱え、いちばん教育費がかかる時期でもあります。
 私のように大学生をもつ人は退職再雇用と同時に企業年金を貰う仲間も少なくはありません。

 中学生と高校生をもつTさんは「3割カット分は企業年金でも貰わないとやっていけない」、新築したOさんは「企業年金で住宅ロ−ン返済している」と、企業年金を生活費に充てざるをえない
生活実態です。

評価制度は人間関係を悪くする

 昨年の夏期一時金より4段階から5段階(SA.A.B.C.D)区分で評価制度が実施されました。
 算出方法は、基準内賃金×2.25ケ月×75%+評価段階反別映額(SA.A.B.C.D)です。私の場合で言うと一般資格1級ですから、SAだと27万円ぐらいで、段階ごとに約5万円の差があります。

 D評価だと反映額は0円になります。あまりにも極端過ぎますからDにはなりたくない気持ちは強くあります。C評価の人は自分から査定を話すが、B評価以上の人は自分から言い出せない雰囲気です。評価制度そのものが相対評価ですから、誰かランクが上がれば、一方で下がる仲間が出てきます。

 「あいつ俺より売上げが低いのにB評価か」「売上げも目標を達成し、資格も取ったのにC評価」「○○は課長に受けいいような」とグチも多く、隣の仲間への目も敏感になり横のつながりが弱くなっています。仕事のなかでも困ったら助け合うことがなくなっています。「あいつと一緒に仕事したくない」「あいつの仕事は助けないよ」と、評価制度は職場の人間関係を悪くしています。

何を基準に評価するのか

 課長との面談で何を基準にして評価するのか聞くと、「資格取得、販売成績、仕事への係わりの3点を柱に総合的に」と抽象的、実際課長のさじ加減で基準となるものはない。

 昨年、3ヶ月間の切替工事(Bフレッツ)の担当をやることになり、夜中の切替も多く時間外も多いときは30時間近く、「死ぬなよ」と言われるほど自分では意識しないが疲れた顔をしていたのだろうと思います。自分としては「担当した以上ミスもなく完了し、ダメな人間に見られたくない」と毎日が必死でした。

 無事3ヶ月の切替工事が完了し、評価する面談のなかで「大きなプロジェクトの担当し上手くいったので、あと90万円売り上げすればBに推薦したい」と競争意識を煽ってきました。気持ちの中では「もしかしたらBかも」と思いながら、5万円上がるために90万円は程遠い数字で自爆する気にもなれません。

 課長には「自分がBになれば他の人が下がる。自縛する気もないし、マイペ−スで行く」と答えました。後ほど同じ工事に携わった仲間も同様のことを面談で言われたようです。会社は面談でも更にノルマを課して競争意識を煽ってきます。

売り上げている仲間も自爆している

 Iさんは富山支店の中でもトップクラスの営業成績を上げています。仕事中にも携帯電話の機種変更などの依頼がくるほどで、仕事中でも「ちょっとお客さんのところへ行ってくる」と出かけます。朝も「お客さんのところに寄ってから来る」と遅れて来ることがよくあります。

 職場では 「また遅くまで飲んでいたのか」が皆の声です。確かに本人の口から「『お客さんのところに寄ってからくる』と言えば年休を取らなくてもいい」と販売活動を口実にしています。会社も売り上げの実績を認めていますから遅れてこようが知らぬ顔です。それどころか彼の作業の穴埋めを誰かやらなければなりません。

 しかし、トップクラスのIさんも実は自らの手出しがあります。Iさんは飲み友達が多く、付き合いの広い人です。どうも飲み屋で知り合った人が販売の対象で定価より安く買ってもらい不足分はIさんが補填しています。逆に買ってもらった見返りに相手の品物を買ったりしています。

 売り上げ額の多い分、手出しの金額も大きくなります。
 毎年それも季節ごとにキャンペ−ンが実施され、その度ノルマが設定され、みんなの中には親戚、友人は売りつくして限界にきている人が多くいます。

 目標達成した人に聞いてみると、ほとんどがカ−ド(JCB。ニコス、ハイカ−など)を購入してなんとか目標をクリアしていることです。会社も社内の至るところに散らしを貼り「身近な買い物はカ−ドで」と購入を促進しています。仲間の多くは「販売額をクリアするにはカ−ド購入しかない」そして、「どうせ買い物するから」と自爆の意識より、販売目標額に近づくにはカ−ド購入が一番手軽と感じています。
 現金支払いだと躊躇するが、カ−ドだと何のためらいもなく買い、金銭感覚が麻痺してしまいます。

販売は評価するための道具

 以前、親戚や知人をマイラインの加入で周ったとき、平生あまり顔を出していないのでお菓子を持ってお願いしたことありました。「何でこんな思いをしながらやらなければならいのか」という気持ちを強く持ちました。

 周りの仲間も同じ思いで「2回も3回も頼みづらい」と販売に限界を感じています。まだ「是非、親戚、知人、友人に販売を」と平然と言ってきます。

 これまで会社は企業として営業販売の具体的資料を出さず、いつも年間目標額だけを一人ひとりに押し付けて企業としての責任を果たすことがありません。「資料を出せば、いくらでも行く」というと「販売は会社としての宿命」としか答えない。先の面談で「販売額の設定は評価するための道具ではないのか」と言ったが、そのとおりだと思うようになりました。

 誰もが販売に限界を知りつつ、しかし、働き続けるために身銭を切ってまで目標額に近づく仲間の気持ちを大事にしていきたいと思います。そして、「販売は評価するための道具」につて仲間との討論を深めていきたいと思います。

                                                 -以上職場の労働者の声-

 先の新聞で世界の企業にNTTが50位にランクされていました。職場では他社との競争で利潤減といいながら懐に貯めこんでいます。世の中では雇用が上向きといいますが、正社員ではなく派遣労働者の雇用率が高いだけで総人件費は削減されているだけです。どこの職場もパート労働者が多くなっています。

 NTTでは、「成果主義」賃金の更なる改悪が提案されています。年齢賃金、扶養手当を廃止し、成果、業績により昇給し、また減額する制度です。それも半年ごとに評価するというものです。
今後ますます生活が切り下げられます。


                                                   -以上職場の労働者の声-

 「自縛」とはノルマを達成する為に親戚や友人に頼み売ろうと努力するが、売れない場合、自分で購入することを言っている。また職場の人間関係が悪くなれば団結して会社の難局に当たることはできないのは当然である。労務管理の苦労をしたことがない若い学卒者のエリートは何もわかっていない。彼らの言うとおりにすれば会社は倒産する。

 NTTはこれまで電話の加入時に支払う施設設置負担金=加入権として75600円を申込者から取り立てていた。しかし平成17年3月から一方的に半額にするという。
 この加入権は従来資産として扱われており相続などの対象にもなっていたもの。今回は国とNTTが結託して、加入権の金額を半額にするもので許せない内容である。国民の為の政府・総務省がこのような暴挙を認めるのである。加入権の買取や株券とか債権に切り替えるのなら理解できるが、廃止である。国民は政府とNTTに騙されてきたと言える。
 国民全体では約5兆円にもなるという。
 このようなインチキ会社が行っている社員評価制度の実態について下記に述べる。


 NTTの賃金は年令給・資格給・成果加算・都市手当・成果手当・扶養手当や一時金などで構成されている。
 評価制度は単なる低賃金制度にすぎず、全員が業績を上げても一部の人間しか評価されない下記の資料から明らかになっている。どれだけ頑張っても、場合によっては最低基準にランクされるのである。評価基準も曖昧なもので判定者が苦しむだろう。従って名目は評価制度であるが実態は単なる差別低賃金の制度である。つまり徹底したリストラ・合理化である。
 そこで働く労働者はいたずらに競争させられ、評価制度で賃金カットを受け、業務に対する指導もうけず、個人プレーのみに終わる。これでは会社の将来は明るくないだろう。このような会社ではグループ作業は困難になっていると思われる。やはり正直者が馬鹿をみるのである。相対評価ほどいい加減なものはない。NTT労働者諸君、まじめに働くことが馬鹿馬鹿しいと思わないのだろうか。評価は少なくとも絶対評価でなければならない。
 机上の理論だけではうまくいかないのである。

 さらには一律25%をカットし、評価に応じて再配分される。しかしカットされた25%すべてが労働者に還元されているとは思えない。NTTも証明しない。社員を騙している可能性もある。


NTTの低賃金制度

資格と評価で差別
年令賃金はビジネス資格1級50歳で12万円程度
資格賃金は8ランクに応じて13.3万円から24.7万まで区分
成績加算は最高7万円
成果手当は9千円から4万円まで
都市手当にまで資格が反映される
さらに一時金は下記の計算で差別
賃金は生活給という発想はどこにいったのだろうか。
職場や立場が変わるたびに本人の仕事内容が変化する。毎回評価が変わるのだろうか。
資格制度は人事院勧告の11級制のようなものか(職務職階制??)

NTTの評価制度
(NTT労組)

新たな事業展開にふさわしい人事・賃金制度の導入にあたって
<基本的考え方>
(1) 制度は、積極的に行動を起こした者や着実に成果を達成した者に対し、これを公正かつ適正に評価し、賃金へのタイムリーな反映や昇格に機能させる。
(2) 求められる人材像は、@主体的に判断し行動できる人材、A変化にチャレンジし高い目標を掲げ挑戦できる人材、B常に自己革新できる向上心に満ちた人材、C世の中に通用するスキルを持つ人材、が必要である。このため、全社員が同じ出発点に立ち、全ての社員に公平な機会と可能性を提供するものとする。
(3) 新たな人事・賃金制度により、こうした人材像に積極的にチャレンジした者を評価し、今後の人材の育成・確保に十分機能させるものとする。
(4) 公正で納得性の高い評価の仕組みが、制度上の基本的前提条件である。また社員の意見・要望等を把握し、その後の動機付けなどを会社が責任を持って行うことにより、評価の公平性を担保するとともに、社員の意欲向上を図る考えである。
(5) 成果を生み出した者への評価と反映が、中・長期的に見て、人材の育成に繋がるものとしなければならないと考えている。
(6) 以上の基本姿勢について、別途、各社と協定化する。

<具体的課題の決着>
※ 対立4課題について、要求どおりの決着を図った。
(1)「暫定調整の基準内賃金化」については、基準内賃金として扱う。
(2)「成果加算の退職手当の算定基礎化」については、退職制度の見直しが決着するまでの間は、退職金算定基礎とする。
(3)「暫定加算の創設」は、経過措置者のチャレンジ意欲向上の観点から導入し、特別手当の算定基礎とする。
(4)「現行制度における4月1日の定期昇給の実施」は、新制度への円滑な移行を考慮し、現行制度に基づく2001年4月1日の定期昇給を見込んだ額を切替の基礎とする。

1. 人事制度の見直し
(1) 見直しの基本的考え方
@ 現行職能制度:「職務遂行能力」から、個々の社員が達成した「業績」及び業績達成につながる「行動」に着目した新たな社員資格制度へ見直し。
A 評価基準について、能力と業績から、業績と行動に着目した評価基準に見直しによる自立的・主体的な職務遂行の促進を図る。
B 資格グループ・資格等級の見直しにより、組織のフラット化等に対応した適材適所の人材配置の円滑化を図るとともに、昇格主体の処遇から評価に基づくタイムリーな賃金への反映を主体とした処遇への見直し。
C 成果・業績の向上に向けた社員のより主体的・能動的な「能力開発」の促進。
(新たな資格基準・評価基準を軸とした配置、能力開発、評価等の人事・人材開発のトータルシステムの再構築)
(2) 資格グループの設定等
@ 現行の一般職能グループ、エキスパート職能グループに対応する資格グループとして、新たな資格グループを設定。
@.一般的能力を発揮し、自律的・主体的な職務遂行行動を通じて業績をあげる者で構成する「一般資格グループ」
A.専門的能力を発揮し、自律的・主体的に課題を発見・解決し、高い不可価値の創造により優れた業績をあげる者で構成する「エキスパート資格グループ」
A 等級構成
 一般資格グループ      5級構成
 エキスパート資格グループ  3級構成
※エキスパート〜組織のフラット化等に対応した適材適所の人材配置の円滑化

評価と支給割合・支給額の例

   一時金の算定は、1率25%削減し、その25%分を評価に応じて上積みする割合。
    (全職員員の支給額合計は基本的には評価制度導入に関係なく同じである。)

NTT東日本の割合の例  評価SA 評価A 評価B 評価C 評価D
ビジネスリーダ資格1級 13.20(520,899) 10.56(416,719) 7.92(312,539) 5.28(208,360) 0.00(上積みなし)
ビジネスリーダ資格2級 11.10(438,029) 8.88350,423) 6.66(262,817) 4.44(175,211) 0.00(上積みなし)
ビジネスリーダ資格3級 9.75(384,755) 7.80(307,805) 5.85(230,853) 3.90(153,902) 0.00(上積みなし)
ビジネス資格1級 8.75(345,293) 7.00(276,234) 5.25(207,176) 3.50(138,117) 0.00(上積みなし)
ビジネス資格2級 7.70(303,858) 6.16(243,086) 4.62(182,315) 3.08(121,543) 0.00(上積みなし)
ビジネス資格3級 6.65(262,423) 5.32(209,938) 3.99(157,454) 2.66(104,969) 0.00(上積みなし)
ビジネス資格4級 5.70(224,934) 4.56(179,947) 3.42(134,960) 2.28(89,973) 0.00(上積みなし)
ビジネス資格5級 5.00(197,310) 4.00(157,818) 3.00(118,386) 2.00(78,924) 0.00(上積みなし)
構成割合(NTT東日本の例)人数 5% 10% 35% 40% 10%
支給割合 5 4 3 2 0

(上記表で括弧内は金額の例を記入してあるが、参考値であり、評価の数字を直接表したものではない。)

ビジネス資格1級で年齢など条件が同じ場合、SA評価の人はD評価より一時金が345,293円多く受け取る。
Aランクに評価されれば上積み分はCランク者の2倍になる。
Dランクに評価された10%の人は一時金は25%減となる。
この評価制度は相対評価であり、絶対評価じゃない。誰かが必ずDランクに評価される。
評価する人が客観的にみて能力を有しているのかどうか不明


定率分の支給
  平成15年6月1日現在における基準内給与に、0.75を乗じ、さらに一般的に言うところの○○ヶ月を乗じる。
  ランクがDの場合は評価分がゼロなので定率分しか支給されない。
評価分の支給
  基準給与に0.25を乗じ、上記評価基準により再配分する。
  
評価基準

東日本電信電話株式会社 平成1 6 年3 月1 日
特別手当制度の業績反映については、成果・業績重視の観点から、評価段階を現行4 段階から5段階に見直すこととする。
1. 評価段階等
(1)評価段階は、SA・A・B・C・Dの5 段階とする。
(2)評価段階間比率は、SA:A:B:C:D=5:4:3:2:0とする。
(3)評価段階別評価内容は次のとおりとする。

評価段階 評 価 内 容
SA 群を抜いて、期待し要求する程度を極めて著しく上回る
A  期待し要求する程度を著しく上回る
B  期待し要求する程度を上回る
C  期待し要求する程度であった
D  期待し要求する程度を下回る


 上記評価基準のごとく非常に曖昧な基準であり、現実の職場では仕事をサボって営業に行った人が評価され、職場は人手不足に陥るという事態が生じている。なぜかサボって営業の人は処分もされず評価が高い。後始末をやっているものが評価が低い。営業を最優先するならば就業規則に明記すべきこと。曖昧なままNTTの評価制度は動いているようだ。まじめに働くものが損をする会社になっている。これではつぶれる。
 ここでも「お気に入り」が大切なのだろう。経営陣に近いほど評価されるようだが、経営陣に近づくほど仕事は「やって当たり前」なのである。こういう会社には骨を埋めよう=一生懸命働く気になりませんね。会社は期待し要求している内容を明確にしなければならない。全社員が全く同じ仕事をし、早く処理した人が高い評を受けるのであれば理解できる。しかし違う仕事をしているのだから評価はいい加減と言わざるを得ない。これではいつまでたっても仕事をしない管理者が存在する。


NTT関連会社の資格賃金例 (BR=ビジネスリーダー B=ビジネス)

BR1級 BR2−1級 BR2−2級 B1級 B2−1級 B2−2級 B3−1級 B3−2級
247,810 221,350 197,950 182,750 167,490 154,030 141,310 133,750


地域加算手当(NTT)
等級 東京23区
E1 39,000
E2 33,000
E3 29,000
一般1級 26,000
一般2級 23,000
一般3級 20,000
一般4級 17,000
一般5級 15,000
50歳一般1級(参考値)
資格賃金 158860
年齢賃金 119310
成果加算上限額 90880
成果手当(C評価) 19000
職責手当 一般2級以上 4000
主査 17000






(声)
 いつもの時期とは違い随分暖かいような気がします。しかし、山はすっかり雪化粧し、 雪との生活も近かいようです。
  職場では、10日のボーナス支給前にチャレンジシートの面談がやられています。 例年の面談はボーナスの評価査定の主な説明でしたが、今回は「NTT企業年金の制度見直し」の「同意」を求めるのが会社の方針のようです。どうも全国的に制度改正 の2/3の「同意」に達成していないようでNTTから依頼を受けたネオメイト会社が「同意」を強要しています。聞くところ「同意」しない人には2,3回と催促が執拗に行われたり退職者にはOBが2回も尋ねてきたと聞いています。私も組合からも「何か問題があれば出してほしい」と言われ疑問点をだしたが、回答は会社の言い分と同等。
 本来なら労働者を守る組合に相談すべきはずが、組合も会社の「見直し」に同調し、相談出来ず、くやしいが同意せざる得ないのが回りの仲間の現状です。(12/9 Y)
  



資料
中央経営協議会資料


NTT東日本の構造改革に向けた取り組みについて
平成13年4月27日
東日本電信電話株式会社
NTT東日本は、これまで「NTT東日本中期事業計画について」(東日本経営協議会、12.9.14)等に基づき、情報流通事業への構造転換に向け着実に取り組んでいるところであるが、情報通信をめぐる変化は想像をはるかに上回るスピードで進行しており、向こう3年間をNTT東日本グループの生き残りと新たな発展をかけた正念場であるとの認識のもと、この環境変化に的確に対応し、将来にわたる経営基盤を確立させるため、次によりNTT東日本の構造改革に断固たる姿勢をもって不退転の決意で取り組む。

T. NTT東日本のこれまでの取り組み
NTT東日本は、東日本経営協議会(12.9.14)に基づき、厳しい経営環境下において競争に勝ち抜き、市場における優位性を確立し情報流通分野の中核的企業として成長・発展していくため、平成14年度までの3年間において、設備投資、委託費を含む物件費の削減等コスト構造の転換を図り、併せて、料金の低廉化、IPサービスの多様化及び高速化等の市場ニーズに応えつつ、グループ一体となって「電話中心」から「情報流通」への事業構造の転換に取り組み、収益を確保・拡大し、将来にわたり安定した経営基盤の確立を図るため、各種経営改善施策を着実に実行してきているところである。

U.経営環境の急激な変化
1.従来、地域電話市場においては、GC接続の進展に伴い県内市外を中心とした競争が進展してきたが、今般の接続料金の値下げ及び優先接続制度の導入を契機とした中継系NCCの市内参入表明によるシェア争いや料金値下げ競争など、市場環境が一変し従来にない熾烈な競争状況となっている。
 また、今後は、ネットワークの更なるオープン化によるダークファイバ、回線再販等の影響及びインターネットの普及に伴うVoIPの拡大による電話の一層の縮退が予想されていること、更には、接続料金について平成14年に再協議が予定されていることから、接続料収入のみならず市内通話料金収入への影響等、NTT東日本の財務に極めて重大な影響を及ぼすおそれがある。
2.爆発的なインターネットの普及に伴い、IPネットワークサービスへのニーズはこれまでの予想をはるかに上回るテンポで拡大しており、NTT東日本に対しては、その基盤的役割が期待されている。NTT東日本にとっては、飛躍的増大が予想されるインターネットアクセス需要を追い風とし、「光」「ADSL」を中心としたブロードバンドアクセスサービスの積極的展開を図っていく好機である一方、インターネットアクセス市場では、低廉な価格でのDSL事業者、光事業者の参入や、今後のダークファイバ開放等により多様な形態での競争が想定される。
3.このような中で、今年度から高速インターネットアクセスサービスの提供を本格化させることにより、IPネットワーク系収入は、平成15年度には収益を支える一つの柱と期待されるものの、地域電話市場における熾烈な競争による通話料収入の減少に加え、前1で述べたとおりインターネットの普及に伴うVoIPの影響、ダークファイバ、回線再販等の更なるオープン化による大幅な収入減が見込まれ、全体としての減収傾向は避けられない見通しとなっており、現行中期事業計画に基づく各種経営改善施策を着実に実行しても、平成15年度の経常利益は赤字への転落をも想定せざるを得ない厳しい状況となっている。

V.構造改革に向けた基本的な考え方
1.NTT東日本としては、前述の環境の変化に的確に対応し、IT革命の推進に貢献していくとともに、将来にわたる経営基盤の確立を図り、雇用の確保に努めていく。そのためには、優先接続営業に勝ち抜き引き続き電話収入の最大限の確保に努めることはもとより、ブロードバンド時代に対応した「光」「ADSL」を中心としたインターネットアクセスサービスの高度化・多様化や思い切った料金の低廉化によりIP需要の開拓を図り、電話からIP事業への転換を果たし、IPネットワーク系収入の増大、インターネット関連サービスを中心とした事業領域の拡大に取り組むことが極めて重要であることから、NTT東日本グループ一丸となって、サービス・収益構造改革に全力を傾注する。
2.一方、前U・3で述べたような厳しい収支見通しの中、今後の収益の柱として期待するインターネットアクセス分野において、熾烈化する競争に打ち勝つためには、コスト競争力を獲得することが不可欠であり、現行の中期事業計画に基づく各種経営改善施策に加え、NTT東日本グループ一体となった聖域なきコスト構造の抜本的見直しを行っていく。

W.構造改革の具体的な取り組み
1.サービス・収益構造改革の具体的取り組み
(1) ブロードバンドを中心としたサービス展開については、今夏以降100Mbpsの光サービスの提供を開始するほか、現行10Mbpsの光サービスについては更に低廉な価格でのサービスの普及・拡大を図り、平成15年度には県庁所在地級都市への拡大を目指す。また、「フレッツ・ADSL」については、更なる料金の低廉化を図りつつ平成14年度までに全国拡大を図ることとし、これにより、従来の「フレッツ・ISDN」と合わせ、インターネットアクセスサービスのフルラインアップ化を図る。
(2) また、これに併せ、インターネット関連サービスを中心とした事業領域拡大は、NTT東日本のサービス・収益構造改革において必須であり、これに向けて積極的に取り組んでいくとともに、高速ネットワークをベースとした上位レイヤにおける新たなビジネスの獲得にグループ会社を含めて取り組む。
なお、これらブロードバンドビジネスの展開イメージについては、別紙1のとおりである。
(3) 前(1)(2)の取り組みに合わせ、IPネットワーク系を中心とした情報流通事業の推進強化の一環として、本社法人営業本部については、IP・ブロードバンド対応を基軸とする体制に見直すとともに、大規模ユーザの集中する首都圏等における営業力強化の観点から、本社・支店間の連携をこれまで以上に密にするなど必要な見直しを行っていく。
2.コスト構造改革の具体的取り組み
前V・2において述べたとおり、今後の競争に打ち勝つためには、コスト競争力を獲得することが不可欠であることから、次によりコスト構造の抜本的見直しを図っていく。
(1) 一般物件費の削減
 物品の購入費用及び委託費・土地建物借損料等の経費について、市場価格等との比較による徹底した経費節減を行うなど一般物件費の削減を図る。
(2) グループ事業委託費の削減
NTT東日本並みの経営改善を実施し、グループ各社においても物件費の削減を図るとともに、後述の業務のアウトソーシングと雇用形態の多様化により、マーケットプライス化を指向したグループ事業委託費の削減を図る。
(3) 投資構造の見直し
 IP時代にふさわしい投資構造への見直しを図り、光化投資等を吸収した上で設備投資額全体の抑制を図っていく。
3.業務運営形態の見直し
前各項において述べたとおり、NTT東日本・NTT東日本グループ委託会社一体となって収益の拡大及びコスト構造改革に取り組んでいくが、これに加え、次のとおりオペレーショナル業務等について、新たに設置する県別子会社等に徹底した業務のアウトソースを行い、これらの会社において2類会社を中心としたグループ会社からの新たな業務の受託拡大を図る一方、地域密着の特性を活かした一般市場の獲得拡大を図っていくことにより、NTT東日本グループトータルとしてのコスト競争力の強化を図っていく。
(1) アウトソーシングの考え方
NTT東日本は、アウトソーシング後においても、お客様に対するサービス提供責任を果たしていくことを前提として、企画戦略・グループマネジメント及びサービス開発、法人営業等の基本機能等を保持し、現在、NTT東日本及びME各社等で実施している顧客フロント業務、設備オペレーション、TAM等の販売業務等を各県別に新設する子会社又は既存の経営資源活用会社の子会社等へアウトソーシングする。
(2) アウトソーシング対象業務及び新会社等の運営形態アウトソーシング業務については、業務実施地域において同種の業務を実施する会社に対抗できる価格で受託・実施することを展望し、また地域密着型である業務内容に着目し、@ 116、営業窓口等の顧客フロント業務、及びTAM、SOHO・マスに対する販売業務等については、県別に新設するサービス系会社A 設備オペレーション及び113等業務については、既存又は新設する県別のME系子会社において実施することとし、併せてME会社において実施している設備保守等業務について、県別のME系子会社にアウトソースする。
また、TAM、SOHO・マスに対する販売業務のアウトソースに併せ、NTT東日本における支店法人営業及び営業部門の効率化を図る。
 なお、具体的なアウトソーシング会社の新設については別途扱う。
(3) アウトソーシング会社への移行スキーム業務のアウトソーシングにあたっては、雇用確保の観点から、現在、当該業務に従事している社員を中心としてアウトソーシング会社への移行を行うとともに、社員の雇用形態の多様化ニーズに応えると同時に、人件費コストの低減化等によりマーケットプライスでの事業運営を目指すため、退職を選択した上で新会社に雇用される新たな仕組みを導入する。
(4) アウトソーシング後のNTT東日本の機能
 業務のアウトソーシングにあたって、NTT東日本に担保する機能については、次のとおりとする。
@ 企画戦略・グループマネジメント機能
A 顧客に対するサービス提供責任を果たすための基本的なサービス管理、設備構築、ネットワークコントロール等の機能
B 情報流通事業の推進機能を維持・強化する等の観点からのサービス開発、法人営業等の各機能
 また、これに伴いNTT東日本の本社等組織を、業務の親和性に基づき組織の大括り化を行うなどスリムで機動性のある体制に見直していくとともに、支店については、地域におけるNTT東日本グループ企業の要としての役割を引き続き果たしていく観点から、当面、現行の17支店体制を維持する。
なお、アウトソーシング後における業務運営体制のイメージは別紙2のとおりである。
(5) グループ会社への支援要請
前述のコスト構造改革及び業務運営形態の見直しにあたっては、NTT東日本として主体性を持って徹底した自助努力を行っていくとともに、持株会社等との連携を図りつつ、グループ各社に対し、@グループ内人員再配置の拡大、Aグループ会社の外部流出業務の還流、B持株会社の経費負担の軽減、C一時的費用の持株会社による負担、について支援要請を行う。

X.実施時期
1.業務のアウトソーシング等については、平成14年度第1・四半期を目途に実施する。
2.法人営業本部等の見直しについては、平成13年度第3・四半期以降準備が整い次第実施する。

Y.その他
本件実施に伴う雇用形態の多様化等、労働条件の見直しについては、別途扱う。

平成13年4月27日
東日本電信電話株式会社
新たな転進支援制度の導入について
 新たな転進支援制度について、次のとおり導入することとする。
1.基本的考え方
  現行の転進援助制度については、「社員の人生観の多様化等に対応するための制度」として平成4年に創設したところであり、それ以降一定の役割を果たしてきたところであるが、@転職・独立を希望する者の他に、本来、支援を必要としない自適生活者等を含んでいること、A制度利用者全員に支給される「特別一時金」が転進援助制度の大きな役割をなしていることから、結果的に早期退職優遇措置としての意味合いが強いものとなっている実態にある。
  更には、平成7年の減額年金制度の廃止等に伴う転進退職者が減少傾向にあること、及び特別一時金を存続すれば新たに会計基準の変更に伴う財務負担が生じることなどから、特別一時金を平成14年3月31日をもって廃止することに合わせ、現行の転進援助制度については一旦廃止のうえ、社員の就労ニーズの多様化に対応し、真に転職・独立を希望する社員に対する新たな転進支援制度を導入することとする。
2.対象者等
  年度末の満年齢が45歳以上55歳以下、かつ退職予定日現在の勤続年数が10年以上となる社員で、自ら独立・開業又はNTTグループ外に転進することを目的に退職する社員とする。
  ただし、NTTグループ外への転進を図る者のうち、職業に就かない者、職業には就くが生計を維持するだけの所得が見込まれない者、及び会社の支援自体が馴染まない転進を計画する者等は対象外とする。
  なお、転進退職承認後の本人からの申出の撤回は、従前どおり、認めないものとする。
3.支援概要
 (1) 転進休職
   休職期間は1ヵ月単位で最長3ヵ月とし、休職期間満了時に退職するものとする。
   なお、休職中は賃金の合計額の100分の80に相当する額を支払う。
 (2) 転進助成金
   転進に必要な資格・技能を修得する者に一定の助成を行う。
 (3) その他
   開業資金等融資の会社斡旋等を行う。
4.実施時期
  平成14年4月1日

平成13年4月27日
東日本電信電話株式会社
特別手当制度の見直しについて
 特別手当制度について、「新たな事業展開にふさわしい人事・賃金制度の導入等について」
(12東中記第40号、平12.12.22)等の経緯を踏まえ、次のとおり見直すこととする。
T.基本的考え方等
 1.現行制度の沿革
現行の特別手当制度については、昭和63年に、それまでの前年度実績をベースとした個別交渉方式を廃し、右肩上がりの経済情勢や概して好調なNTT業績を背景に、当時の労使間の一般的な賞与決定方法であった年間臨給方式を導入し、財務などに特別な変動が生じない限り支払率を安定的に運用することを前提とした方式に移行すると同時に、業績手当の見直しを行い「地方的に報われるシステム」を導入した。
   その後、「マルチメディア時代にふさわしい人事・賃金制度の見直しについて」(10中記第40号、平10.7.15)により、個人の価値観・ライフスタイルへの柔軟な対応、成果を上げた社員が報われるメリハリのある処遇、社員の自主性・主体性の発揮を基本とした人事・賃金制度への見直しにより、月例賃金及び年末特別手当に評価結果の賃金への反映を行うこととし、それを契機
に平成10年度業績手当支払時から業績手当(B)を廃止した。更に、競争の激化など経営環境の急激な変化等を踏まえ12東中記第11号により、平成11年度業績手当の支払いをもって業績手当は廃止したところである。
 2.現行制度の課題
   12東中記第40号により基本給等制度の見直しを行ったところであるが、現行の特別手当制度については、次のような課題があり、激変する市場環境等の中で、社員のモチベーションを引き出すことにより組織の活力や会社の競争力を高め、競争に打ち勝つ仕組みとしては不十分であると認識している。
  (1) 今後、激変する市場動向・競争環境の中で、会社の業績もこうした変化に応じて変動することが避けられないことから、特別手当についても、これまでのような「安定的」な支払水準を維持し続けることは困難であり、安定的部分は極力縮小する必要がある。
  (2) 12東中記第40号により、社員自らがあらゆる環境の変化等に主体的・自立的に対応しながら成果・業績をあげていくために「新たな事業展開にふさわしい人事・賃金制度」を導入したところであり、特別手当についても個々の社員の短期的な成果をよりタイムリーに反映し、モチベーションの向上につなげ、成果・業績重視の賃金体系を更に実効ある仕組みとして機能さ
せていく必要がある。
  (3) 前(2)に関連し、特別手当が全て基準内賃金に対する月数で支払われることから、@年齢賃金・都市手当・扶養手当等いわゆる属人給の要素が反映されること、A今後特別手当の基礎となる賃金引き上げが実施された場合、個々の社員の成果と関わり無く自動的に特別手当の水準に反映されること等、成果・業績重視の人事・賃金制度の趣旨とは合致しない仕組みとなっている。
 3.見直しの基本的考え方
   現行の特別手当制度については、前2の課題を踏まえ、@積極的にチャレンジし高い成果を達成した社員にタイムリーに処遇を行うという成果・業績重視の処遇への転換により、社員個々人のモチベーションを高め、ひいては組織全体としての業績の向上を図る必要がある、A市場、経営環境の激しい変化に応じ変動する会社業績に弾力的に反映させていくことが必要であるとの観点に立ち、会社業績の反映、よりメリハリ感ある個人業績の反映幅の拡大を柱とする特別手当制度に抜本的に見直す。
 
U.具体的な見直し内容
 1.支払水準決定方式
   支払水準については、会社業績等を適切に反映させる観点から、前年度の支払実績のいかんに関わらず、前年度決算・当年度事業計画など交渉時点において把握可能な客観的・合理的な指標に基づき交渉することを基本とし、額及び率の組み合わせにより回答・決定する。
 2.個人配分方法
   個々の社員に対する具体的な支払区分は、成果・業績をより反映する観点から「等級別定額部分」及び「評価反映部分」の2区分を基本とし、「評価反映部分」については、支払水準確定後、原資のうち一定率部分を確保し、評価結果に基づく個人業績反映を実施するなど、成果・業績に基づくメリハリある支払額とする。
   なお、具体的配分方法及び支払基準等については、特別手当の支払水準が会社業績に基づき大幅に変動することを踏まえ、その変動に対応し得るよう具体的配分方法等について一定の基準を設定することとし、具体的には別途明らかにする。
 3.評価反映対象者等
   評価反映対象者については、現行賃金制度における成果手当の扱いと同様、全社員を対象とする。
   また、評価は業績評価を基準に年2回実施することとし、評価段階については現行の枠組みを基本とする。
 4.その他
   今回の特別手当の見直しに伴い、個々の出向会社における適切な会社業績の反映及び出向者の出向先における成果・業績を重視する観点から、出向者に対する賃金の差額補填にあたり、特別手当部分については補填対象としない。
V.見直し時期
  平成13年度年末特別手当から実施する。

平成13年4月27日
東日本電信電話株式会社
構造改革のための更なる取り組みの実施に伴う労働条件諸制度の見直し等について
NTT東日本の構造改革に向けた取り組みの実施に伴い、次のとおり労働条件諸制度の見直し等を実施することとする。
T.雇用形態・処遇体系の多様化
  NTT東日本における競争力強化等を図るため、抜本的アウトソーシングによるコストダウンを行うとともに、社員の雇用確保の観点からアウトソーシング会社への社員の移行を実施することに合わせ、次のとおり雇用形態の多様化を実施する。
 1.基本的考え方
   NTT東日本においては、「NTT東日本の構造改革に向けた取り組みについて」(東日本経営協議会、13.4.27)に基づき、競争力の強化・経営基盤の確立の観点から、現在、NTT東日本及びME各社等で実施している116、営業窓口等の顧客フロント業務、TAM、SOHO・マス営業、設備オペレーション、113業務等の販売及びオペレーショナル業務等を県別に新設するサービス系会社及び県別の既存ME系子会社へアウトソーシングする。
   これと合わせ、雇用確保の観点から、現在、当該アウトソーシング対象業務に従事している社員を中心としてアウトソーシング会社へ移行するとともに、社員の雇用形態の多様化を実施していく考えである。
 2.アウトソーシング会社の概要
   アウトソーシング会社は、NTT東日本の事業構造改革による競争力の確保を図るため、アウトソーシング対象業務を実施地域において同種の業務を実施する会社と対抗できる価格で受託・実施するとともに、2類会社を中心としたグループ会社からの新たな業務の受託拡大並びに地域密着型の特性を活かし一般市場の獲得拡大を図ることを目的・役割とする会社であり、サービス系会社の設立等により対処する。
   
アウトソーシング会社の設立等にあたっては、NTT東日本、グループ会社及び一般市場から受託する業務の実施地域、業務内容及び業務効率性及び受託価格の基礎となる賃金相場なども勘案して、県単位とする。
 3.アウトソーシング会社の労働条件設定の考え方
  (1) 基本的考え方
    前2で述べたとおり、NTT東日本から受託するベースロード業務を将来にわたって競争力のある市場価格で提供していくというアウトソーシング会社設立の考え方を踏まえ、アウトソーシング会社の労働条件については、同一地域同業種の労働条件をも意識して各社毎に設定することとし、賃金水準については、現行のNTT東日本より概ね20から30%下回る設定とする。
  (2) 労働条件設定のイメージ
    人事賃金体系については、販売業務やオペレーショナルな業務の実施が主体となると想定されることから、大括りな等級構成の社員資格制度をベースとした仕事給としての要素も加味し検討しており、更に、モチベーション維持等を考慮し、仕事の能率・販売実績などの成果に基づく手当の設定が必要と考えている。
    また、その他の労働条件についても同一地域同業種を考慮して設定することが基本と考えており、具体的には別途提案する。
 4.雇用形態多様化とアウトソーシング会社への社員移行等の考え方
   前各項により競争力の確保を図る一方で、現在、アウトソーシング対象業務に従事する者を中心とした社員の雇用確保を図るためには、社員のアウトソーシング会社への移行と合わせ、社員のライフプランの多様化にも考慮し、選択型の雇用形態・処遇体系を提供する必要があり、具体的には次のとおりとする。
  (1) 雇用形態多様化の具体的内容
@ 60歳満了型(仮称、以下「満了型」という。)
     アウトソーシング会社設立後、NTT東日本等の企画戦略・グループマネジメント、顧客サービス管理、ネットワークコントロール、設備構築、サービス開発、法人営業等に従事し、現行の人事・賃金制度の適用を受け60歳(年度末年齢をいう。以下同じ。)まで勤務する形態とし、市場性の高いエリア等を中心として勤務地を問わず、成果業績に応じて高い収入を得る機会を追求する社員に応えるものとする。
A 60歳以降充実型(仮称、以下「充実型」という。)
     50歳の年度末にNTT東日本を退職し、51歳からアウトソーシング会社に再雇用され60歳までアウトソーシング業務等に従事した後アウトソーシング会社を一旦退職し、現行のキャリアスタッフと同様、契約社員等としてアウトソーシング会社に雇用され、公的年金の受給開始年齢に合わせ最高65歳までの雇用を実現する形態とする。
     また、勤務地が限定的となる一方、アウトソーシング会社においては月例給が低下することから、一定程度の激変緩和措置と雇用保険など公的給付の受給の組み合わせにより、61歳以降の充実した生活設計に資するものとする。
 B 一時金型(仮称、以下「一時金型」という。)
     雇用の形態としては前Aと同様とするが、勤務地が限定的となる一方、アウトソーシング会社においては月例給が低下することから、一定程度の激変緩和措置として50歳時などの節目において一時金を複数回受給できるパターンとし、生活設計の多様化に応えるものとする。
(2) アウトソーシング会社設立時の社員移行並びに雇用形態選択の考え方
 @ 移行対象者
     アウトソーシング会社設立時においては、原則として当該アウトソーシング業務に従事している社員を移行の対象とする。
     また、51歳以上の社員(出向者を含む。ただし、ME各社以外の期間の定めなしの会社への出向者は除く。)については、特に従事業務に関わらず充実型もしくは一時金型の選択を希望する社員を移行の対象とする。
    A 移行形態
 社員の移行については、年齢等に応じて次のとおりとする。
    @.51歳以上の社員については、当該アウトソーシング対象業務に従事する社員及びその他の業務に従事する社員のうち、充実型もしくは一時金型の選択を希望する者については、NTT東日本を退職のうえ、アウトソーシング会社における再雇用により移行することとする。
    A.当該アウトソーシング業務に従事している51歳以上の社員のうち、充実型もしくは一時金型の選択を希望せず満了型を選択する者については、NTT東日本もしくは他のグループ会社において勤務地限定のない企画戦略・グループマネジメント、顧客サービス管理、ネットワークコントロール、設備構築、サービス開発、法人営業等の業務への配置換を行う。
    B.移行時点での当該アウトソーシング対象業務に従事している社員のうち、50歳以下の者については、NTT東日本を退職しアウトソーシング会社に再雇用されることを希望しない限りNTT東日本からの在籍出向によりアウトソーシング会社へ移行する。
    C.50歳以下の社員(出向者を含む。ただし、ME各社以外の期間の定めなしの会社への出向者は除く。)についてもアウトソーシング会社に再雇用を希望する者は、NTT東日本を退職のうえ、アウトソーシング会社における再雇用により移行する。
ただし、この場合については、一時金型の激変緩和措置は実施しない。
 B 移行者の労働条件
     前Aによりアウトソーシング会社へ移行する者の、移行後の労働条件については次のとおり
とする。
    @.NTT東日本を退職のうえアウトソーシング会社に再雇用される者については、一般労働市場からアウトソーシング会社に直接採用される社員に適用される労働条件を適用する。
 なお、充実型及び一時金型を選択する51歳以上の者に対する激変緩和措置については、一般労働市場からアウトソーシング会社に直接採用される社員に適用される労働条件制度とは別の枠組みとして設定のうえ、措置する。
    A.NTT東日本から在籍出向により移行する者については、通常の在籍出向の例によることとする。
(3)アウトソーシング会社設立後の雇用形態選択の考え方
    平成15年度以降(アウトソーシング会社設立に伴ない当該アウトソーシング業務に従事する者を中心とする社員が移行した後)については、全社員(出向者を含む。ただし、ME各社以外の期間の定めなしの会社への出向者は除く。)について、50歳に到達した年度に前(1)のいずれかの雇用形態・処遇体系を選択することとし、充実型もしくは一時金型の選択を希望する社員についてはNTT東日本を退職のうえ、アウトソーシング会社において再雇用する。
    なお、アウトソーシング会社に出向中の社員で、充実型もしくは一時金型の選択を希望せず満了型を選択する者については、NTT東日本もしくはアウトソーシング会社以外のグループ会社において勤務地限定のない企画戦略・グループマネジメント、顧客サービス管理、ネットワークコントロール、サービス開発、設備構築、法人営業等の業務への配置換を行う。
    また、選択時49歳以下の社員についても希望する者は、NTT東日本を退職のうえ、アウトソーシング会社における再雇用により移行することとするが、この場合、一時金型における激変緩和措置は実施しない。
 (4) その他
   上記の雇用形態・処遇体系の構築に伴い、現行キャリアスタッフ制度は廃止する。
また、一般労働市場からアウトソーシング会社に直接採用される社員に適用される労働条件制度とは別の枠組みとして設定する激変緩和措置については、NTT東日本からアウトソーシング会社に移行する51歳以上の社員に限り適用することとし、会社設立時においては移行時の年齢等、それ以降は移行時期等を勘案して設定することとし、別途提案する。
 U.その他の労働条件諸制度の見直し等
前Tによる雇用形態の多様化等のほか、アウトソーシング会社を活用した事業運営形態への変革等、グループ全体の構造改革を考慮し、次のとおり労働条件諸制度の見直し等を実施する。
  1.諸手当の見直し等
  (1) 基本的考え方
    都市手当等地域手当をはじめとする諸手当について、アウトソーシング実施等による事業運営形態の変革など、構造改革への更なる取り組みに併せ、成果・業績重視の処遇への転換、及びコスト競争力強化の観点から、必要な見直しを行う。
  (2) 具体的見直し内容
@ 寒地手当
     寒冷地における消費支出(燃料費含む)と他の地域における消費支出との間に有意差が認められない等の実態を考慮し、寒地手当については廃止する。
     A 都市手当等
     都市手当については、消費者物価地域差指数、都市人口等を参考とし設定していたところであるが、アウトソーシング会社の地場賃金化により地域密着型業務の地域間差が実現すること、及びNTT東日本に存置する業務については、本来、付加価値創造型業務であり地域差を設定すべきものではないこと等を勘案し、現行都市手当及び都市手当に準拠した扱いとしている研究所勤務手当を一旦廃止したうえ、特定地域への限定的な適用を基本に再構築する。
     なお、具体的見直し内容については、別途明らかにする。
B 離島手当
     中期事業計画並びに構造改革のための更なる取り組みの実施により、現在支払対象となっている事業所は廃止すること、アウトソーシング会社が同一地域同業種の賃金水準を参考に労働条件を設定すること、及び生活環境等を勘案し、離島手当については廃止する。
C 通信機器販売手当
     通信機器販売手当については、「新たな事業展開にふさわしい人事・賃金制度の導入について」(東中記第40 号、平12.12.22)の経緯を踏まえ、特別手当制度の見直しを機に廃止することとし、具体的には特別手当制度の見直し論議の中で扱う。
 D 住宅補助費
     社宅政策との関わりから、社宅使用料の見直しを勘案し見直しを行うこととし、具体的には別途明らかにする。
 E その他諸手当
  アウトソーシングの実施等による業務運営形態の具体的変更内容等を踏まえ、別途提案する。
  2.配置転換協約等人員流動関連制度の見直し等
   (1) 基本的考え方
    中期経営改善施策において、販売拠点等の見直しに伴う市場性のあるエリアへの人員流動及び出向拡大等グループ内人員再配置を実施するなど人員流動が恒常化してきていること、並びに事業構造の転換に向けたアウトソーシング等による事業運営形態の見直し等に伴い、@グループ会社間での人員流動が更に恒常化してくることが想定され、社員の意識面からみても配置転換、出向・転籍等も通常の人事と何ら変わるものではないものとなってきていること、A固定的人員配置を前提とした現行の人員流動関連制度等は、今後益々必要となる弾力的な人員配置による事業運営に馴染まなくなってきていること等から、通常の人事異動と同様の扱いとすることを基本に見直す。
(2) 具体的内容等
 前(1)の考え方を踏まえ、人員流動に伴う固有の協議ルール等を含め、現行の人員流動関係諸制度は廃止する。
  なお、施策実施に伴う人員流動については、施策説明の協議に含め扱う。
  3.福利厚生の見直し
(1) 基本的考え方
    雇用形態・処遇体系の多様化などを含めた新たなグループフォーメーションにふさわしい福利厚生への再構築を図るとともに、事業構造の抜本的な改革を踏まえ、法定外福利厚生費の更なる効率化を図る。具体的には、@.自助努力支援への転換と受益者負担の適正化、A.非効率となっている福利厚生施策の徹底した見直し、B.自己選択・自己責任の徹底、等を基本に、社員のライフプランやニーズの多様化、事業環境の変化に対応した施策等への転換を図る。
(2) 具体的内容等
    @ 社宅使用料、住宅補助費水準を見直し、併せて社宅定年制との整合を勘案し住宅補助費に支給期間を設定するとともに、社宅措置の対象を原則として業務上の必要による場合のみとし、社員希望による場合とは区別して扱う。
    A NTT病院の自立化を展望し、利用社員に対する医療費減免措置等の会社補助を廃止する。
    B 新たなニーズ等を勘案し、育児・介護等に対応する新規施策等の検討を行う。
 C ライフプラン研修等については、労働条件諸制度の見直し等を踏まえ必要な見直しを行う。
     なお、具体的には、別途明らかにする

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