評価制度試行結果

 富山県は昨年秋から今年3月まで、業績評価制度導入に向けて試行した。
 試行から言えることは以下のとおりである。

@ 『業績評価制度』が本格実施されると大きな問題が出る。
 「試行」だったからよかったが、本格実施での査定昇給との連動は大きな問題点である。
 職場の班単位内での事務の相互分担や仕事の相互協力の和が大きく壊されていくおそれがある。

A 納得いく基準は作れない。
 県庁内全ての組織に適用できる『業績評価制度』の納得のいく「難易度」「進捗度」「貢献度」のモノサシはできない。
「困難業務」「やや困難業務」「標準業務」、「予定以上」「ほぼ達成」「未達成」、「貢献度高い」「標準」「貢献度低い」の区分けをするものさしが示されていないことから、個々人の判断によって非常な差異がでる。職場では絶対評価だが人事課の手をくぐると相対評価になる。

B そもそも何のための制度導入なのか?
 一部の「きわめて良好」等の層を選出するために全庁的に『業績評価制度』システムを導入し、職場に大きな負担を強いる必要があるのか?
 またその一方では班単位で「良好でない」層が炙り出されることになり、その層は分限解雇や「自己都合退職」に追い込まれることにならないか?

C 制度の骨抜きを
 今回試行した『業績評価制度』に対する反対意見は非常に多いが、今の情勢下では反対できない。したがって、外向きには「県も『業績評価制度』をやっている」としつつ、内部的には「骨抜き制度」とすることを目指せないか?

D 県当局は、今回試行した『業績評価制度』の個々の具体的問題点の整理をすべきであろう。

E 県当局が実施したアンケートと寄せられた意見を公表し、どのように改善するのか示すこと。


 以上のごとく県当局が導入しようとしている評価制度は、業務効率を悪化させ、職場の協力体制を破壊するものである。また上記の問題点を解決しないまま導入し、県の業績が低下する責任はすべて当局にある。

参考
城繁幸氏の目標管理制度が機能するための条件
  1 目標が数値目標化できる  
  2 目標のハードルが同じ高さ
  3 常に目標が現状にマッチしている
  4 評価の際、達成度だけで絶対評価が可能
    (日本型「成果主義」の可能性から)
 
                              戻る