『指定管理者制度』が導入される?
管理委託制度は廃止
2003年9月2日に地方自治法第244条の2の改正(改悪)が施行されました。これにより、公共団体や公共団体が1/2以上出資する法人に限定されていた『公の施設』の管理が、「指定管理者制度」として、株式会社を含む民間業者やNPOなどさまざまな団体に委託することが可能となりました。そして従来の管理委託制度は廃止され、現在、事業団、公社などに管理を委託している業務はすべて、3年以内に指定管理者制度に移行するか、直営に戻すかの選択が迫られます。これを契機に、現在直営の公の施設も指定管理者制度による管理代行が急速に広まる危険性があります。指定管理者制度に移行する場合は、条例を制定し、事業者の選任を行なうことになります。
儲け追求の株式会社等に任せることで、住民サービスの向上・公的責任を放棄 小泉構造改革
これまでの「管理委託制度」は、自治体との契約に基づいて、具体的な管理を行なうものであり、施設の管理権限と責任は自治体が担っていました。しかし「指定管理者制度」では、施設の管理に関する権限も委任することになり、指定管理者は、利用許可も行ない、条例の範囲内で料金を自由に設定でき、使用料も指定管理者の収入として受け取ることができます。施設の管理のみではなく、運営についても指定管理者が一定の枠内で自由に行なえるようになります。指定管理者制度は、小泉構造改革の中で、自治体のあり方を変える「官から民へ」の一環として位置付けられています。
政府は、これまで住民福祉の増進と均等にサービスを提供することを趣旨に、公の施設の管理の委託には厳しい制限を加えてきました。しかし、今回の指定管理者制度は、『経費節減・安上がり・効率性』を目的に儲け追求の株式会社に任せることで、住民サービスの向上と均質な提供という公的責任を放棄し、サービスを切捨ててもお金を使わなければそれでよいというものです。
雇用・労働条件で大きな問題
総務省は、複数業者による事業者の選定を指示(法的義務はありません)しています。また、5年ごとに見直しが行われるため、現在管理委託を受けている財団等での「公務員に準拠する」労働条件が大幅に引き下げられるなどそこに働く職員の身分・労働条件は著しく不安定になります。さらに、現在受託している財団等が指定管理者に指定されなければ、職員・臨時・パートも含めた大きな雇用問題が生じます。
住民と議会のチェックも後退
指定管理者制度のもとでは、施設の運営への利用者・住民の参加、住民監査請求を含めた住民チェック手続が法的に保障されていません。また指定管理者が得た個人情報の保護についても同様で、情報管理が危惧されます。
指定管理者制度はすでに法改正で根拠付けられてしまっていますが、安心して働き続けられる条件確保を人事当局に求めていくとともに、『指定管理者制度』の問題点を広め、問題意識の共通化を図らねばなりません
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