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「指定管理者制度」資料                  

どうなる「指定管理者制度」?

1.はじめに   『改正地方自治法』による指定管理者制度とは?

 2003年9月2日施行の改正自治法244条の2では、これまで事実上、公社公団など、いわゆる県出資法人のみが運営してきた「公の施設」の管理委託を民間業者・NPOなど様々な団体に委託することがこの制度によって可能になりました。

 「指定管理者」として指定されれば、使用料・使用許可など行政処分を含め広く、その指定管理者に決定させることができる制度です。この制度に基づき、現在社会福祉協議会、事業団、公社・公団などに管理を委託している事業は3年以内(富山県の場合は、2006年3月まで)に指定管理者制度に移行するか、直営に戻すかが迫られています。さらに、総務省の指導で今後新設される「公の施設」は指定管理者制度を前提にされるとともに現在直営の施設も指定管理者制度による管理代行が広がる危険性があります。

2.これまでの制度と何が異なるのか
 指定管理者の範囲には、従来管理委託を行なってきた公社・県出資法人・公的団体(自治会など)に加え、法人格のない団体(個人はダメ)まで広げることが出来ます。総務省はこのようにすることでさらに多様なサービスを提供することが可能になったとしています。また、部分委託として従来業務委託を行なってきた部分についても指定管理者としての委託契約と同時に併用が可能だとしています。

 なお、これまでの管理委託制度とこの指定管理者の関係は、下表の通りになります。

指定管理者制度

管理委託制度

業務委託

 

法的根拠

改正地方自治法

244の2

改正前地方自治法

244の2の第3項

私法

 

施行・廃止

2003年9月2日施行

2006年9月1日までに廃止

存続

 

具体的根拠

条例及びそれを根拠とする指定(実際には「協定」)

条例、及びそれを根拠として締結される契約

契約

 

管理受託者となりうる者(範囲)

民間事業者、NPOを含むあらゆる団体(法人格不要)

個人は不可

@自治体出資法人(いわゆる第3セクター)、A公共団体(土地改良区、地域自治会等)、B公共的団体(生協・NPO等)

自治法上、契約の制約あり

 

対象施設

個別法で除外されない「公の施設」※1

同左

すべて

 

受託者の仕事・権限・責任

事実上の業務

(施設メンテ、清掃、警備等)

定型的行為

(入場券検認、利用許可書等交付)

行事等の企画

私人の公金取扱規定による使用料徴収

?

利用料金制

×

使用許可※2

×

×

使用料の強制徴収※2

×

×

×

公物警察権※3

×

×

×

他業者への再委託

一部なら可

一部なら可

×

住民への平等利用確保、差別扱い禁止

?

?

※1 これまで業務委託の中にPFI等を含んできた。しかし今後より強力な推進が行われる可能性があり危惧される。

※2 いずれの制度も自治体の責任(利用条件の設定や不服申し立てなど)は残される。

※3 自治法以外の個別法により、施設・受託団体に制限が加えられている(なお、特区は顧慮に入れていない)

  自治体以外、不可とされるもの:道路(道路法)、河川(河川法)、学校(学校法)

  自治体以外で可とされるもの;公民館(社会教育法)、図書館(図書館法)、博物館(博物館法)、

保育所・児童館・老人福祉施設(社会福祉法、児童福祉法、老人福祉法)←株式会社も可。

  中間的なもの:水道(水道法・指定管理者制度を使えるが水道法上の事業者として改めて認可が必要)

         病院(医療法・指定管理者制度を使えるが株式会社はできない)

3.制度の問題点は何か。

(1)自治体が住民福祉向上のために設置してきた施設の完全外部委託化

これまで公の責任のもと住民サービスを向上させる目的で設置してきた「公の施設」の管理運営のみならず、利用の制限などまで指定管理させることになります。これは自治体業務のアウトソーシングを拡大させ、いわば「公の公たる由縁」を無視する制度であるともいえます。憲法では、全ての国民が等しく文化的な生活を営むことが保障されていますが、この制度の運用如何では、それを放棄する可能性があります。

(2)住民サービス後退の恐れ・公的責任が不明確

 公募による指定管理者の決定が、住民サービスに寄与する性格のものか。

 例えば、美術館が行なう業務のように地元作家の発掘と紹介のような地道な作業が本当に継承されるのか。という問題もある。 既に富山県においては市などへの寄付行為によって、民間の美術館が成り立たなくなりつつある現状においては非常に不安が大きい。また、県有財産とも言える美術品などの管理をすべて移管することが可能なのかという問題がある。

(3) 住民自治・住民参加、議会の関与が後退・空洞化

 例えば4年間の委託契約の元に指定管理者を参入させた場合、多くは監査上もすべて報告の義務はない。県が必要と認める場合のみ監査事務局で「監査が可能」になる。また、住民の意識をより広範に拾うための制度として導入することも言われるが、過去に行なわれた財団化などの攻撃による「住民サービス」をより明確に適格に実施してきたテーゼはどうなるのか。?さらに選定委員会などの設置状況如何によっては議員・首長などと癒着のある特定の業者のみが参入する可能性すら<はらんでいます。

(4) 自治体労働者の身分保障と権利の剥奪

 必要と認める場合は、年限を「10年に区切り」派遣することが出来る。その後、身分を戻すあるいは退職し、身分を移すことを選択させる。また営利団体への派遣となれば派遣条例別表2の扱いにより5年までを年限とされています。

4.富山県における「指定管理者制度化」の動き

 富山県でのスケジュールは以下のとおりです。

 平成16年度中に「基本条例」「個別条例」の制定、平成17年4月には「公募」を実施し、9月には業者を選定し、平成18年4月には「指定管理者」以降を想定することが出来ます。

 *県側の当面のスケジュール

  @ 6月末をめどに、施設所管の県庁本課に対して、「指定管理団体に求める条件」の整理

   と「コスト削減努力の状況」を照会しています。ただし、原則は現在の管理団体が運営す

   ることが前提ではない。 

  A 7月12〜16日 各課ヒヤリングにより施設毎の導入方針の検討、決定、指定管理者

   の参加要件、業務の範囲、財団の経営努力、財団のノウハウ

  B 8〜9月参入条件等について、打合せ 8〜9月

  C 10月導入方法の最終決定10月=>県庁各課において個別条例案の策定

  D 11月個別条例案文の最終案文調整 11月

  E 12月議会または2月議会をめどに条例提案

  F17年4月に「公募」開始

  G17年9月に指定管理者の議決  

  H18年4月に指定管理者制度の導入

指定管理者制度(改正地方自治法第244条の2)のQ&A

Q1 .指定管理者制度とは何ですか?

 これまで「公の施設」は適正な管理を確保する必要があることから、管理委託先は公共団体、公共的団体、政令で定める出資法人に限定されていましたが、今後は、個別法の規定の範囲内で、自治体の判断により民間事業者からNPOまで幅広く(「法人その他の団体」)委ねることが可能となった制度のことです。

Q2.指定管理者制度の特徴は何ですか?

(1)指定管理者の対象は、自治体が指定する法人その他の団体とされ、民間事業者やNPOなどが幅広く含まれる。また、請負には当たらないため兼業禁止の規定は適用されないが、不正防止のため条例で排除することは可能である。

 ただし、同時に複数の団体や個人を指定することはできない。

(2)指定管理者は、公の施設の管理権限を委託され、条例の定めにより使用許可も可能となるが、設置者である自治体の責任で行うべき基本的な利用条件の指定は、管理の基準として条例で定められる。

(3)@使用料の強制徴収、A不服申し立てに対する決定、B行政財産の目的外使用許可など、法令で首長のみが行うとされる権限は委託できない。

(4)住民の平等利用の確保や差別的取り扱いの禁止の義務づけがされており、指定管理者が違反した場合は、指定の取り消し等の必要な設置が自治体に担保されている。

Q3.いまなぜこのような制度が導入されたのですか?

 現在の行き詰まった日本経済状況のなかで、「民にできることは民で」とする小泉構造改革路線の一環として導入されたものです。「公の施設」の管理を公共団体、公共的団体、政令で定める出資法人に限定するとしている地方自治法244条(詳細別紙)の2の規定が「公の施設」の管理についての民間参入を阻害しており、自治体の財政難と経営効率化の観点から、民間活力の導入(アウトソーシング)を進めるために、制度改正が行われました。

Q4.これまでの制度との違いは何ですか?

 従来の地方自治法244条による管理委託制度は、管理受託者が公の施設の設置者たる自治体との契約に基づき、具体的な管理の事務または業務の執行を行うもの。当該施設の管理権限及び責任は自治体が有し、施設の利用承認等処分に該当する使用許可等は委託できませんでした。また、管理受託者も公共団体や公共的団体及び自治体の出資法人等に限定されていました。しかし、今回の地方自治法244条の改正による指定管理者制度は、指定により公の施設の管理を、当該指定を受けた者に委任するもので、委任先は「法人その他の団体」として事実上制限がなくなりました。指定管理者は処分に該当する使用許可を行うことができることとされ、自治体は設置者としての責任を果たす立場から指定管理者を監督することとなります。また、個々の具体的業務について委託する業務委託と異なり、包括的に管理を委託するものです。

Q5.地方独立行政法人制度やPFIとの関係はどうなりますか?

 指定管理者制度は、公の施設の設置は当該自治体が行い、その管理について一定の団体に委ねるものです。

 地方独立行政法人制度は、当該施設を自治体から分離して法人に移管するものです。このため、指定管理者制度では、施設の設置の根拠、管理の方法については自治体の条例に基づいて行います。一方で、地方独立行政法人制度は、施設の設置や管理については地方独立行政法人自らが行うこととなります。

 PFI事業については、民間事業者が整備した施設を公の施設として管理する場合、公の施設管理を施設整備した民間事業者が引き続き管理受託することはできませんでしたが、今回の改正により、当該民間事業者を指定管理者として指定することで、使用許可や利用料金制の導入を含めて管理運営を行うことが可能となりました。ただし、PFI事業は請負契約であるため競争入札となり、指定管理者制度は行政処分であることから、同一の民間事業者に対してPFI事業の入札とあわせて公の施設の管理者として指定することは、手続き上の問題や指定管理者制度の趣旨、公平性、透明性の観点から問題があります。

Q5.この制度の問題点はどこにあるのでしょうか?

@公の施設の管理者の対象が大きく広がり、これまで地方自治法で規制されていた民間事業者の参入を許し、制度導入を契機に、民間委託の動きが加速すること。

A制度の導入が検討されている施設について、導入の是非や課題について施設の目的や実態に基づくのかどうか。特に、管理委託施設・公設民営施設では、施設の目的や実情にあわせて条例制定に向けた手続や基準等の対案づくりが必要。

B従来の管理委託施設は全て指定管理者制度に置き換わることになるので、慎重な検討を求める。

C従来の管理委託施設が指定管理者に選ばれなかった場合、その財団等に勤務する職員の雇用・身分保障の観点から引き続き、管理委託先を指定管理者とさせることを前提に、労使交渉を進める。

Q6.いつから始まるのですか?

 この制度は2003年9月2日から施行されました。これまで、旧・地方自治法244条の2による管理委託を行ってきた「公の施設」の場合は、3年間(経過措置後平成18年9月)の間に自治体が指定管理者制度に移行することになっています。が、年度替わりを考えると平成18年4月に向けて準備が進められています。すでに、指定管理者制度導入のため、@指定の手続きについて一般ルールとして定めた自治体、Aすでに個別の施設について条例を定めた自治体があります。

Q7.「公の施設」とは、どういう施設のことですか?

 地方自治法では、「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」とされており、県や市町村が住民のためにさまざまなサービスを提供するための施設のことです。例えば、福祉施設や病院、図書館、市民会館、博物館、美術館、保育所、児童館、体育館などの公的施設です。ただし、試験研究機関や公営競輪場、競馬場などは対象となっていません。

Q8.指定の手続きとは何ですか?

 指定管理者の指定は行政処分であり、請負契約ではないので入札の対象となりません。しかし、その選定が公の施設の適正かつ効率的な管理を可能とするものでなければならないことから、指定の手続は条例で定め、(ア)該当施設の名称、(イ)指定管理者の名称、(ウ)指定の期間などの項目について議会の議決が必要となっています。なお、指定自体は議会ではなく首長が行うものであり、議会は首長の指定の提案に対する賛否を議決することとなります。

 総務省は、指定の申請にあたって、複数の申請者に事業計画を提出させ、(ア)住民の平等利用の確保、(イ)施設の効率的利用や経費縮減、(ウ)安定管理の物的・人的能力などの選定基準を定め、最も適切な団体を選定することが望ましいとしていますが、法令上の定めはなく、具体的な対応については自治体の自主的判断に委ねられています。

 公社・事業団などについてはその設立の経過や役割などに配慮して、公募によらず指定することはあり得ると総務省も認めています。

Q9.管理の基準とは何ですか?

 管理の基準は、(ア)休館日、(イ)開館時間、(ウ)使用許可の基準、(エ)使用制限の要件、 (オ)管理を通じて取得した個人情報に関する取り扱いなど、住民が公の施設を利用するにあたっての基本的な条件であり、条例で定めることとされました。このため、指定管理者は、条例で定められた管理の基準に沿って施設の管理を行うことになります。特に個人情報の保護については、管理の基準とは別に、個人情報保護条例において必要な事項を指定管理者との協定に盛り込むことの規定など、必要な措置を講じるべきとされています。

 例えば、公営住宅の管理を民間事業者に委ねるとすれば、個人の所得などの個人情報を民間事業者が扱うこととなります。こうした個人情報の扱いについては、現行の個人情報保護条例では規定されていないことから、自治体において個人情報保護条例の規定の見直し、強化が必要です。

Q10.業務の範囲とは何ですか?

 指定管理者が行う管理の業務の具体的範囲について、使用許可まで指定管理者の業務とするかどうかを含め、施設の維持管理等の範囲を施設の目的や態様に応じて条例で定めることとされました。このため、指定管理者の業務については、事実上自治体の自由設計で定められることとなります。

Q11.事業評価、財政監査などはどうなりますか?

 自治体には公の施設の設置者としての責任があり、指定管理者の評価/監査を行うため、次の通り自治体の権限が強化されました。@自治体が定める事項についての毎年度の事業報告書提出を義務づけ、A報告・調査・指示・指定の取消・停止などの監督権限、B施設利用に関する処分の不服申立て等が自治体の長に対して行われ監督責任の明確化、C監査委員による監査・包括的外部監査人による監査・個別外部監査人による監査のいずれかを実施(ただし管理業務そのものの監査は行わない)

Q12.新たに設置される「公の施設」や現在直営で行っている場合はどうなるの?

 引き続き直営とするのか、新たに指定管理者制度を活用するのかは自治体の判断です。指定管理者に管理を委ねる場合は、開設にあわせて直ちに指定手続きの作業が行われます。

 指定に向けては条例の制定又は一部改正、指定管理者の議決と2回の議会を経るよう総務省は指導しています。

Q13.施設の利用料はどうなりますか?

 議会が、あらかじめ金額の範囲、算定方法など基本的なことは条例で定め、その範囲内で指定管理者が利用料金を定めることができますが、自治体の承認が必要です。

Q14.そこで働く労働者の身分・労働条件はどうなるのか?

 直営施設の管理が公的セクターに委ねられる場合は、当該職員は他の部署に異動するか、または派遣法・条例にもとづいてその職場に派遣されます。民間事業者に委ねられる場合は、派遣に係る法制度はなく原則他の部署に異動になりますが、自治体によっては当該民間事業所への再就職や分限免職などを求めてくる場合も考えられ、注意が必要です。

 これまで、管理委託を受けていた受託団体が引き続き当該施設の管理を受けられない場合、当該団体の中で雇用を吸収できなければ、解雇につながります。

Q15.民間事業者の動きはどうなっていますか?

 指定管理者制度施行にあわせ、自治体部門を設けたり、専任の担当者を置くなど積極的に活動している企業・団体そしてNPO団体もあります。

Q16.それぞれの施設についてどのように取り組み方がありますか?

 今後進行する条例制定段階において、

@直営施設に指定管理者制度を導入、

A新規施設に指定管理者制度を導入、

B従来の管理委託制度から指定管理者制度への切り替え、

C管理委託制度以外の法令を適用した公設民営施設の指定管理者制度への切り替え

 の四つのパターンが考えられます。このうち、自治体改革、市民自治の確立の観点から問題がある場合を除き、次の通り取り組んでいきます。

@ (直営施設に指定管理者制度を導入)

   直営堅持を前提に、指定管理者制度を導入させない取り組みを基本とする。

A (新規施設に指定管理者制度を導入)

   直営堅持を前提に、指定管理者制度を導入させない取り組みを基本とする。ただし、市民自治の見地から、NPOや市民団体への指定について十分検討する。

B (従来の管理委託制度から指定管理者制度への切り替え)

   法令上やむを得ないことから、指定管理者を既存の管理委託先に引き続き指定させることを基本とする。

C (管理委託制度以外の法令を適用した公設民営施設の指定管理者制度への切り替え)

   法令上必ずしも切り替える必要がないことから、現状維持を基本に取り組む。ただし、指定管理者制度への切り替えが望ましい場合もあるので、十分に検討する。

Q17.現行管理先を指定管理者にするためにどうしたらよいでしょうか?

(1) 指定は首長が行うものであり、法令上は必ずしも複数の申請者を求められておらず、総務省がその方が望ましいとしているに過ぎないことから、自治体の判断により公募を行わないことは可能です。この場合は、別添条例案5条の規定などが考えられるので、この対応について、十分、吟味させる必要があります。

   特に、その施設の目的、県民サービスにおいての必要性から、「直営」という選択枝は、十分な議論と協議が必要です。特に、県民を巻き込んだ議論等、労使だけの対応に終わらないようにすることが重要です。

ただし、指定の手続そのものは条例で定める必要があることから、一般的には少なくとも公募形式を採用することが想定されます。その場合でも、@申請の方法、A募集の期間、B事業計画の内容、C管理の基準・業務の範囲の設定、D選定の方法(書類審査・面接等)の工夫により、実質的に特定の団体への指定は可能と考えられます。    

また、指定にあたっては、公正労働基準及び社会的価値の確立を図るため、具体的な選定基準に盛り込ませる必要がでてきます。

なお、状況によっては、逆に公平性・透明性を確保するために指定・審査プロセスを県民に公開し、選定委員会の設置などを求める場合はあり得る。

(2) 選定の基準として、住民の平等利用、効率化とともに管理を安定して行う物的能力、人的能力が重要であるとされていますので、既存の委託団体は、これまでの経験やノウハウが蓄積されており、管理を安定して行う物的能力、人的能力が新規参入者よりも勝っているはずであり、コスト比較ではなく、経験やノウハウが生かされるような具体的な基準を設定すべきです。

(3) 業務の適正な管理についても、これまでの経験やノウハウから既存の委託団体が勝っているはずであり、また、そうなるよう管理の基準や業務の範囲を定めるべきである。

(4) 指定の期間については自治体の判断であり、数年から数十年の幅がありうる。管理を安定して行うためには長期的な期間設定の方が望ましい。また、事業報告をはじめ、調査や指示、指定の取り消しなど、自治体の監督権限を行使すれば、総務省がいう管理の適正について見直す機会はそれほど必要ないはずである。

   なお、こうした主張は、公の施設の目的や、指定の手続の透明性・公平性の見地や住民の利益から見ても正当性があるはずですが、一方で、実際にそうあるためにノウハウを高め、サービスの質の向上に努力する取り組みが重要であることは当然です。

Q18.県民と連携していくための方法はありますか?

Q19.最悪、解雇されそうな場合はどうすればよいでしょうか?

  使用者が労働者を意に反して解雇することは法律で厳しく規制されています。企業や団体を整理・縮小するなどの理由で労働者を解雇するには、「労働基準法第18条」上、次の「4つの要件」をすべて満たさなければなりません。

 要件1.どうしても解雇しなければ会社・団体の事業が継続できない。
労働者を解雇しない限り、企業・団体の事業が存続できないという差し迫った事情がなければなりません。「会社の経営が大変だから」というだけでは要件にあたりません。

 要件2.解雇しないために使用者は、あらゆる努力を尽くした。
解雇は労働者の生活と権利を奪う最悪の措置です。たとえ会社や団体の経営が大変であったとしても、使用者は解雇を回避するためにあらゆる努力をはらわなければなりません。

 要件3.労働者に十分に説明をして納得を得ている
使用者は、解雇する必要性について労働者に十分に説明をして、納得を得る必要があります。
労働組合があれば誠意をもって交渉を尽くし、合意をはからなければなりません。

 要件4.解雇者の人選に不公正や偏りがない
解雇者の対象や人選に不公正や偏りがあってはなりません。「使用者が気に人らないから」「労働組合に人っているから」という理由で解雇者を人選することはできません。

 解雇については、その場で了解しないこと、疑問があれば、説明を求めること、そして、私たち県職労に、すぐ連絡して下さい!

【労働基準法第18条の2】
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」

補強資料 語句説明

(1)指定管理者制度

 今回の地方自治法244条改正による指定管理者制度は、指定により公の施設の管理権限を当該指定を受けた者に委託するもの。指定管理者は処分に該当する使用許可を行うことができることとされ、自治体は、設置者としての責任を果たす立場から指定管理者を監督することとなる。このため、私法上の契約によって外部委託するいわゆる業務委託や、条例を根拠として締結される具体的な委託契約に基づき管理が委託される従来の管理委託制度とは異なり、次のようなことが可能となる。

@利用者からの料金を自らの収入として収受すること。(従来の管理委託制度でも可能)

A条例により定められた枠組みの中で、地方公共団体の承認を得て自ら料金を設定すること。

B個々の使用許可を行うこと。

(3)指定管理者制度と業務委託の違い

 公の施設に関する業務についても、次の分野につては従来から業務委託として民間事業者に行わせることが可能であった。今回の改正により、公の施設の管理については、今後業務委託ではなく指定管理者を指定することになるが、個々の具体的業務について一部を指定管理者が第三者に委託することは可能である。

@施設の維持補修等のメンテナンス、警備、施設の清掃、展示物の維持補修、エレベーターの運転、植栽の管理

A入場券の検認、利用申込書の受理、利用許可書の交付(但し、管理責任や処分権限は自治体が有し、管理や処分に方法についてあらかじめ設定した基準に従う)

B私人の公金取扱いの規定に基づく使用料等の収入の徴収

C保有カリキュラムの策定、各種行事の企画

(4)指定管理者制度と地方独立行政法人制度の違い

 指定管理者制度は、公の施設の設置は当該自治体が行い、その管理について一定の法人等に委ねるものであるが、地方独立行政法人制度は、当該施設を自治体から分離して移管するもの。

 このため、指定管理者制度では、施設の設置の根拠、管理の方法については自治体の条例に基づいて行うが、地方独立行政法人制度は、設置の施設や管理については地方独立行政法人自らが行うこととなる。

(5)PFIと指定管理者制度

 PFI事業については、民間事業者が整備した設置を公の設置として管理する場合、公の施設の管理は施設を整備した民間事業者が引き続き管理受託することはできなかったが、今回の改正により、当該民間事業者を指定管理者として指定することで、利用料金制の導入を含めて管理運営を行うことが可能となる。

 ただし、PFI事業は契約であるため競争入札となり、指定管理者制度は行政処分であることから、同一の民間事業者に対して、PFI事業の入札とあわせて公の施設の管理者として指定しなければならない。このため、指定管理者制度の主旨や公平性、透明性の観点から問題がある。

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