『民間委託』で富山空港の安全管理は大丈夫か?

        ―車両センター廃止後の富山空港の実態―                 戻る

「車両センター廃止」に問題顕在化

 富山市にあった車両センターは、「行政改革」の中で、昨年3月末日をもって廃止されました。車両センターにいた車両整備員は、現在は土木センターなどに分散されて配属されています。

 車両センターがなくなったことで、車両の修理は民間業者に委託されました。しかし、いざ車両故障が発生しても、実際には土木センターにいる車両整備員が出向いて状態を見ないと判断がつかないことばかりです。特に除雪作業の際に車両故障が起きると、大変なことになります。

 空港には、現在、除雪車7台、ロータリー車3台、スイーパー車3台、凍結防止用の尿素散布車が1台あります。たくさんあるように見えますが、大きな滑走路を除雪する際にはほぼフル稼動になります。その中で「ワイパーが動かない」、「ランプが消えた」などの故障が2台でも起きれば、時間との闘いでもある除雪作業にとって極めて大変な事態となります。除雪機械のオペレーターはずいぶん前から民間業者が行っていますが、彼らは車両故障には容易に対応できない実情にあります。

 空港滑走路は一般道路と違い、1pでも積雪があれば即除雪となります。また、除雪作業は60〜70qの高速でやります。そのため、ワイパー1つ故障しても除雪作業は困難となります。近年は発着の便数が多くなり、日中除雪作業が必要な場合は、航空機を上空に待機させて行うことになっています。

「何がなんでも民間委託」という県の姿勢のツケは?

 今年の2月8日(日)に、一般道路除雪のため、土木の車両整備員は午前2時半から除雪作業を行っていました。午前9時頃、空港管理事務所から除雪車の故障の連絡が入り、午前11時頃まで空港に出向いて修理を行いました。修理後10分後、一般道除雪の現場に戻る途中で再び空港管理事務所から除雪車のワイパー故障の連絡が入って空港へ引き返し、修理をしました。「昨年4月からは車両故障の修理は委託になった」はずですが、実際には土・日に業者に連絡してもつかまりません。

 しかし、「除雪機械が故障して空港が除雪できない」ということはできませんので、故障の修理は今までと同様に車両整備員が対応する実態となります。かってのように車両センターがあれば、部品交換などを含めて迅速に対応できるはずですが、現在は土木管内の現場を抱えながら緊急事態に対応しているのが実態です。一般道路の除雪中の車両故障もあり、こちらの対応も欠かすことができません。車両故障は頻繁にあり、これはほんの一例です。

 空港では、視界不良による航空機の運休はいくらでもありますが、滑走路の除雪ができないことによる運休は一度もありません。融雪装置は湯気が出るため、視界不良の原因となり、設置はできません。

 車両センター廃止の際、現業協は人事当局に対して、「空港管理事務所への配転も提案しました」が認められませんでした。車両整備員は退職不補充のため、あと数年で職員はゼロとなります。現在、県として上海便実現に向けての活動が行われていますが、その足元を支える現場の実態を無視して「何がなんでも民間委託」という姿勢では、必ずそのツケがやってくることになります。

「安全性の確保」が大事

 現場で安全管理体制を支える職員がいることで、航空機の運行の安全が確保されています。「安全性の確保」ということに「民間委託で効率化」というモノサシはなじまないと思いますが、どうでしょうか?

                         

H16.7.17
 富山県は中国上海便をめぐり、隣の石川県と誘致合戦を行っています。とりあえずは石川県の小松空港に軍配が上がりました。それでも富山県はめげずに今度は全職員に対し、「上海に行ったことがあるか、行く予定があるか」と意向調査を始めています。住民サービスの業務に関係の無い、全く時間の無駄ともいえることを管理職がおこなっている。
 上海にいけば補助を行うといった利益誘導でも行えば、それなりに成果は上がる。しかし賃金切り下げや定昇停止などをおこなうだけでは利用が増えるとは思えない。低賃金化が進み、計画していた旅行も見直すのである。中国北方航空はあきらめ、今度は上海航空に色目を使い始めた。チャーター便の大増発である。元々富山空港は神通川河川敷内に設置されたもので、ジャンボが離着陸できる距離はない。石川小松空港に比較すると国際空港にはほど遠い。このような政策を行うのは県行政の末期症状とみていいだろう。ましてや上記のような冬期間のような除雪のもんだいもあり、欠航も多い。
 生活の不安定化や県財政の悪化をよそに、JR在来線、北陸新幹線、飛行機など交通機関にどれだけ投資をすれば中沖豊の気がすむのだろうか。