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ダムの功罪??


 ダムとは川を堰きとめるもので人工の湖です。目的はいろいろあります。砂防・発電・洪水調節・灌漑用水の確保・上水道・工業水道の水源などです。以上がメリットです。

 ダムにはデメリットもあります。デメリットはダムの存在自体が自然を破壊していることです。ダムがなければ、濁水や土砂、栄養分が海に流され、扇状地を形成し、海に流れて海岸線を守ってきたのです。

 ダムができた為にこれらのことが自然にできなくなったのです。だから海岸の浸食が進み、多額の費用をかけた防波堤などが必要になる地域もあります。そういう意味では一定の排砂が必要とも思います。国土交通省は河川の土砂の採取を原則禁止しています。それは土砂を掘り下げると堤防が崩れてしまうからです。またダムがあり上流からの土砂が流れてこないので少なくなる傾向にあるのです。

 またダムの洪水調節は方法によっては人災になることもあります。上流の集中豪雨で突然の放流になることもあります。事例もありますが、ダム下流にいると流量の変動が起きないものと勘違いする可能性もあります。

 ダムには土砂とともに落ち葉や流木が堆積し、腐っていきます。地にもどるのです。しかし量が多くなるとダムの機能が失われます。ダムの設計時には予めこのことを想定してつくられていますが、これは比較的大きなダムです。ダム機能維持のためには排砂が必要になるのです。ダムの底には腐敗したヘドロ状の物質が土砂とともに堆積しています。これが放出されると川の魚は呼吸困難になり、発生するガスなどにより大量死になると思います。漁業者から嫌われる原因です。

 私は腐敗するまえに定期的に排砂するのがいいのではないかと思っています。自然に近い状態で運用するのが望ましいのです。しかし水利権者との利害の対立になります。

 ダムだけで洪水がなくなることはありませんが、一定の調整ができています。上水道の確保も大事です。ただダムだけに頼るのでは限りがあります。中国揚子江などでは上流の山々の木を燃料として使うので森林がなくなり、降った雨は一気に大量が流れます。つまり洪水調節や灌漑・飲料水の確保は山の森林を守ることが最も重要と思います。黒部川の上流では大量の山の崩壊が始まっています。崩れていくのも自然なのですが、心配になります。

 複雑な政治的問題としては、ダムは公共事業です。一言で言えば景気対策です。多額の費用がかかるので、多目的ダムの形態をとり各水利使用者に建設費を按分します。そこに必要のない水需要があるとの書類ができてしまう原因があります。また押し付けられた自治体や公営企業などはその為に赤字に悩まされます。富山県も同様の経過を辿りますが、得をしたのは北陸電力や関西電力そして建設業者などと言えるでしょう。



資料 長野県田中知事の「脱ダム」宣言

 数百億円を投じて建設されるコンクリートのダムは、看過(かんか)し得ぬ負荷を地球環境へと与えてしまう。更には何れ(いずれ)造り替えねばならず、その間に夥(おびただ)しい分量の堆砂(たいさ)を、此又(これまた)数十億円を用いて処理する事態も生じる。

 利水・治水等複数の効用を齎す(もたらす)とされる多目的ダム建設事業は、その主体が地元自治体であろうとも、半額を国が負担する。残り50%は県費。95%に関しては起債即ち借金が認められ、その償還時にも交付税措置で66%は国が面倒を見てくれる。詰(つ)まり、ダム建設費用全体の約80%が国庫負担。然(さ)れど、国からの手厚い金銭的補助が保証されているから、との安易な理由でダム建設を選択すべきではない。

 縦(よ)しんば、河川改修費用がダム建設より多額になろうとも、100年、200年先の我々の子孫に残す資産としての河川・湖沼の価値を重視したい。長期的な視点に立てば、日本の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁する長野県に於いては出来得る限り、コンクリートのダムを造るべきではない。
 
 就任以来、幾つかのダム計画の詳細を詳(つまび)らかに知る中で、斯(か)くなる考えを抱くに至った。これは田中県政の基本理念である。「長野モデル」として確立し、全国に発信したい。

 以上を前提に、下諏訪ダムに関しては、未だ着工段階になく、治水、利水共に、ダムに拠(よ)らなくても対応は可能であると考える。故に現行の下諏訪ダム計画を中止し、治水は堤防の嵩(かさ)上げや川底の浚渫(しゅんせつ)を組み合わせて対応する。利水の点は、県が岡谷市と協力し、河川や地下水に新たな水源が求められるかどうか、更には需給計画や水利権の見直しを含めてあらゆる可能性を調査したい。

 県として用地買収を行うとしていた地権者に対しては、最大限の配慮をする必要があり、県独自に予定通り買収し、保全する方向で進めたい。今後は県議会を始めとして、地元自治体、住民に可及的(かきゅうてき)速やかに直接、今回の方針を伝える。治水の在り方に関する、全国的規模での広汎なる論議を望む。

         平成13年2月20日         長野県知事  田 中 康 夫




建設企業常任委員会(富山県議会)、2004年9月7日開催


 富山県企業局が上水道の水源確保のため熊野川にダムを建設していた。しかし水需要の見通しが全くないことから、洪水調節用ダムに切り替え、水利権を富山県が購入し、新たなダム整備事業を行うことになった。

 これに伴う企業局の債務について湊谷(社民)議員がただした。本田企業局次長は15年度末で64億円になるとした。内訳は、債務残高は134億円で、そのうち70億円を県が洪水調節などのため買い取り、残りが64億円(厚生労働省の補助金34億円、その他市町村の出資金)あり、その清算のため関係団体と交渉に入ると言う。

 問題は熊野川ダムだけではない。この間多くの無意味なダムが建設され、市町村や国民に負担を強いている。
 国の計画に載せられていることもあろう。しかし、責任は誰が取るのだろうか。「行政の責任」だけではすまない。
 金はある。しかし無駄に使われているので財政難に陥っているだけである。

2004年2月定例議会での質疑

代表質問 2004.3.3
26番(湊谷道夫君)私は、社会民主党を代表して質問をさせていただきます。(抜粋)
 次に、不要不急の公共事業の見直しについて伺います。

 私たちは今日まで、利賀ダムを初めとする大規模公共事業の見直しについて提言してきました。この間、黒川ダム、湯道丸ダムなどが建設中止の事態となり、また、熊野川ダムは完成から20年になりますが、水需要は見込めず、さらに建設休止となった黒川治水ダム事業にかわる熊野川ダム再開発方式も依然として足踏み状態にあります。また、平成5年に完成した境川ダムも、上水の未利用水が60%もあり、未利用の工業用水とあわせ問題であります。

 宇奈月ダム、出し平ダムの連携排砂は、黒部川の生態系や内水面漁業に被害を与え、海面漁業、漁場環境に重大な影響を与えています。ダム建設がさまざまな問題点と県政の課題を浮き彫りにしているのでありますが、改めて、今日の深刻な財政状況や環境問題に照らし、利賀ダムや大規模林道事業の見直しについて見解を求めたいと思います。

 まず、大規模林道事業の見直しについてお尋ねいたします。
 去る2月12日、大規模林道の事業見直しを進めていた林野庁の検討委員会が、整備計画の中止・縮小の方針を明らかにしました。その根拠は、建設の必要性や事業効果が乏しいとの判断からであります。県内では、朝日大山線の上市−立山区間の建設中止、大山福光線の2区間が計画変更であります。805 億円余りの総事業費に対して、見直しによる事業費の削減は124 億7,100 万円、マイナス15.5%で、富山県は26億5,600 万円の削減であります。早くから事業の見直しを求めてきた立場として評価されますが、県当局として検討委員会の方針についてどのように評価されるのか、農林水産部長の見解を伺いたいと思います。
 次に、利賀ダム建設の見直しについて伺います。
 昨年12月、群馬県で建設中の戸倉ダムが建設中止となりました。財政難に加え、水需要の停滞状況が反映されたものであります。

 利賀ダムは、平成6年に旧建設省が総事業費900 億円で建設することを明らかにしました。現在、ダム建設に伴う工事用道路の改良事業が施工中でありますが、その進捗率は19%であります。ダム本体の着工は状況的にまだ先のことであり、したがって平成20年度の完成はあり得ないことと思われますが、どのように状況を把握されているのか、土木部長に伺いたいと思います。

 また、県内外のダム建設の事例を見るまでもなく、利賀ダムも900 億円の事業費が大きく膨らむことは必至でないかと思われます。あわせて部長の見解を伺いたいと思います。

 利賀ダムは、洪水調節や工業用水確保の利水などを目的とするダムですが、厳しい財政難や水需要の停滞で建設が中止された戸倉ダムの背景とは共通するものであります。私たちは利賀ダムの建設について、150 年に一度あり得る洪水に備えるためという県当局の見解を否定するものでありません。しかし、洪水に備える手段は、ダムの建設がただ一つの手段ではないということであります。現に、戸倉ダムを初めとして全国で数多くのダムが建設中止の選択をしていますが、財政難と水需要の低迷が建設中止の事由であったにせよ、治水・洪水対策は依然として残されており、別途対策が必要であります。

 したがって、洪水調節は、多様な河川改修によって洪水の調節を図り、山林の再生、森林の育成を図ることによって、豊かな緑のダムとして水源涵養機能をより高めるなどの一体的な対策で十分可能であると考えます。利賀ダム建設の再検討を求め、土木部長の見解をお聞かせいただきたいと思います。

土木部長(森岡秀悟君)利賀ダムに関する御質問のうち、まず、進捗状況についてどのように把握しているのか。また、最終的な総事業費はどの程度になると考えているのかという御質問にお答えをいたします。

 利賀ダムにつきましては、国土交通省におきまして建設が進められておりまして、ダム地点の地質調査、用地買収、物件移転補償が進められるとともに、将来、一般国道471 号バイパスとなる工事用道路の整備を主に事業が進められておりまして、事業全体の進捗率は平成15年度末で約20%であると聞いております。
 利賀ダムの総事業費につきましては、御指摘のとおり、平成6年度に告示されました利賀ダムの建設に関する基本計画では約900 億円とされておるところでございます。

 御質問の最終的な総事業費の見通しについてでありますが、現時点ではダム本体の工事に着手していない状況にもあることから、どうなるかを申し上げる段階にはないというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、県といたしましては国土交通省に対しまして、今後ともコスト縮減に積極的に取り組むなどして事業を進められ、事業費があまり変動しないよう、引き続き強く要望してまいりたいと考えております。

 次に、建設計画の再検討を求めるがどうかという御質問にお答えをいたします。
 利賀ダムにつきましては、昭和51年の台風17号による万葉線庄川橋梁の落橋など、たび重なる洪水被害を契機といたしまして、大洪水から庄川流域を守ることを主目的に、国で計画し実施されているものでございます。庄川沿線下流域には、高岡市や新湊市を初め人口の集中している地域が多く、また産業も集積していることから、抜本的な河川改修を行うよりも利賀ダムを建設するほうが、庄川流域の治水対策を進める上で、実現可能性や経済性などの面で有利であるとされております。

 森林は、環境保全、土砂災害防止、水源涵養など多目的な機能を有しており、治水の計画におきましても、森林を含めて、流域の地形や土地利用の状況を勘案して流出量の算定を行っているところであります。

 なお、平成13年11月に取りまとめられました日本学術会議の答申の中で、森林につきまして、治水上問題となる大雨のときには、降った雨のほとんどが河川に流出するような状況となることから、大洪水において顕著な効果は期待できないとの認識が示されておりまして、これらのことから、森林で治水上の安全度を確保することは困難であるというふうに考えております。
 このようなことから、県としては、県土の保全と流域住民の生命と財産を守る観点から、利賀ダムは必要であるというふうに考えております。

 次に、黒部川排砂問題についてのうち、黒部川ダム排砂評価委員会の事務局を排砂実施機関が担当していることは不適切であると思うがどうかという御質問にお答えをいたします。
 環境基本法の考え方は、事業者がみずから適正に調査、予測または評価を行い、その事業にかかわる環境の保全について適正に配慮することとされております。このことから、排砂実施機関であります国土交通省、関西電力では、出し平ダムと宇奈月ダムの排砂に関する環境影響等を評価することを目的として、学識経験者から成る黒部川ダム排砂評価委員会を設置し、公開の場で審議をされているところでありまして、排砂実施機関が事務局を担当することについては特に問題はないものと考えております。
 以上でございます。

一般質問 2004.3.5
27番(菅沢裕明君)社民党議員会の菅沢であります。副知事並びに関係部長に一般質問を行います。
 深刻な財政危機、財源不足のもとでは、予算編成に当たっては、不要不急の事業や県政のむだ、浪費を徹底して見直し、それぞれの事業の必要性や緊急度を厳密に点検評価して、県予算にもっとしっかり反映すべきでありました。
 例えば16年度予算では、大規模林道の朝日大山線上市−立山区間の取りやめなどによって、財政的には事業費ベースで124 億円、県費で27億円の削減につながっているのであります。これまでも県は7つの補助ダムを休止・中止して、事業費ベースで約4,000 億円、一般財源で約1,000 億円の財政支出の見直しを行ってきたところであります。こうした見直しや改革を徹底することで相当の財源を生み出せるわけであります。
 財源は、ないのではなくて、不要不急の事業、県政のむだや浪費を徹底して見直し、大胆な転換を図ることで生み出せるのであります。副知事の見解を伺いたいと思います。

 その例として、私ども会派の代表質問で、湊谷議員は利賀ダムに触れたわけであります。私は、県営水道事業の現状、問題点に触れ、改革課題を提起したいと思います。こうした県営水道事業の見直し、改革は、県財政の改善と県民生活の向上に大きく貢献することを確信しているものであります。

 最初に、県営水道事業の問題点として、大量の余剰水の存在に触れたいと思います。
 富山県の県営水道用水供給事業は、西部水道、熊野川水道、東部水道の3事業で事業化され、これら全体で計画給水量が日量40万4,000 トンとなっております。そのうち現在稼働しているのは西部水道の和田川、子撫川水源の日量13万5,000 トンだけであります。西部水道の境川水源には手つかずの日量11万5,000 トン、熊野川水源には日量10万トン、黒部川水源には5万4,000 トンなど、日量で計26万9,000 トンもの余剰水、売れていない水が県営水道にあるわけであります。県営水道全体の計画給水量は稼働給水量の3倍であり、計画に対して3分の2もの大きな余剰水が存在しているわけであります。この余剰水を、平成16年度から値下げ予定の西部水道の条例料金トン当たり単価90円を適用して計算をいたしますと、消費税抜きでも年間90億円近くの資産価値があるのであります。

 こうした中で、県営水道は財政的には破綻状態であり、県営水道事業の抜本的見直しが必要になっております。水資源の開発は、相当先を見越しての投資とされますが、それにしても、水需要の過大見積もりがあったのではないか、水道水源となるダム建設などはむだな公共投資だったのではないかということが問われているのであります。

 これらの県の3水道用水供給事業の巨大な余剰水は、明らかに社会資本の遊休化と言っていい事態と私は考えます。これら3水道の余剰水を、それぞれについて今後どのように使っていくおつもりか、副知事にお尋ねをいたします。

 平成14年度決算で見ると、西部水道の境川ダム、熊野川ダム、宇奈月ダムの合計で約264 億円という巨額の未稼働資産を抱えております。そのうち、3事業の企業債残高は約50億円で、その元利償還などのために県の一般会計からの借入金や県、市町村の出資金に依存する財政構造となっており、財政的には破綻状態と言えるわけであります。県の一般会計への依存が強まる中で、県財政の圧迫要因ともなっておるのであります。こうした県営水道の財政状況を県経営企画部、県企業局長はどのように認識をしておられるのか質問をいたします。

 こうした中で、余剰水となっている水資源の有効活用、水道用水供給以外への転用などについて、さらに県営水道事業のあり方についても本格的な調査研究を行い、抜本的な事業の見直しに踏み込むべきと考えるものでありますが、副知事の見解を求めます。

 次に、熊野川水道・熊野川ダムの水道容量の洪水調節容量への転換をめぐる問題についてであります。
 県営水道事業の抜本的見直しは既に始まっているわけであります。それは、神通川支流熊野川水系における県営黒川ダムの休止が決定し、その関連で、同じ神通川支流に建設されている、県営の水道用水供給などを目的とした熊野川ダムの再開発が提起をされていることであります。

 熊野川ダムは、過去20年間、一滴の水も利用されない、借金を返すだけの事業となってまいりました。こうした中で、熊野川ダムの再開発、熊野川ダムの未利用の水道容量420 万トンを洪水調節容量に転換する方策が検討されてまいりました。平成15年12月議会では、水道容量の活用方式を有力な案であると考えていると中沖知事は述べ、債務処理問題の検討、各受水団体や国土交通省、厚生労働省との協議に入ることを答弁いたしております。いずれにしても、こうした全国にも例のない水道事業の見直し、大転換であり、私は、実現すれば英断と評価したいと考えます。

 そこで、今後の見通しやスケジュールについて、副知事にお尋ねをいたします。ただ、既に大きな投資が行われた中で事業が破綻状態となったわけで、その行政・政治責任は私は免れないと考えますが、あわせて伺っておきたいと思います。

 次の問題は、熊野川水道には巨額の債務が存在するわけでありますが、その最終処理がどうなるかということであります。
 この20年間、水道用水の供給ができず、1円の事業収入もない熊野川水道事業の会計処理は、建設仮勘定で処理されてまいりました。そして平成14年度決算で約133 億円の巨額となる未稼働資産を抱えているわけであります。中身は、県の一般会計からの借入金や県、関係市町村の出資金、償還すべき企業債、国庫補助金などであります。特に一般会計からの借入金は、県財政にとっても大きな負担となってまいりました。

 今回の熊野川ダム大転換に当たっては、巨額のこうした未稼働資産の最終処理をどうするのかが大きな課題であります。県企業局から治水事業を行う県土木部への水道容量のダム資産の売却問題、旧厚生省から得た補助金約34億円の返還問題、一般会計からの出資金や借入金と、富山市など6市町村が拠出した出資金の清算問題が発生いたします。これらの問題をどのように認識し、解決しようとしているのか、経過と見通しを県企業局長、県土木部長に質問します。
 県や関係市町村の負担ができるだけ軽減される方向で、こうした問題の最終処理は行われるべきと考えているところでありますが、この件についてもあわせて伺っておきます。

 いずれにいたしましても、これら債務の最終処理に当たって、県の一般会計からの支出が想定されているのかどうか、ここが大きな問題であります。この件についてもしっかりと伺っておきたいと、このように考えます。

 もう1つの県営水道、東部水道・宇奈月ダムもまた大きな問題を抱えております。
 昭和54年から平成13年の完工まで23年間を要し、1,740 億円の巨費を投じた国直轄事業の宇奈月ダム。ここでは、県営東部水道用水供給事業として、事業費154 億円でダム事業に県は参加をいたしました。日量5万4,000 トンの水道水を県東部地区の黒部市など2市3町に供給しようというものであります。

 現在、宇奈月ダムの完成から数年を経過しましたが、給水区域とされた関係市町の水道事業への意欲、熱意が全く薄れてまいっております。ここでも、平成14年度決算で見ると、約60億円の未稼働資産を抱え、償還すべき企業債に苦慮し、県の一般会計からの借入金や出資金に依存せざるを得ない状況になっているのであります。ただ、関係市町村の意欲、熱意が喪失する中で、出資金への応分の協力さえ得られていないのが現状であります。もちろんのこと、県営東部水道供給事業の会計処理も建設仮勘定のままであります。県企業局長は、こうした惨たんたる状況を呈するこの事業をどのように見ておられるのか、私は見解を求めたいと思います。

 さて、西部水道・境川ダムの問題点は、より深刻であります。その西部水道・境川ダムについて、地方公営企業法に基づく会計処理の本勘定転換、未稼働資産を営業資産へ振りかえることが県企業局によって計画をされております。
 西部水道の境川ダムは日量11万5,000 トンもの大量の未利用(未稼働)水を抱えております。その中で、平成14年度決算で約71億円の未稼働資産となっております。他の2県営水道事業と同じく、償還すべき企業債、県の一般会計からの借入金、県や関係市町、射水企業団の出資金などであります。

 こうした中で、境川水道事業の会計処理について、現在の建設仮勘定による処理を、平成16年度から西部水道の本勘定に転換する考えが県企業局から示されているのであります。境川ダムの日量11万5,000 トンに係る未利用(未稼働)資産について、本勘定、つまり営業資産に振りかえようとするもので、実施されれば、境川ダム・西部水道の経営の大きな転換点になります。企業局は受水団体(関係自治体)との間に、平成16年度以降に営業資産に振りかえる確認書があることを根拠にしておりますけれども、ただ、この確認書ではあくまでも平成16年度からではなく16年度以降であることを、この機会に私は強調しておきたいと思うわけであります。

 こうした境川ダムの未稼働資産の本勘定への転換は、関係自治体、住民に犠牲を強いるものと私は指摘をしたいと思います。こうした転換、振りかえは、西部水道事業会計にどのような影響を及ぼすのか、この機会にしっかり吟味をしてみる必要があります。

 県企業局の説明によると、まず境川ダム資産の減価償却費──県企業局の試算では年間1億6,700 万円の計上が必要となり、企業債利息、共有施設分担金と合わせて約2億6,000 万円の西部水道事業会計の支出増につながります。こうした本勘定への振りかえは、水道事業の収支を悪化させることが危惧されるわけであります。

 西部水道事業会計は、企業局当局の経営努力の中で収支は大きく改善されてまいりました。こうした経営状態の好転を背景に、平成16年度から西部水道の供給料金の単価をトン当たり95円から90円に引き下げることが提案をされております。このことで、県企業局は約1億円の財源が必要になるわけであります。しかし、未稼働資産を営業資産に振りかえることは、利用していない水道資産を料金で回収するものであり、ひいては受水団体(関係自治体)や地域住民に負担を強いることにつながります。

 境川ダムの未利用(未稼働)水の活用について、依然として先が全く見えない段階であります。しかも、同じ県営水道の熊野川ダムの大転換と最終的な債務処理がまだ不透明であります。また、東部水道の宇奈月ダムの場合は、関係市町村の出資金への協力さえ得られない状況が続いております。これら2つの水道事業とも会計処理は建設仮勘定のままなのに、境川ダム・西部水道について本勘定への転換をなぜ急ぐのか。将来はともかく、今は境川ダムの水は要らないのであります。なぜ急いで今、営業資産に振りかえる必要があるのでありましょうか。営業に入るということは、水道事業の収入は料金ですから、結局は住民に負担を転嫁させていくことになるわけであります。合理的な根拠のないこうした西部地区への負担、犠牲の押しつけは不公平、不当なものでありまして、こうした会計処理の変更は認めるわけにはいきません。副知事の見解を求めます。

 こうした中で、平成16年度から西部水道の供給料金単価、トン当たりが95円から90円に改定をされました。西部水道の経営収支の改善などから見て当然と言えるわけでありますが、県企業局の判断に一定の評価を、私はそういう意味ではしたいと思っております。

 ただ、西部水道の受水団体(関係自治体)は、県下でも住民の水道料金が割高で、水道事業会計も赤字傾向が拡大をいたしております。こうした中で、今回の料金改定では10円以上の値下げが期待されたわけでありました。10円以上の値下げなら、江西議員からも指摘された、県西部地域住民の高い水道料金の値下げにも、関係自治体は反映できたわけであります。

 県企業局は、今回はなぜ5円の値下げに終わったのか。西部水道の会計収支の現状や見通しからして、10円以上の値下げは可能であったのではないか。5円の値下げに終わった背景には、西部水道の本勘定への転換に伴う支出増が織り込まれているのではないか。供給料金単価の引き下げのタイミングを見計らって、別の負担──境川ダムの未稼働資産の営業資産への振りかえを押しつけたのではないか。これでは、県企業局の事業であって地域住民なしとの批判は免れないと私は考えるものであります。県企業局長の見解を求めておきます。

 水道問題の最後に申し上げますが、砺波地域の工業用水は境川ダムで十分確保できるということであります。砺波地域の工業用水の需要にこたえるため、国直轄の利賀ダム完成まで相当の年月を要することから、当面は境川ダムの工業用水余裕分に暫定水利権を設定して、平成13年度から砺波市内で浸透池方式による工業用水道関連施設の建設が始まり、16年度中に給水開始の予定とされております。

 この中で問題は、何も新たな利賀ダムの建設で工業用水の水源を確保しなくても、大量の余剰水が境川ダムに存在しているのであり、和田川工業用水の余剰分や水道用水分を砺波地域の工業用水に転換し、恒久水源として確保すればよいのではないかということであります。このことで、遊休化している貴重な水資源を有効に活用でき、利賀ダムの建設に当たっての県企業局の負担約6億円は軽減できるのであります。

 境川ダムの転用については、この事業は県営事業であり、その活用方策を県みずからが積極的に調査研究したり、国の補助事業ということが問題なら、国の柔軟な対応を求め、働きかけを強めるべきであります。熊野川水道の転換に向けた動きが具体化しているのであり、境川ダムでも同様のことができないわけがありません。企業局長はどのようにお考えか、見解を求めたいと思います。

 最後の質問は、県内企業の動向、氷見市内に立地の株式会社マンヨー食品の問題についてであります。
 日本経済は景気回復基調と言われますが、中小企業などの地域経済は依然として厳しい状況下にあり、雇用問題は深刻であります。
 こうした中で、昭和60年から氷見市七分一地内で営業の株式会社マンヨー食品が、今年1月末に突然、2月末での会社の解散を発表、100 名を超える従業員が失業するという事態に直面いたしております。会社解散の背景には、親会社の食品加工大手ニチレイが、マンヨー食品のてんぷら、かき揚げの生産について、他の国内子会社及び海外関連会社へ移転する、同社の再編合理化策があるわけであります。親会社の一方的な都合と決定で地域経済が打撃を受け、大量の失業者が発生する。大変理不尽で不当なことであります。

 今日までもこうした事態が県下で数多く発生しておりますが、企業の動向を県はしっかりと把握をし、地域経済と県民の雇用を守る立場で、企業の勝手を許さない県の取り組みを強く、しっかりと求めておきたいと思うわけであります。
 当面するマンヨー食品問題について、県はどのように受けとめているのか。また、100 名を超える従業員の雇用対策について万全を期すよう商工労働部長に求め、質問いたします。
 副知事以下の私の質問に対する前向き、積極的な答弁を期待し、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

副知事(大永尚武君)菅沢議員の質問にお答えいたします。
 最初に県財政について、財源不足の中で不要不急の事業を大胆に見直して転換を図ることについての御質問でございます。
 県の財政につきましては、三位一体改革が進められ、税収も低い水準で推移するなど、厳しい状況が続くものと見込まれております。しかし、こうした中にあっても、県民新世紀計画を着実に推進し、県政の諸課題に的確に対処していかなければならないと考えております。このため、今ほど上田議員にもお答えしたとおり、今後とも行財政改革を積極的に進めるとともに、人件費の抑制などに努力していく必要があると考えております。

 また、財政運営につきましても、歳出の徹底した見直し、予算の重点的、効率的な配分、経費の節減合理化を進めるとともに、財源の確保に努力する必要があると考えております。特に公共事業につきましては、公共事業等審査会や公共事業評価委員会などにおいて、その必要性、効率性など内容を十分吟味した上で実施することにしており、今後も適切な実施に努めてまいりたいと考えております。

 今後とも、引き続き厳しい財政運営となると考えておりますが、こうしたときこそ職員一人一人がコスト意識を持って、知恵も汗も出して最少の経費で最大の効果を上げるよう努めていかなければならないものと考えております。議員各位にも御理解、御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、県営水道事業についての御質問でございます。

 最初に、県営3水道で使用していない水が存在していることについて、これの利用見通しについての質問でございます。
 水道用水供給事業につきましては、水源開発など非常に長期にわたる投資が必要であるため、各受水団体の水需要予測に基づきまして、各受水団体とも十分に協議し、整備を進めてきているところであります。特に恒久的なダム水源につきましては、将来的に現在の水源だけでは水の供給が不足する可能性があること、それから、災害発生時に現在の水源に影響があることも考えられ、その場合代替水源が必要になること、水源確保には多大な投資と時間が必要となるので、水不足が生じても直ちに対応できないことなどを考慮して確保してきているところであります。

 水資源の有効活用策につきましては、東部水道用水供給事業では、国におきまして河川維持流量として有効活用を行っております。また、熊野川水道用水供給事業では、治水対策の一つの方法として洪水調節容量として活用する案について、受水団体等と検討を進めているところであります。

 いずれにしても、まだ使用していない水の問題につきましては、現在の状況のみでとらえるのではなく、将来にわたる長期的な見通しなどをもとに慎重に検討していくべきものと考えております。
 次に、熊野川水道事業についての御質問でございます。

 熊野川ダムの水道水源につきましては、富山市など1市4町1村における将来の水需要に対処するため、県がこれら受水団体の要請を受けまして確保したものであります。その後の社会経済情勢の変化等により水需要が伸び悩んでいることなどから、これまでのところ、給水施設の建設を見合わせてきているところであります。

 一方、黒川ダム建設の休止に伴いまして、熊野川の治水対策として熊野川ダムの再開発が計画されておりますが、その中で、ダムの水道容量を洪水調節容量として活用する方式が経済面や環境面などですぐれていることから、現在のところ治水対策として有力な案ではないかと考えております。また、各受水団体からも、人口の伸び悩みなどにより、熊野川ダムで水道水源を確保する必要が少ないのではないかという意見が多く出され、この活用方式に一定の理解が示されているところであります。

 こうした状況から、熊野川水道用水供給事業の必要性がないということになった場合、資産の売り渡しやその後の債務処理などの大きな課題があります。県としては、熊野川水道用水供給事業を取りやめた場合の債務処理の問題や、県及び受水団体双方にとって最もよい方法である解決方法などについて、今後、各受水団体の理解を得て治水対策を円滑に進めていくことが、現在のところ何よりも肝要であると考えております。今後とも、国及び受水団体とも十分協議しながら、これらの課題の解決に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

 特に議員から責任の問題もありましたが、議員御案内のとおり、熊野川水道用水供給事業の計画は、昭和48年当時、人口の伸びや経済見通しに基づいて、将来の水需要に対応するため進められたものであり、当時の計画としては妥当なものであったと考えております。しかしながら、その後の社会経済情勢の変化等による水需要の伸び悩みなどから今日に至っているものであり、現在、その問題解決に努力していることを十分御理解いただきたいと思います。

 それから次は、同じく県営水道事業についての、西部水道事業における未稼働資産の振りかえについての御質問であります。
 境川ダムの水道水源については、高岡市など県西部における将来の水需要に対処するため、県がこれら受水団体の要請を受けて確保したものであります。このうち、利用されていない日量11万5,000トン分については、これまで未稼働資産として経理してきたところであります。

 ダムなどの固定資産につきましては、施設の完成後速やかに営業資産に振りかえるのが原則であることから、この資産の取り扱いについては企業局と受水団体でこれまで十分協議し、営業資産への振りかえ時期については、経営に及ぼす影響等も踏まえまして平成16年度とすることで合意してきたところであります。

 今回、平成16年度以降の供給料金等の見直しについて、各受水団体と改めて協議を行い、協定水量の据え置きと供給料金を引き下げること、境川ダムに係る未稼働資産は平成16年度から営業資産に振りかえることなどで合意したところであります。
 なお、東部水道あるいは熊野川水道用水供給事業については、それぞれの経緯や事情も異なること、給水そのものを行っていないことなどから、西部水道用水供給事業の取り扱いとは異なるものとなっております。
 以上でございます。

企業局長(堀内和夫君)菅沢議員の水道事業に係る質問にお答えをいたします。
 まず、県営水道事業3事業の財政状況について、どのように認識しているかについてお答えをいたします。
 水道用水供給事業につきましては、水源開発などに長期にわたる投資が必要であることから、必要な経費は主に企業債等で資金手当てをし、給水開始後に料金収入等をもって充てることといたしております。

 しかしながら、その後の社会経済情勢の変化等により水需要が伸び悩んでいることから、東部あるいは熊野川水道用水供給事業につきましては給水を行っていない状況にございます。
 現在、これらの未稼働資産につきましては、将来の水道事業経営に及ぼす影響や受水団体の財政事情等を考慮いたしまして、県の一般会計や市町村からの出資金、借入金によりまして資金手当てをしているところでございますが、企業局としても、水道事業会計に多額の未稼働資産を抱えていることは問題であると認識いたしております。

 企業局といたしましては、受水団体とも十分協議の上、県、受水団体にとって最もよい方法でこの問題の解決が図られるよう努力しているところであり、御理解をいただきたいというふうに思います。
 次に、熊野川水道における未利用水道容量を洪水調節容量に転用する熊野川ダム再開発方式に当たっては、治水事業によるダム資産の買い取り等の問題を解決する必要があるが、どのような方針で進めようとしているのか。今後の見通しやスケジュールとあわせて問うという御質問にお答えいたします。

 熊野川水道用水供給事業につきましては、富山市など1市4町1村における将来の水需要に対処するために、県がこれら受水団体の要請を受けて確保したものでございますけれども、治水対策として熊野川ダムの水道容量を治水容量に転用することになった場合には、企業局が水道水源確保に要した費用はすべて清算していただくことになります。この場合の清算に当たりましては、ダムの水道事業分資産の買い取り額や国庫補助金の返還額が大きな要素を占めていることから、現在、国土交通省や厚生労働省と協議を行っているところでございますが、国におきましても初めての事例となることから慎重に検討が行われております。
 今後の具体的な手続といたしましては、富山市を初め各受水団体から熊野川ダムの水道水源には依存しない旨の意思表明、熊野川ダム再開発事業の国への新規補助要望、熊野川水道用水供給事業の中止決定、治水事業によるダム資産の買い取りと国庫補助金の返還などが必要となってまいります。

 いずれにいたしましても、ダムの水道容量を治水容量に転用する場合、債務処理を初めとしまして、県と受水団体にとって最もよい方法で取りまとめるべきであると考えておりまして、できるだけ早い解決に向けて努力したいと思っております。
 次に、東部水道事業についてどのように認識しているかという御質問にお答えをいたします。

 東部水道用水供給事業につきましては、新川広域圏の2市3町を対象といたしまして広域水道事業として計画し、受水団体からの、将来的に水の供給が不足する可能性が考えられること、災害等の発生に備えた代替水源が必要であること、宇奈月ダムは新川地区で水源を確保できる最後のダムと考えられることとの意見を踏まえまして、宇奈月ダムに水道水源を確保したものでございます。しかしながら、人口の伸び悩みや節水意識の高まりなど、社会経済情勢の変化等により、当面水需要の発生が見込まれないことから、現在のところ、この水源確保に要した費用の一部負担について、一部の受水団体の理解が得られていないところでございます。

 企業局といたしましては、費用負担について、引き続き受水団体の理解が得られるよう努力を続けてまいりますとともに、去る1月に県と受水団体で設置いたしました東部水道用水供給事業研究会におきまして、水需要が発生するまでの間の水源の有効活用策についても検討を進めていくことにしております。
 今後とも、東部水道用水供給事業につきましては受水団体と十分協議をしてまいりたいと、このように考えております。
 次に、西部水道用水供給事業におきまして、境川ダムの未稼働資産の振りかえがなければ10円以上の値下げが可能だったのではないかという御質問にお答えをいたします。

 ダムなどの固定資産につきましては、先ほど副知事からも申し上げましたが、施設の完成後速やかに営業資産に振りかえるのが原則でございますが、境川ダムに係る未稼働資産につきましては、企業局といたしましては受水団体の意向や経営に及ぼす影響等も踏まえまして、これまで営業資産への振りかえを見合わせてきたものでございます。

 今回、平成16年度以降の供給料金等の見直しに当たりまして、各受水団体と改めて協議を行い、協定水量の据え置きや供給料金の引き下げと未稼働資産の営業資産への振りかえにつきまして合意をしたものでございます。
 この未稼働資産を営業資産に振りかえないこととした場合には、水道事業の経営収支から見まして供給料金を5円以上引き下げることも可能かと思われますが、営業資産への振りかえをおくらせることは、本来、毎年の営業費用に計上すべき減価償却費等の負担を将来に先送りすることになりまして、その結果、今後の水道事業の経営や料金の設定に影響を及ぼすことにもなるものと考えております。このようなことから、今回振りかえることといたしたものでございます。
 企業局といたしましては、水道事業の経営につきまして、今後とも計画的な施設整備や業務の効率化等による経費節減に努めまして、一層効率的な経営を進めてまいりたいと考えております。

 最後に、利賀川工業用水道事業を中止して、その代替水源として境川ダムの未稼働資産に係る水道水源を転用して活用すべきと思うがどうかという御質問にお答えいたします。

 利賀川工業用水道事業は、砺波地域の産業発展や雇用の確保のために、平成5年度から国土交通省が建設しております利賀ダムに参画したものでございまして、砺波市から県に対して、工業用水を早急に供給してほしいとの強い要請を受け、境川ダムに確保しております西部工業用水道水源から一部を暫定的に使用することで進めているものでございます。
 一方、境川ダムの水道水源につきましては、将来の水需要の発生に備えますとともに、災害時に備えた複数水源として確保したものでございまして、現在においても、県西部においてぜひとも必要なものであるというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

土木部長(森岡秀悟君)熊野川ダムの再開発に関する御質問にお答えをいたします。
 熊野川ダム再開発計画を進めるに当たりましては、まず、河川整備計画に位置づける必要がございまして、現在、国土交通省とは洪水調節容量、堆砂容量及び河川維持流量に関する容量などのダムの諸元につきまして、最新のデータに基づき協議を行っているところでございます。また、熊野川ダムの水道容量を活用することとなった場合の買い取りにつきましては、その基本的な考え方などにつきまして、国土交通省と事前協議を進めてきているところであります。

 熊野川ダム再開発事業を実施するには、まず国に補助事業として採択していただく必要があり、そのためには富山市を初めとする受水団体から、熊野川ダムの水道水源には依存しない旨の意思表明が必要でありまして、企業局と受水団体で協議が進められているところでございます。この協議結果を踏まえまして、事業化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。

27番(菅沢裕明君)企業局長、私は、境川ダムに存在する11万5,000 トン近くの未稼働資産、要するに売れていない水、余剰水の利用の方策について、砺波地域の工業用水の恒久水源として境川ダムに設定したらどうかと提案をしたわけであります。そういう境川ダムに存在する未稼働資産の前向きな活用方策についての検討も何もしないで、ダムが完成した後は、仮勘定から本勘定への転換は急がれる会計処理なんだということを説明なさっても、納得できないわけです。

 現実に、未稼働資産の営業資産への繰り入れが16年から行われますと、西部水道用水供給事業の経営収支は極めて悪化いたします。単年度収支の見通しは黒字額も大幅に減少が予測されます。辛うじて赤字決算は免れるかもしれませんけれども。そういう意味では、16年度以降ということも含めた確認書であったわけであって、これはもう一回考え直してください。あなたに改めて、特に西部水道用水の経営見通しについて伺っておきます。

 次に、熊野川水道の大転換の問題に関連をいたしますけれども、企業局としては、債務の最終処理費用はすべて清算をしてもらわにゃ困るというお話がありましたね。そのことについて、洪水・治水容量としての買い取り担当である県土木部にちゃんとおっしゃっておられますか。もしそうならないときに、どういうことが想定をされるか。

 これは土木部長にも、未稼働資産133 億円があるわけでありますが、公共事業として採択をされる中で、これだけの予算措置がされない場合にどうされるんですか。そのことを検討なさっておられますか。その場合には明らかに県や受水団体等の、つまり費用、税金等で賄わざるを得ないという事態になりかねないわけであります。境川については、仮勘定を本勘定にして営業資産に振りかえることによって、経営状態が悪化をする。そのことは明確に受水団体や地域住民の料金──水道収支の収益は料金しかないわけでありますからね。料金に転嫁されていかざるを得ない構造になっておるわけでありますから。境川や西部では負担は地域住民に押しつけ、熊野川では金が足りなくなったら税金から支出することを、もし実施されるとしたら、とんでもない話であります。
 そこで、もう1つは、東部水道の出資金の負担が市町村でちゃんと了解が得られないその事情を、わかりませんから明確に説明してください。

 副知事、そういう意味では、この境川ダムの会計処理の転換は、私は急ぐ必要はないと思いますよ。反対をしているんじゃないんです。11万5,000 トンの余剰水の活用方策が十分検討されて、方向が出れば、そういう選択をすればいいじゃないですか。現に、あと2つの水道は建設仮勘定のままなのでありますから。

 今申し上げましたような、西部では料金に転嫁されかねないような経営の悪化が予測をされ、熊野川では133 億円の債務の最終処理に当たって不足が出た場合には、税金が投入されるかもしれないなんていうことが論議をされるような現状において、私は、西部だけなぜ今、こういった会計処理の転換を急ぐのか、理解しかねます。
 そういう点で、これら境川ダム・西部水道について、本勘定への転換を急ぐ必要はない。将来はともかく、今は境川ダムの水は要らないのでありますから、営業資産に振りかえるのではなくて、現行のまま様子を見ながら、県の水道事業全体の問題点の検討を深める中で方向を出していく、そのことで私は十分だと思うのでありますが、この点を副知事に再度質問 をしておきたいと思います。
 これは再質問であります。答弁次第では再々質問を行いますので、御協力をお願いいたします。そういうことです。

副知事(大永尚武君)再質問にお答えします。
 西部水道用水事業の境川の未稼働資産の営業資産への振りかえについての御質問でございますが、その前に、企業局が行っております水道事業についてちょっと御理解を得たいと思います。

 企業局は、水道事業は公益的な水道事業をやっているわけですが、これはすべて受水団体からの要請に基づき、受水団体からの受水申し込みを受けて、それぞれのダム水源の開発を行っているわけでございます。したがって、県と関係市町村の共同事業という性格のものであると思います。ですから、未稼働のものだとか、あるいは使用されていない水源について県がすべて責任を負うべきだという意見は……(「そんなこと言っていないよ」と呼ぶ者あり)おっしゃってないと思いますけども念のために……(「県の責任が大きい」と呼ぶ者あり)そういう事業でございます。

 それと、境川について申し上げますと、先ほどからも申し上げましたとおり、今の水源だけでは将来は足りないだろう、代替水源はどうしても必要だと、それから災害時の水源としても必要だろうということで、当時、氷見市ほか受水団体からの要請に基づきまして参加したわけでございます。これは県、それぞれの受水団体の共同の資産でございます。ですから、未稼働資産を今営業資産に振りかえず、未稼働資産に置くのも一つの考え方かもしれませんが、それを置くことによって、要するに債務はどんどん増えていくわけです。それをだれが最後負担するかというと、やはり受水団体なり県が、みんなで負担していかんならん問題だと思います。

 ですから、今営業に入って、経営収支が改善したところで営業資産に振りかえるというのは、私は妥当な措置だと思います。これを未稼働資産に残しておくと、将来、余計債務が大きくなっていく可能性があると思いますので、そのへん十分理解していただきたいと思います。

企業局長(堀内和夫君)再質問にお答えをいたします。
 まず、境川の問題につきましては、ただいま副知事が申し上げたとおりでございます。
 熊野川の取り扱いにつきまして、現在、その後の処理、そうなった場合の処理についていろいろ協議をさせていただいておりますが、土木部サイドとも買い取り価格等の問題について──これは国の絡みもございますので、スケジュール的なもの、あるいは金額的なもの、まだ確定はなかなかできませんけれども、そういったお話はさせていただいております。
 以上でございます。

27番(菅沢裕明君)経営の見通し、何で言わんが。

企業局長(堀内和夫君)失礼しました。
 西部水道用水供給事業につきましては、平成12年度から単年度黒字に転換いたしまして、累積欠損金は14年度末で7億5,500 万円ほどございますけれども、この解消につきましてはここ数年で解消できるというめどが一応立っております。
 今回料金の改定を行うに当たりまして、これから以後の収支見通しについて十分検討をいたしました。このまま良好な状況で進んでいくというふうに考えております。

 それから、先ほどの振りかえの問題につきまして若干補足させていただきますと、まず、これが本来、建設当時、完成した段階で振りかえるものであったということ、これは先ほど申し上げました。また、協議会において合意したというふうに申し上げましたが、確かに平成10年度に締結いたしました協定におきましては、「16年度以降」という文言になっております。しかしその後、平成13年の料金改定──これはそのまま据え置きになっておりますが、その際、それから今回の平成15年度の料金改定に当たりまして、受水団体との協議の中で改めてその点を確認いたしまして、平成16年度から振りかえるということを改めて合意したものでございます。

 それから、これにつきましては包括外部監査人からの指摘も実は受けておりまして、速やかにこれが転換できると……(「県議会の指摘をどう受けとめるんだよ」と呼ぶ者あり)監査人から指摘を受けております。本来、そうあるべきものであるという指摘を受けているところでございます。それから、この経理、企業債等の所管であります総務省からの指導も受けているところでございます。
 今回、ただいま申し上げましたように、経営状況が好転してきたということもございますし、さらに、今申し上げました累積欠損金の解消見込み、これも大体めどが立ったと。まあ、この時点でのタイミングということが一番適切なのではないかと、このように考えているところでございます。
 以上でございます。

27番(菅沢裕明君)副知事に再々質問をさせていただきます。
 まず、企業局長からいろいろお話があったんですが、平成16年度以降の西部水道用水供給事業の経営状況については、私は極めて厳しい見通しだろうと思っております。収入で、10円下げるわけですから、1億円ぐらいの財源が回りますからね。さらに支出のほうでは、未稼働資産を営業資産に振りかえることによって、減価償却費を初め3億円近くの支出増になるわけでありまして、現に16年度の企業局の西部水道用水供給事業の予算書を見ても、単年度収支の黒字額は大幅に縮小をし、修繕費についての修繕比率が下がったわけです。そのことが影響して、辛うじて単年度収支の赤字を免れるというのが真相であります。17年度以降はわかりません。これくらいに今度の会計処理の転換が経営に大きく影響を与えます。

 副知事、こうした事態というのは、単価値下げによって収入が減った上に支出が増える中で、これらの経営状態の悪化というものが、公営企業水道事業の原則からして、受水団体や地域住民の水道料金にはね返る、負担になっていくということは必然の流れになっていくわけであります。西部の、私たちの地域がそういう影響を受けるんですよ。高岡や福岡や新湊の議員の皆さん、よく考えてくださいよ。

 同時に一方で、副知事、熊野川はどういうことかといったら、熊野川は133 億円の未稼働資産について、公共事業で満額予算がつきますか。土木部長はなぜはっきり言わないのか。そんなことはないですよ。必ずこれはあそこに、県費や受水団体の資金の投入が必要になる事態が来ないか、私は危惧をいたします。つまり、熊野川の最終処理というのは、結局は税金によって決着をつける以外になくなるんじゃないかという私は危惧を持っておるんです。副知事、いかがですか、あなた、見通しは。
 西部では住民の水道料金に転嫁しかねないような経営危機を招き、熊野川では県費を使って最終処理に臨まざるを得ないような事態に直面するかもしれないという、この矛盾ですね。

 そして東部の水道では、なぜはっきり答弁しないんですか。東部の入善、朝日、黒部、魚津等の市町村は、出資金にさえ協力していないんですね、これは。あなた方は先ほどから、水道事業百年の計みたいなことを言って、受水団体と協議してやったから、責任があるなんていうことをおっしゃるけれども、副知事、東部では、あなた方が協議をしたはずの受水団体が、起債、企業債の元利償還に必要な財源としての出資金に応じていないんですよ。だから県がかわって、一般会計からの借入金、県の出資金でもって巨額の元利償還の始末をしているんでしょうがいね。あなた方は、こういう事態の中で、受水団体と県が一緒になって水道事業をやっているなんていうことを議会で言えるんですか、本当に。

 私は、そういう意味では副知事に申し上げたい。県の3水道事業は三位ばらばら、行き詰まり破綻状態。改善改革が必要であり、県財政のためにも県民生活向上のためにも、しっかりと県営水道事業の抜本的な見直しに着手する時期に来ていると思います。

 砺波の工業用水は必要でありますよ。砺波地域の議員の皆さん、ぜひ必要ですよ。そういう意味では、境川ダムに11万5,000 トンの水道用水が未稼働のまま存在しておりますから、これを恒久水源として確保すればいいんですよ。私の試算では、7,000 万円近くがそのことによって、工業用水の売り上げ代金が入ってまいりますし、利賀ダムの6億円──利賀ダムの事業費というのは、湊谷議員も指摘しているように数倍にはね上がる可能性がありますよ。この支出は要らなくなるんですよ。なぜ利賀ダムに県の工業用水が乗る必要があるんですか。このことによっても、明確にその根拠がなくなっているんであります。こういう最もよい方法を提案しているのに、何の検討もしないで、現在の県営水道事業のあり方に固執をするのは全くナンセンスであります。

 ちょっと失礼なことを申し上げましたけれども、大永副知事、あなたは企業管理者の経験もございます。お隣の澤合出納長も企業管理者の経験者でございます。私は大変尊敬するお二人でいらっしゃいますけれども、あなた方ならこれを解決できるんですよ。知事は入院中でも、相談なさって解決できるんであります。

 最後に、議会の皆さんにも、私は氷見でありますけれども、高岡、小矢部、福岡、新湊を含めて射水地域の議員の皆さんも、私たちの地域が、県の水道事業の中で、住民の負担でしりぬぐいをさせられるというようなことが今進もうとしているということ。

 私は決して本勘定への転換を永久にだめだとか言っているんじゃないんです。この3つの水道のアンバランスの中にある問題点、矛盾を解明して、少なくとも熊野川の最後の最終処理が終わる段階、東部の関係受水団体の出資金の問題が解決する段階で、統一的に西部水道の会計処理についても結論を出したらどうなんですか。あと2、3年先なんでしょう。

副知事(大永尚武君)菅沢議員の再々質問にお答えいたします。
 まず、西部水道用水事業の営業資産への振りかえですけども、これはまさに見解が分かれるところだと思います。建設勘定をそのまままだしばらく置いておいたらどうかと。その菅沢先生の意見は、いましばらく建設勘定に置いておいて、東部水道あるいは熊野川とバランスをとれという意味だと思いますが、熊野川、それから東部について、それじゃ、県がそんな積極的に援助するとか一般財源を投入するとかということは、今のところ考えておりません。それは、さっきも言いましたように、共同事業でございますから、受水団体と十分協議した上でどう処理していくかということをこれから決めていかなければならないと思います。

 西部水道については、今、やはり営業資産に振りかえていかないと、むしろ建設勘定に置いておいたらどんどん債務が増えてくるということでございます。そういうことで御理解をいただきたいと思います。

8番(渡辺守人君)-抜粋-昨年4月に初当選をさせていただいた私にとりまして、平成16年の2月定例会が終わりますと、ちょうど県議になりまして1年がたつわけでございます。また、平成16年度富山県予算案等も目を通させていただきました。まだいろいろと勉強しなければいけないこともございます。それらを踏まえながら質問をしたいと思います。
 まず初めに、行財政問題についてお尋ねをいたします。

 地方財政全体が大変厳しい中、県民新世紀計画に基づき、また歳出の見直しを行いながら、平成16年度の予算を作成されました。大変な御苦労があったことと思います。私にとっての初めての予算案でありますので、わからないこと、疑問に思うことを最初に質問をさせていただきます。

 まず第1に、国の三位一体改革により、地方交付税や臨時財政対策債など大幅な減収が見込まれ、平成15年度一般会計当初予算5,602 億円に比べ、一般財源ベースで255 億円減収すると聞いておりました。これで一般会計予算は5年連続でマイナスになったわけでございます。予算規模は一般会計で前年度比マイナス1.2 %、64億9,000 万円の減にとどまっておりますが、財源確保についてどのような工夫をされたのか、経営企画部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 次に、三位一体の改革により、今後、県の予算編成はますます厳しくなると思われます。また、公営企業をめぐる経営状況も大変厳しくなっていくと思われますが、公営企業の経営改善をどのように進めていくのか、現在の経営状況とあわせて企業局長に伺います。

企業局長(堀内和夫君)行財政問題についての御質問のうち、公営企業の経営改善をどのように進めていくのか、現在の経営状況とあわせて問うという御質問にお答えを申し上げます。
 地方財政が厳しさを増す中で、公営企業をめぐる状況も大変厳しくなってきております。平成14年度決算における企業局の各事業の経営状況について、まず申し上げます。

 電気事業につきましては、黒字経営が続いておりますものの、今後、電力の小売自由化の進展によりまして、料金の単価の引き下げが一層求められてくるものと考えております。

 水道事業につきましては、7億5,500 万円の累積欠損があるものの、12年度から単年度黒字が続いておりまして、ここ数年でこの累積欠損も解消される見込みでございますけれども、水需要の伸び悩みや未稼働資産の取り扱いなどの課題がございます。
 工業用水道事業につきましては、単年度黒字になってはおりますものの、29億1,700 万円という大きな累積欠損を抱えており、景気の低迷によりまして水需要も伸び悩んでいるところでございます。
 地域開発事業のうち、スキー場事業につきましては、利用者数の減少などによる赤字が続きまして、累積欠損が28億4,900 万円となっております。

 こうした経営状況を踏まえまして、企業局といたしましては、これまでも懸命に経営改善に取り組んできたところでございますが、引き続き、まず業務の外部委託推進によるコストの削減、組織や人員配置の見直しによる業務体制のスリム化、建設工事や会計システムの導入による業務の効率化など、経営体質の一層の強化に取り組んでいくことといたしております。

 さらに、風力発電や中小水力発電など新エネルギー導入の調査研究の推進、企業訪問などによります水需要の新規開拓、スキー場料金の弾力的な設定による誘客の促進や駐車場の収入の確保など、一層の収益増にも努力してまいりたいと考えております。

 企業局といたしましては、社会経済情勢の変化に的確に対応し、経営全般にわたって常に目を配りながら、従来にも増して、経営の健全化、効率化を推進していかなければならないと考えておりまして、今後とも経営改善を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
                                                                                 
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